体の問題を指摘されていないのにホルモン剤は必要?

排卵は普通にある感じなのに病院で排卵誘発剤を処方されたり、特に何がどう悪いと説明がないのにクロミッドを処方されたり、注射を打たれたりするのは意味があるのでしょうか?という質問がよくあります。

僕はその病院の先生から直接、聞いたわけではないので、どういう意図や治療方針があってホルモン剤を処方するのか、真意はわかりません。

ただ、うちに来られているいろいろな病院の通っている患者さんの病院の治療の状況をお聞きしていると排卵誘発剤、HCGの注射、ルトーラルなんかは「とりあえず処方しとく」みたいな印象を受けます。

西洋医学は検査などをして原因を追求しその原因に対して治療をすることが原則のような感じですが、検査は初回にやったっきりだったり。毎回、検査していても、微妙な変化しかなかったり。
検査結果から、クロミッドなどのホルモン剤を飲まないといけない。という根拠があるようには見えません。

ひどいところになると排卵誘発剤が「より良い排卵を促す」みたいな「先生、サプリメントと勘違いしているじゃないの?」と思うようなノリで処方している病院もあります。

そういう病院の話を聞くと「その医者、本当にクロミッドやセキソビットの構造や薬理わかって処方しているのかな?」と不思議な気分になります。

いろいろな患者さんからいろいろな不妊治療の病院のホルモン処方の状況をお聞きし総合的に判断すると僕の印象ではやっぱり「ただ単に大体、マニュアルや流れでそうなってるから処方してる」としか思えない感じです。

できたら、今、不妊治療の病院に通われている人がいらっしゃったら、ホルモン剤の処方のたびに、その医学理論的根拠を聞いてみてもらえないでしょうか?
僕は男なので、試しにトライすることもできませんので。

ちなみに内科なんかで、こういった処方根拠を聞くと「湿疹を出なくする薬ですよ」とか、怪しいサプリメントを売り歩いている人みたいな説明をします。

そこで「僕、薬とか薬理レベルでわかるのですが、なぜ、さっき原因はよくわからないと言ってたのに、何を根拠に、この薬にしたのですか?」と聞くとシーンと沈黙になります。説明も言い訳もナシ!

なので、ホルモン剤の処方根拠を聞く時は「排卵をより強くするためですよ」とか、テキトーに逃げるような説明をすると思いますので、もう少し突っ込んで「私の何がダメで、それをどうする必要があるかを理論的に教えてください」と聞いたほうがいいかもしれません。

そうしないと全部「月経がちゃんと来るように」とか「高温期がちゃんと続くように」とか怪しいサプリメントを売り歩いている人みたいな説明をされます。

そもそも、病院は都合の良いテキトーな上っ面だけの説明をすることが多いですが、ホルモン剤のほとんどは、ただホルモン量を加えているだけが多いです。

妊娠、月経に関わるホルモンというのは、何種類もあって、月経周期の中の時期によって、あるホルモンが高い時は反対に低いホルモンがあったりと、複雑なバランスで成り立っています。
例えば、排卵誘発剤ならエストロゲンの量をホルモン剤で人工的に抑えることによって、排卵を誘発するホルモンを増やします。
要はいろいろな各ホルモンの物量を人工的に操作しているのですね。

薬理の構造と生理(人体の働きの方)から考えれば、正常な排卵が予想される人がクロミッドなどを飲んで、より良くなる医学理論がどこにあるのか僕にはよくわかりません。
ただ、本来のその人のもっているホルモンのバランスが崩れるだけじゃないかと思います。
逆に飲んでも、飲んでもホルモンバランスが崩れないんだったら効くこともないってことですよね。
ホルモンを変えられないんだから。

高温期の持続のために使われるルトラールなどもそうですね。
あれは黄体ホルモンを加えるのですが「高温期が短い=黄体ホルモンが足りない」なんて考えはあまりに短絡的ですよね。

残念ながら人間の体ってそんなに単純じゃありません。
他のホルモンとのバランスや冷えやストレスなどの身体全体の状態と相まって総合的に高温期が短くなっているのです。

「高温期が短いから物量的に高温期のホルモンを足せば問題解決する」ともし本気で考えていたら、発想が子供レベルで悲しすぎます。

それに「その人にとってどれくらいのホルモン量が足りていないのか?」ここは調べなくていいのか?と思います。
そこは華麗にスルーなんでしょうか。

きっと0.000・・・1単位で必要な量は人それぞれだと思うのです。
今の自分の状態に丁度いい!って言うのが人それぞれあるはずです。

でも、みんな一律、同じホルモン剤で足すだけ。
この発想も単純すぎます。タンクになんか足すだけで人間の身体がよくなったら平和ですね

特に問題を指摘されていないのにホルモン剤は必要なのか?
僕は必要ないと思います。ホルモンばかりでなく身体全体で考えるべきです。

医者も患者さんに「どうせ医学なんてわからないだろ」と上から目線でボッタクリバーのお通しみたいな流れでホルモン剤を処方しないで、ビシッ!としっかり医学理論的にその人の問題を指摘し「だから薬理的にも生理学的にもあなたにはこのホルモン剤が必要なのです。マニュアルやなんとなくの流れではありません!!どやッ!!」と説明したらいいのにと思います。

そうしてくれたら、うちに「なぜ、特に問題ないのにクロミッドを処方されたのでしょうか?」という全国から似たような質問が大量に来ることはなくなると思います。

排卵の2日前のタイミングは妊娠しやすい?

