男性不妊と病院のタテマエ理想論

ある記事で男性の妊活で3つのすべきことを語るという記事がありました。

その記事中で多分、不妊治療の医者だと思うのですが、その人が語るアドバイスの中に「セックスは週に最低2回すべきでそれを半年間キープすること」そしてそれで兆候が見られなければ、すぐに治療をするべきだと言ってました。

週2回のセックス。そして兆候がなければ即治療したほうがいいということ。

僕は医者のお言葉に釈然としないものを感じたので、ちょっと突っ込んで考えてみました。

世界のSEXの平均回数というデータがあるのですが世界一がギリシャの年間平均が138回です。
これは年間の平均なのでこれを医者が言ってる半年にすると69回。
世界一SEXが多い国の半年の平均が69回。

そして、日本人の1年間の平均回数は45回。
半年じゃないですよ。1年で。
ちなみに日本人は世界最低のSEX回数なんです。
これを半年にしたら22.5回。

医者が言ってる自然妊娠したければSEXを週に2回すること。
それを半年続けなさいとのこと。
1ヶ月が4週なので週2回すれば1ヶ月は8回で6ヶ月で48回。

つまり、自然妊娠したければ、日本人平均の倍以上、がんばれということですね。

僕は自分自身も不妊で悩んでいた時期があったので、この言ってることに違和感をおぼえます。

確かに医学的に精子がどうたらこうたら、卵子がどうたらこうたらと考えれば、正しいのかもしれません。
記事中では、タイミングをとっていないと精子が古くなるからどうたらこうたらと書いていました。

それとも、もしかして、この医者。
実はこの医者自身がただの好きモノなんじゃないか?というような冗談はさておいて。

不妊治療の時のSEXってなんか義務感めいたものが漂っているので、不妊治療を意識していない時よりもより辛いことがあります。

僕の実体験ではそうでした。
それにいろいろな体質の不妊症のご夫婦を治療させてもらってきて、感じたのは1人目さんの不妊症の方々はいわゆる「絶倫!」というような印象ではないのですね。

僕だけの実体験でなく漢方相談に来られたご夫婦から身体のことだけでなく実際に「タイミング自体も性欲がないというか気がすすまない感じがあるので、それは、どうすればいいですか?」と何人にも相談された経験があります。

このお医者さん自身が仮に「大好きな人」だったら、自分の価値観からしたら日本人のSEX平均回数の2倍の回数なんて屁でもないかもしれません。ガンガン!行こうぜ!みたいな。

しかし不妊治療の実際の現場って、身体的にホルモンがどうとか、病気がどうこうだけの問題ではないのですね。

タイミングをとるということには肉体的な問題でなく、精神的な負担もあったりするのです。

それは不妊症を脱出しないといけないプレッシャーであったり・・・
夜、遅くまで仕事をしていて帰ってきたらクタクタだったり・・・

人それぞれの悩みがあるのですね。

こういう記事をみると西洋医学って細胞や内臓はよく見てるけど、ホンッッット!「人」のことは一切みてないなと思います。

僕も医学の教科書のタテマエ理想論をぶちかませば治療になる。と思えるような、こんな気楽な不妊治療がしたいです。

非科学的ですが、平均回数の2倍もガンガン、タイミングとれる人って子だくさんなような気がする。
だったら、この週2回のタイミングのアドバイスって本末転倒ですね。
「それが、できないから困ってんだよ!」みたいな。

病院の薬の説明はウソだらけ!?(クロミッドなど)

うちの漢方相談は漢方薬を選んでお渡しするだけでなく、その病気に関するあらゆる事の相談にのっています。

その病気の病院での治療の事やサプリメントの事、ネットで書いてあったことが本当なのかどうか?などにお答えさせてもらっています。

相談の中で特に多いのが「病院で●●と言ってたのはどういう意味ですか?」とか「病院でこんな薬使ってますが、これっていいんですか?」など。

病院関係の質問が圧倒的に多いです。
皆さんのご意見をお聞きしていると病院でベルトコンベアーみたいに治療されているので、質問してもいいような時間や雰囲気がないということと、病院の治療は受けているけど実は信用はしていないという感じのようです。

そういった質問に対して、僕のわかる範囲でお調べしてお答えさせてもらっています。
もちろん、僕は西洋医ではないので、あくまでアドバイスの範囲。

ただ、適当に調べて答えるというわけではありません。
僕はネットジャンキーレベルのネットが好きな人間ですが、医療系はネットよりも医学書院などの医療系に強い出版社が発行している書籍で調べるようにしています。ネットはデマも多いため。

