「漢方薬で、たった3ヶ月で妊娠しました!」の危険性

昔、ある患者さんから「先生のところも、いろいろな治った症例をサイトに載せれば、迷わずに先生のところに来れたのに・・・」と言われたことがあります。

その患者さん、うちに来るまでに2件の漢方薬局に相談に行ったのですが、いわゆる、よくあるニセモノ系の漢方薬局。
漢方薬自体は医薬品販売の許可を持っていれば、誰でも売ろうと思えば売れるので「漢方薬を使った治療ができる」ことと、ただ単に「漢方薬を扱っている」ことは全くの別物。

漢方薬局、東洋医学内科など看板を掲げることは自由なんですよ。
でも、ほとんどの「漢方相談」と称しているところは、漢方薬を処方箋で処方したり、販売はできても、「漢方薬を使って治療ができる」とは考えない方が無難ですよ。

その患者さんも、そんな「漢方薬をただ販売しているだけの漢方薬局(その正体は、ただのサプリ売り)」に引っかかって、時間もお金も無駄にしたので、「先生のサイトに良い症例が紹介されていれば、真っ先に来たかもしれないのに・・・」という話になったのです。

しかし僕自身は「治った例を宣伝する」というのがあまり好きではありません。
治した例が少ないわけではありません。

むしろ、手前味噌ですが、治った例は、たくさんあります。
しかも、うちはサプリや他で飲んでる漢方薬などはやめていただき、病院の治療は急性の短期間の治療しかできないと思っているので、病院との併用で治ったのではなく、うちだけの治療で治った臨床らしい治験例です。

例えば阪大の専門の医者に5年間、かかっていて、ウンともスンとも変化のなかった難病の人を完治させた例もあります。

でも、そんな例をあまり載せないのは、漢方は、その人自身だけのその時の体質をみて、漢方薬を合わせていくので、不妊症のAさんがすぐに妊娠したからといって、不妊症のBさんがすぐに妊娠するとは限らないからです。

漢方は病名や症状だけで体質を判断したり、漢方薬を選ぶわけではありません。
AさんもBさんも一番の悩みは不妊症という共通の悩みかもしれませんが、Aさんは過去に子宮筋腫の治療歴があり、現在は足は冷えるが、頭はのぼせ、便は・・・オシッコは・・・と体全体を見ていけば、Bさんとは年齢も住んでいる環境も生活リズムも悩でいる症状も何もかも違います。

子供ができにくいという1項目だけが共通しているだけで、極端に言えば、100のパラメーターの内、不妊症という1項目は一致しても、あとの99項目(症状等)は全部違うこともあるのです。

それが、個人の体質ですね。

だから、不妊症だから、誰でも当帰芍薬散とか、温経湯というマニュアル処方が、いかに愚かで漢方の医学理論を完全に無視した方法かが理解していただけると思います。

実は、治験例はマーケティング的に必須とされているものです。
治療的にではなく、お金儲け的に必須なのです。

僕は自分でもWebサイトを製作しますが、大概の病院や薬局はWebサイトを製作してくれる専門業者に委託します。

その際の製作のセオリーとして「良かった体験例」は必須なのです!
これは漢方に限らず、サプリメント、コスメ、鍼灸、マッサージ、食べ物、なんでもですね。

「この漢方薬局でたった3ヶ月で治りました!!」
「騙されたかもと思いながら飲んだサプリで次の日から疲れ知らずになりました!不思議です。」
「半信半疑で使ってみたら次の日にお肌ツルツルになりました!!」

信憑性を高めるためにお客さんからの手書きの手紙の写真を添えたり、必死で涙ぐましい「騙してんじゃないですよ」アピール。

でも、こんな症例って、実は、いっくらでも捏造できます。そして現場では結構、捏造しています。
手書きの手紙だって自分か友達に書いてもらったらいいだけ。

良い症例が少なければ、Webの製作会社の営業さんが「1つの良かった症例を名前や感じを変えて3つくらいに分割して、増やしましょう!」なんて親切に提案してくれることもあります。

なので、この業界の裏も表も見てきた専門家として言わせてもらえば、
「たった1ヶ月で・・・」
「たった1粒で・・・」

調子の良い例ほど、注意する必要があります。

また、漢方に関しては、その調子の良い症例も「あなたにはあてはまりません」
なぜなら「体質や生活環境、生活リズムなど」が、その治った例の人と全く一緒なんてありえないからです。

うちでも、「よかった例はどんな例がありますか?」と聞かれますが、僕は、こう答えています。
うちでは「45歳で、うちの漢方薬のみで開始から8ヶ月後に自然妊娠した方」がいらっしゃいますが「28歳で基礎体温は理想的な周期と形で、うちに3年近く通って全くカスリもしなかった人もいます。残念ながら、それが漢方の現実です」とお話ししています。

他の分野の真実はわかりませんが、漢方は個人の体質に対して、常にその人だけの治療を考えていくので、「不妊症は漢方薬で克服できますよ!」なんて言って、良い症例ばかり出しているところは、逆に漢方としては全然ダメだと考えても良いかもしれません。

【病院の不妊治療のこと、漢方のこと、何か聞きたいことがあれば、infoあっとmagocoro-kanpou.com まで「ブログで質問したい」とご連絡ください。(あっとは@に変換して送ってください)】

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