かれこれ漢方での不妊症相談を10年ほどやってきました。
いろいろな不妊専門の病院で、うまくいかなかった人や現時点で不妊治療の病院の治療と、うちの漢方の治療を併用ですすめている方などから、その病院の治療の方法や医者、看護士さんの態度などかなり細かな部分まで、治療の現状を赤裸々にお聞きしています。

そんな、通っておられる患者さんの現場の意見をお聞きしたり、過去のうちの嫁さんの不妊症専門の病院で働いて経験などから、どの病院がどんなランクの治療なのか?どんなところなのか?かなり詳しく評価できるようになりました。

雑誌やネットなどにある不妊治療病院のランキングなんて残念ながら何の役にも立ちませんよ。
みんなでホメ合うような気持ち悪いタテマエのデマ情報に近いと思います。

いろいろな病院の内情や自分自身の漢方治療を通して1つわかったことがあります。
それは、結局、体外受精や人工授精も自然妊娠も突き詰めればタイミングの問題なのだということです。

もちろん、タイミング良く受胎した後の受精卵の発育は母体の体調や状態に関わっていますので、きれいに整っている基礎体温や月経周期、全体の体調などが良い状態でないといけないというのは最低限、必須の条件ですが、逆に不妊症は体調や基礎体温、月経周期が整ったからといって、妊娠するわけではありません。

妊娠成功の最後の決め手はタイミングなのです。

最近、タイミングのことに関して、よく質問されることがあります。
それは「排卵の2日前が一番妊娠しやすいらしいので、排卵の2日前にタイミングをとるのがいいですか?」という質問。

はい、そうだと思います。
2日前あたりから妊娠しやすいということもあると思います。

しかし、この話は現実との食い違いがあります。
排卵2日前と排卵日を決定していますが、今回の月経周期の排卵日はあくまで「予定」なのです。

「そんなの卵胞の大きさでわかるじゃないですか?」
確かに「目安」にはなります。
月経10日目あたりに病院のエコーで見て16mm辺りだったら「4日後あたりが排卵ですね」と医者から言われますね。

医者に言われたから当たってる?
そんなことないですよ。
あれって、単純に1日1mmずつ大きくなり20mm前後で排卵するという小学生のような計算で言ってるだけ。

確かに健康的で問題のない人だったら、その確率は高いですね。
でも、不妊治療の病院に通っているということは、普通でうまくいかなかったから病院に通っている方が多いんじゃないでしょうか。

ということは果たして、そんな標準的かつ平均的なデータが通用されるのでしょうか???
いわばイレギュラーにも通用するのでしょうか?ましてやホルモン剤で人工的にホルモンバランスを崩している状態で。

実際に医者に「4日後に排卵ですね」と言われ、人工授精や採卵をしようと診察を受けたら「2日前に排卵済みです」なんて話はザラにあります。
僕は相談の中で何人も実際に聞いています。

1日で3mm位大きくなる人も珍しくありません。
昔、不妊治療を頑張ってされていた方が、不妊のことばっかりで悩んでいられないということで、大好きな旅行に出かけられました。
病院の排卵の予想では、旅行から帰ってきた後でも、まだ排卵してない予定でした。
それまでの育ち方も実際、ゆっくりペースだったので。
そして、帰ってきたら、すでに排卵済み。
ずっと小さいままで最後の3日間で一気に大きくなっていたのです。
逆転ホームラン。

人間なんだから平均的な理屈通りにいくわけないですよね。

エコーでみている卵胞の大きさもあくまで予想なのです。
それも小学生のようなノリの予想。
むしろ理論をバカ正直に信じて妊娠しにくいという悩みを長年抱えてきた通常とは少し違った状態の人達に平均的に理屈通りにいくと考えるほうがおかしいです。

「じゃあ、排卵検査薬があるじゃないですか?」
あれも排卵そのものがわかるわけじゃありません。

うちでは、最初は3〜5日位、排卵検査薬を使って、その人のLHのピークや排卵の仕方を見ていますが、それこそ千差万別!

初日から3日間、陽性反応のピークが続く人。
ずっと微妙に薄い反応の続く人。
いきなり1日だけ陽性反応が出て次の日に反応が消えている人。

本当に、人それぞれです。

この結果から何が分かるかというと、本当の排卵日は誰にもわからない。
ということ。
病院も予想です。確実に分かったフリをしてるだけ。
その瞬間を物理的に捉える方法はありますが、現実の生活環境の中では不可能なのです。

となると「排卵の2日前にタイミングをとる」というのは、どの日の2日前にすればいいのか決定できません。

ものすごく体調もよく、昔から一定間隔で一切狂いのない月経であれば、問題ありません。
予想した日がその日ですから。
でも、そんな人は多分、うちや病院に行く前に妊娠しています。

でも、不妊で悩んでいる人は、月経周期が月によって1日、2日ズレたり、それに伴い排卵もズレたりするわけです。
たかが1日、2日かもしれないですが、これで「排卵の2日前」というセオリーは崩れるわけです。

排卵日が完全に特定できたとして、排卵の2日前も確かに妊娠しやすい範囲にないこともないですが、もう少し細かく戦略的にタイミングを考えたらベストではないと僕は思います。

その辺りの理由はまた今度にでも書きますね。