ネットで調べる場合は、出所が明確な論文や製薬会社自体の資料を参照します。
また、元外科医が僕の師匠なので、西洋医学の情報で裏がとれそうにない場合は、その師匠に聞いたり、師匠が専門外でわからない場合は、師匠のお友達の東大の付属病院やいろいろな病院のその専門の先生に問い合わせてもらったりしています。
(師匠、いつもありがとうございます)

前置きが長くなりましたが、そんな相談の中で最近、病院の薬の説明って「ちょっと正確じゃないよね」と思うような質問が多かったので、記事にしようと思いました。

おかしく思ったのは、クロミッドやhcgが卵胞に栄養を与えるとか、hcgは着床しやすくしてくれるとか、なんか「飲んだり打ったりしたほうがいい!」みたいに思わせるような表現が目立つようなことです。

これはホルモン剤に限りません。他の薬でも「良くなる」とか「症状がなくなる」みたいな良いことずくめっぽい説明です。
しかし病院のほとんどのお薬は、対症療法といってその場をしのぐお薬です。
根本的な原因に対応するわけでもないし、飲み続ければ悪い体質が変わるものでもありません。

あくまで飲んでいる間は、変わるというもの。
表現の違いと言われればそれまでですが、もう少し詳しく説明する必要があるんじゃないかと思います。

例えば、まさに西洋医学の薬と言える抗菌剤などは、その原因である菌を殺したりしますので、原因に対応しています。
(これも近年は耐性菌ができたり、良い菌も含めた全部の菌をまるごと殺しちゃいけないとか、いろいろと問題も出てきていますが)

しかし、そういったわかりやすい病気に対する治療以外は、全部、本質的な原因には対応していません。
本質的な原因があって、それによって起こった症状などの起こった結果に対して一時的に対応しているだけです。
だから、その場しのぎの対症療法なんですね。

不妊症のホルモン治療なども原因に対して治療しているわけではありません。
強制的にホルモンを動かして妊娠できそうな状態にもっていこうとしているだけ。

先の「クロミッドが卵胞に栄養を与える」と言ったような説明だと、一般の方は飲んだほうが得なような気がしてしまいますが、そもそも、そんな効果ではありません。
また、根本的に不妊治療はホルモン剤でドンドン、ホルモンを活性化させれば妊娠するもではありません。

ホルモンが活性しすぎた状態が子宮筋腫や子宮ガンにも関わっているのです。
ホルモンは活性化ではなく「その人にあった丁度良い状態に”調整する”こと」です。

だから、誰にでも同じ効果のクロミッドを処方している時点で終わっているのです。
ちなみにクロミッドをわかりやすく説明するなら、卵胞に栄養を与えるのではなく、
「受胎のために精子が通過しやすくする頚管粘液や着床のために子宮内膜を厚くする身体の働きを”邪魔”して卵胞を大きくし排卵を促す作用」です。

頚管粘液の減少や子宮内膜が薄くなるのは、めったに起こらない副作用ではなく作用機序から、これも立派な作用です。
(悪い作用ですが作用は作用です)

また卵胞はある程度、大きく育てばLHホルモンによって、排卵しますが、病院の先生の中には「クロミッドはあくまで卵胞を大きくするだけの時があり実質の排卵につながるかは疑問だ」と言われている方もいらっしゃいます。

病院の薬はどれも何かの効果を得るために何かは犠牲にしていると考えたほうがいいです。
(鎮痛剤が胃腸薬と一緒に処方されることなど)
病院側の説明だと、まるでエセサプリメント会社の万能薬のような説明です。

一般の方は医療の素人だから簡単に説明しているのかもしれませんが、なんでも調べることのネット時代なんですから「卵胞を大きくして子宮内膜は薄くなる薬ですよ」と説明してもいいんじゃないかと思います。

結局、患者さんはどこかで調べてますので。

不妊治療においての漢方薬の選び方

漢方の治療とは身体の中の健康を保つ要素のバランスを調整することが目的です。
治すというよりもアンバランスを直す感じですね。

健康を保つ要素とは気、血、水、虚、実、寒、熱、湿、燥などです。
それに五臓六腑。
この要素が身体の中で調整されていれば、私たちは健康という状態を保てますが、この要素の1つでもおかしくなれば、たちまち不快な症状や病気となって表に現れてきます。

