基礎体温の高温期について(不妊治療の医学知識)
前回までは、排卵までのホルモンの働きを説明しました。
今回は排卵がされてからのホルモンの働きです。
排卵した後の卵胞は大きくなって黄体というものになります。
黄体は黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。
黄体は卵胞ホルモンとともに卵管や子宮内膜を刺激して、内膜を厚くしたり、受精卵が着床しやすいように内膜を軟らかくすることや体温を上げたりします。
妊娠しなければ、黄体は14日後に退化してなくなります。
そうなった場合は、今まで妊娠のために準備していた子宮内膜は剥がれていきます。
これが月経です。
妊娠していた場合は、引き続き黄体ホルモンを分泌し続けて妊娠を維持します。
よって、体温は高いままが続きます。
デュファストンやルトラールなどのホルモン剤は、黄体ホルモン剤です。
高温期が短かったりすると高温期を伸ばすためによく使われます。
外部からの人工ホルモンのせいなのかどうかはわかりませんが、うちで治療している患者さんの様子をみているとデュファストンやルトラールなどの人工の黄体ホルモンを使うと高温期は延びますが、高温期が延びてベストな日数になるというよりは、ホルモン剤の力の分、つけ足されただけ。みたいな印象を受けます。
高温期の日数が延びるのですが、その後、妊娠せずに月経が来ても体温が高いままです。
つまり、月経があれば、卵胞刺激ホルモンなどに切り替わって体温がストンと下がらないといけいないのに体温が、おそらくルトラールの影響で下がっていないのですね。
これは、その人の持っている身体のリズムとホルモン剤の影響がズレているのだと思います。
その様子から、なんとなく「見かけだけ高温期を伸ばした」「とにかく高温期が14日延びたんだからそれでいいしょ!」ってホルモン剤が言ってるような気がします。
なぜこんなズレが起こるのでしょうか?
それは、ホルモン剤の働きだけに注目して処方しているからではないかと思います。
卵胞刺激ホルモン(FSH)やエストロゲン(E1・E2・E3)、黄体形成ホルモン(LH)、黄体ホルモン(プロゲステロン)は妊娠するための月経のリズムに関わっているものです。
そして、これらのホルモンの種類は皆同じホルモンの働きによって月経リズムが起こっています。
人によって、私はエストロゲンは必要ないとか、プロゲステロンは必要ないなんてないです。
問題は「量」や「分泌されるタイミング(服用するタイミング)」
これは、おそらく個人差があって、バラバラなんではないでしょうか?
量にいたっては、肝臓の解毒の問題や消化器の問題があるので、0.0000なんて単位で人によって変わるのではないでしょうか。
だから、ホルモン剤で月経リズムを妊娠しやすいリズムにしようと思ったら、各ホルモンの種類だけを対応させてもダメだと思います。
個人、個人に合わせて分量や服用タイミング(時間単位で)も合わせる必要があると思います。
しかし個人ごとの分量やタイミングなど探し出すことは不可能だと思いますが。
種類だけ合わせて、分量やタイミングは無視しているからホルモン剤の理屈通りにはいかないのでしょう。
結局は漢方と同じで個人の体質に合わせる必要があると思います。
ホルモン剤は基礎体温の見かけだけが良くなるだけ。
いわばハリボテです。
見かけがよくなるホルモン剤を飲んで見かけがよくなって、「基礎体温が整ってきましたね」なんて自作自演ですね。
また、何かのホルモン剤を使うということは、自分の身体にはない働きで一定のリズムを乱すわけです。
ホルモン剤で人工的にリズムを乱しながらリズムを整えようと考えているのであれば、高温期だけルトラールを使うとかは、リズムを乱すだけに使っているように思います。
どうせ、人工で整えるなら全部のホルモン剤を使って人工的に全部を整えないと「一部だけホルモン剤を使って、後は身体が調整してくれる」なんて、そんな都合がいいわけがないです。
そんな不妊治療の病院ライクに身体は都合よくできていません。
ようするにホルモン治療は人工的にしても中途半端な感じがします。
やりきってない。
先生が自分勝手に悪いと決めつけているところに横ヤリをいれているだけのように感じます。
もちろん、全部を人工的に整えるといっても、先程の分量とタイミングの問題は解決する必要がりますが。
中には「ラッキー」で妊娠します。
たまたま、自分の不足した部分とホルモン剤がマッチングする。
たまたま・・・
病院の不妊治療が体外受精も含めても【成功率がわずか25%】しかないのはこの当たりの問題が解決されていないからではないでしょうか。
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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉
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Twitter:henjaku
2013年9月13日 6:49 PM | カテゴリー:不妊治療と漢方について