過去に妊娠した漢方薬で再度妊娠するとは限らない。
うちも不妊治療をはじめて長くなってきたせいか、
最近、2人目もうちの治療で妊娠したという人が増えてきました。
その体験を通して、2人ともうちで妊娠した人に共通する、
「やっぱ漢方って西洋医学とは全然、違うんだなぁ〜」
と感じたことがあったので、その時のことを書いてみます。
2人目不妊で悩んでいる人には、ぜひ読んでいただきたいです。
うちの治療で1人目も2人目も妊娠した人にはおもしろい特徴がありました。
それは、漢方家の方なら「そんなの当たり前!」って思われるかもしれませんが、
1人目を授かった時と2人目を授かった時の漢方薬の「系統」が違うのですね。
「漢方薬の系統」が違うというのは、うちでは、何か1つの漢方薬を初回に選んで、
その漢方薬だけを飲み続けたら妊娠するとは考えていません。
その時々の体質によって、どんどん漢方薬を変更します。
なので、ある漢方薬の系統となるのですね。
んで、2人目は、その系統が全然違う漢方薬で妊娠しているのです。
西洋医学では、体質をみて薬や治療を変えることはありません。
だから、不妊症という診断の人は、どんな体質だろうと、みんな大体、同じ薬や同じ治療をします。
だから、西洋医学の場合は、2人目がほしくて同じ病院に治療にいけば、
1人目の時と同じような、クロミッドから始まって、HCG、ルトラールとおなじみの治療がはじまります。
でも漢方は違います。
漢方は不妊症という病名ではなく、体質をみて治療します。
漢方薬には、妊娠させる効果のものはありません。
漢方での不妊治療は漢方薬自体の効果で妊娠させるのではなく、
人それぞれの、その時の体質にあった漢方薬を選ぶことによって、
健康状態になるようバランスを整え、本来の妊娠する力を引き出します。
漢方では体質のことを「証」とよびます。
そして、漢方では絶対に曲げてはいけない原則があります。
それは「証に従え」というもの。
ようするに「漢方薬は、その人の体質の示す状態に従って選びなさい」ということですね。
病名ではありません。その人、個人に合わせます。
ということで、漢方の場合は、病院と違って、
2人目の相談に来た時は、病院の発想と同じように
「じゃあ、前と同じ漢方薬でいきましょうか」とはならないのです。
なぜなら、体質(証)は常に動いているからです。
僕も、2人目希望で来られた時は、やっぱり普通に、
「前に妊娠した時に最後に出した漢方薬でまた妊娠するんじゃないの」
と幼稚園児的なストレートかつ単純な考えをしてしまいそうになります。
しかーし、そこで漢方の原則を思い出します。
漢方は「証に従え」
ですね。
そして、また初めから証を見極めようとします。
そしたら確かに体質が変わっていて、体質が変わっているから当然、選ぶ漢方薬も変わっているのですね。
で、「前にこの漢方薬で妊娠したのにな〜」と後ろ髪をひかれつつ、
新たに分析した証にしたがって漢方薬を処方すると、結局、前とは違う漢方薬で妊娠するのですね。
古典に書いてある漢方の原則は偉大だなと思いました。
だから、不妊治療の病院でやってる、漢方薬を着床を促すためとか、
E1やE2、黄体ホルモンの数値を治すためとか、
短い高温期を長くするためとかの考えで処方するのはやめたほうがいいんじゃないかと思います。
だって、完全に漢方の原則を無視した誤った使い方だから。
(そういう方法も中には、あるといったような類いではなく完全に間違った方法です)
やっぱルール無視したらまともな効果は得られませんよ。
同じ人でもその時の体質によって選ぶ漢方薬が変わる。
なかなか漢方マスターになれない要素でもありますが、それがまたおもしろいとも言えますね。
2013年4月24日 6:22 PM | カテゴリー:不妊治療と漢方について