漢方薬は体質に合わせて処方すると言われています。
この体質とは、いわば、さっきの要素のアンバランスを総合的にみた状態のことです。

なんだか、難しい感じになってきました。
例えば「0」が良いバランスの状態だとすれば、

気 0 血 +1 水 -3 虚 -3、実 0、寒 -4 熱 0、湿 -4、燥 0 などです。
それに五臓六腑の肝の臓 +1、心の臓 0、脾の臓 -3、肺の臓 -1、腎の臓 -4。

現実はその他にも病位など時間系列など、まだまだ見ないといけないことがあり、こんな単純に数値化できませんが、単純に数値化するとすれば、体質のバランスをこういうふうにみることができます。

健康な状態というのは全部の要素が「0」です。
漢方では陰陽の法則に従って「プラスが良い」とはなりません。
プラスは過剰。行き過ぎとみます。

気温みたいな感じですね。
20℃を丁度良い状態だとすれば、それよりも気温が高くなれば「熱い」
それよりも気温が低くなれば「寒い」となり、どちらも不快ですね。
良い状態は基準のゼロ地点です。

そんな感じで、ある人の体質というのが、さっきのような数値だとすると、その体質に合わせる漢方薬とはこの数値をゼロにしていくものを選びます。

気 0 血 +1 水 -3 虚 -3、実 0、寒 -4 熱 0、湿 -4、燥 0
五臓六腑の肝の臓 +1、心の臓 0、脾の臓 -3、肺の臓 -1、腎の臓 -4。

この体質に対して 血を -1 水を +3 って具合にゼロにしていく漢方薬を選びます。
冷えてる状態 -4 は、温める効果 +4 でゼロになるみたいな感じ。
これも説明上、プラスとかマイナスでお話していますが、実際はプラスとかマイナスではなく「肝の熱をとる」「表の利水をする」とか漢方薬や生薬によって、いろいろな働きがあります。

こういう体質理論から考えると漢方薬の効果って「●●効果がある」というものではないのです。

病院で説明しているような「当帰芍薬散がホルモンを活性化する」というものが、いかに的ハズレなことをしているか、ご理解いただけると思います。

同様に病名で漢方薬を処方するということが、漢方の医学理論と全く関係のないデタラメなこともご理解いただけるのではないでしょうか。

さっきの要素が同じ病名だと同じ体質スコアになるハズがありません。
この体質スコアは病名など関係なく、人それぞれです。

気 0 血 +1 水 -3 虚 -3、実 0、寒 -4 熱 0、湿 -4、燥 0
肝の臓 +1、心の臓 0、脾の臓 -3、肺の臓 -1、腎の臓 -4

病名など関係なく、華奢で冷えが強いと虚が -5、寒が -5になったりするし、他の数値も変わります。

同じ病気の人でも体力があって、冷えがなければ虚と寒の数値は0か、もしくはプラスかもしれないのです。
それは病名ではなく、東洋医学的な問診をとってみないことには分からないのです。

不妊症という状態でも漢方治療では治療方法は同じです。

体質を見極め、その体質のアンバランスをゼロにできる漢方薬を探し出します。
たいていは、みんな数値がバラバラなんで、そう簡単にゼロのバランスにできる漢方薬なんて見つかりません。

また「症状があるか、ないか」で漢方薬を選ぶ人がいますが、それも間違いなのは、先程のスコアからご理解いただけると思います。

各要素の数値が症状などから推測できる数値だとお考えください。
そこから見ても「症状のあるなし」ではなく、その症状がどんな状態なのか?
こういった要素も重要なのですね。

そして、全てをゼロにした過不足ない状態は健康です。
そして健康な状態であれば、誰でも妊娠する力を目覚めさせることができるのです。

ただ、不妊治療の場合は、ただバランスをとればいいということでもないケースもあります。

あえて、どこかの要素をプラスにもっていって排卵のきっかけにしたり、アンバランスを治療に応用することもあります。

それでも、まずは体質を見極め、バランスのとれたゼロの状態にするというのは基本中の基本です。

しつこいようですが、体質スコアは説明上、分かりやすくデジタル化しましたが、実際はこんな簡単にデジタルで分析することはできません。

漢方治療はなるべく長い期間で受けたほうがいい

こんなタイトルを書いちゃったら「なんだ、おまえのとこの売上げを安定させたいだけじゃないか!」なんて思われそうですが、そうではありません。

純粋に治療として見た時に長い期間でみないともったいないことにもなるという話しです。

これだけで話をやめちゃったら、「やっぱ、おまえんとこの売上げのためじゃん!」って思われるので、もちろん、長い期間を見なければいけない理由を説明します。

その前に2点のことを覚えておいてもらいたいです。
1つは長い期間で構えたほうがいいとは言っていますが、うちでは体外受精を何度も失敗して1ヶ月とかで妊娠する人はめずらしくありません。
長い期間を考えていても、短い治療期間で終わることもあるということですね。

そういう実績を踏まえてお話します。

一般的に「漢方薬はジワジワ効いてくるから長く飲まないといけない」みたいな説明がありますが、あれは全くのデタラメで、そういう意味で長い期間で治療を考えたほうがいいという意味ではありません。

長く続けた方がいいかもしれない条件は、そこの先生が、

・東洋医学的に体質を判断できること。
・その体質を明確に説明できること。
・体調の細かな変化を聞いて漢方薬を変更できること。
・その変更は適当に試していくのではなく、以前の漢方薬から理論だって変更できてそれが説明できること。

この条件は必須です。
これができないようなツムラのマニュアルを見てテキトーに処方する病院や五行論や五臓六腑の説明と病気の原因がお血、お血と連呼するような先生のところは逆に長く続けちゃダメ!もっといい先生を探したほうがいいです。

漢方薬は初めに選んだ薬を辛抱強く飲んでいたら効くというものではありません!

漢方薬は病院の薬と違って飲まれた結果を処方した先生が検証することによって、体質に合っていたかどうかがわかります。

どの漢方の先生でも初回は推測で処方します。
体質にあっていたと分かるのは飲んだ後。
漢方薬をよく効かせることができるかどうかは、その先生の腕にかかっています。

漢方の腕はセンスと感覚と経験です。
人よりも何倍も勉強して良い点をとったって理論的にいろいろと知っていたって治療にとって最も重要なことではありません。
現場ではそう感じています。

点数で言えば、僕は国際中医師という資格みたいなものをもっていて、
その時に、ものすごく高得点をとっていますが、国際中医師の時に勉強した知識なんて今の現場で1mmも治療に役に立っていません。

横道に逸れましたが、マニュアルで治療できないのが漢方なんですね。
だから本の通りにやったって、1ヶ月後に治っているかどうかなんてわからないのです。

また、全身の調整といっても、全身が一辺に良くなるとは限らないのです。
10の内6位、良くなったとしても後の治療は漢方薬を変えていかないと進まないことが多々あります。

また、毎月、いろいろな漢方薬に変えながら調整、調整を繰り返し、いつか治るのではなく、毎月2、3のことがよくなっていきながら振り返ったらトータルで随分良くなっているというパターンもあります。

だから、患者さんの方も少し期間をみて辛抱強く、お付き合いいただければ、良くなっていくのですね。
最後に良くなるのではなく、飲まれている間中、良くなっていくのです。

ただし、これはあくまで先に書いたような条件を満たしている先生しかできないと思います。

漢方薬自体はマニュアルがあれば、不妊症に使うならコレとコレとアレとソレと。いろいろな漢方薬が書いてあるので、素人でも考えたフリして片っ端にお試しで処方できるようになっています。

しかし本当の漢方治療は処方を変更し調整するためには初回の東洋医学的体質判断が必須で、漢方薬を変更するには、その理由が必要です。
だから変えてもらう場合でもかならず、変更する東洋医学的理論の理由を問い質してください。うちでは聞かれる前に説明しています。

その理由が「マニュアルにもう1個、漢方薬が書いてあったから」
では、目もあてられません。

当帰芍薬散の副作用の問題などをまとめてみた

医者ってもしかして当帰芍薬散しか知らない?

・漢方には方意というものがある。当帰芍薬散は四物湯系統で血を溜めて留める。
桂枝茯苓丸は血を巡らせる。
そしてそれだけでなく不妊症で使う場合はいろいろな方意が存在する。
ネズミの実験でホルモン作用があるからといって当帰芍薬散を使うのではない。

最近、うちに送ってきてもらう質問の中でしょっちゅう当帰芍薬散に関して聞かれます。
当帰芍薬散に関しては他の処方よりも圧倒的に質問が多いのですね。

質問の内容は大体、「自分は当帰芍薬散を飲んでいるがこの薬を飲み始めてから副作用のような症状があるのだけど飲み続けて大丈夫なのか?」みたいな感じ。

漢方薬はどれも体質と合っていなければ副作用となりますが、なぜ当帰芍薬散がこんなに苦情が多いのでしょう。
当帰芍薬散はアブない薬なんでしょうか?

理由は簡単です。
不妊治療において漢方をよくわかっていない医者や薬局が処方する、もっともポピュラーな漢方薬だからです。

なんだったら最近なら不妊症に当帰芍薬散って一般の人でもなんとなく聞いた事があるくらいです。
テキトーに処方している数が多いから苦情も多くなっているのですね。多分。

ちなみに僕は8年あまり不妊症の漢方治療をやってきていますが、当帰芍薬散は一番処方しない漢方薬ですね。
大体、割合としてはどうでしょうか。
全体の5%位でしょうか。うちで当帰芍薬散を出したなんてほとんどないです。

別に医者や他の店が処方しているから、うちはそれに対抗してアマノジャクになっているわけではありません。

うちは症状などの身体全体の事や現在の環境などから、純粋に体質を分析して漢方薬をお出しするので、東洋医学的な体質判断をしていたら、たまたま当帰芍薬散の体質の方がいなかったというだけです。

うちでいなかったのに、他の店や病院で処方していることが多いのはなぜでしょうか?

これは完全な僕の個人的な考えですが、業界的には漢方薬のことはなんとなく知っていても体質を分析するための東洋医学理論を理解している人はほとんどいません。

そして「不妊症→当帰芍薬散」はマニュアルに書かれているから、よく処方されるのではないでしょうか。

初めに体質判断せずにマニュアルで処方しているから、なんか合わない感じになっても医者自身がどうしたらいいのかわからないのでしょう。

またマニュアルで処方しているから、苦情も多いのでしょうね。
東洋医学的な体質の分析なしでうまく合わせるなんてことはできませんので。

確かに漢方の文献にも当帰芍薬散は不妊症に使うことが書いてありますが、いろいろな漢方の本を読みあさっていくとどちらかというと不妊症というよりも安胎薬です。

この使い方はうちでもよくやっています。
妊娠してからの処方ですね。

そもそも漢方薬は体質に合わせて治療しますので「不妊症→当帰芍薬散」みたいなド素人でもできそうな治療方法なんてありません。

不妊症の人や安胎薬的に使われることが多いですよ。と書かれていますが漢方薬は「でもちゃんと体質に合わせた処方をしてくださいね」というのが前提なんです。

昔からある処方ですが、不妊症自体が近年の問題です。
昔から不妊症で悩んでいる方がいなかったわけではないですが、昔は今ほど、不妊症の人は少なかったのです。
日本でも数十年前は不妊症は問題になっていませんでした。

だから、多分、いろいろな体質のバリエーションがなかったので「当帰芍薬散でも飲んどけば妊娠するよ。ちょっとうまくいっていないだけじゃない」って感じで、当帰芍薬散が不妊症に良いみたいな感じ伝わってきたのではないかと勝手に思ったりします。

でも今は違います。
今は様々な年齢、様々な状態や状況の人が不妊症で悩んでいます。
だから、漢方薬もいろいろな体質を想定して考えに考え抜かなければ、いけないのです。
マニュアル見て「当帰芍薬散でも、だしゃいいわ」なんてテキトーな治療でなんとかなるレベルではないのですね。

最後に当帰芍薬散を処方されている方におぼえておいてもらいたいことがあります。
当帰芍薬散を飲んでいて何か不調が出た時にそれを処方された先生に訴えたら「そんなはずはない」とか意味不明なことをいう先生がいますが、これは断じて間違い。

漢方薬は新薬と違い製薬会社が決めたガイドラインが決まっているわけではありません。
漢方の本に書いてある効果ですら決まりきったことではありません。

いろいろな本を参考に自分なりに当帰芍薬散の使い方を習得して処方します。
合っているかどうかは、先生が決めるのではなく結果が決めます。

飲まれているご本人が「不調がある」と言うのであれば、先生の体質の見立てが間違っていたということになります。

例え体質判断もせずにマニュアルで処方したとしても漢方薬の処方のルールはそうなっていますので、その不調をどうすべきかを処方された先生に聞いてみてください。

そもそも体質を分析しなかったり不調の状態に対応できないのであれば、自分で勝手に飲んでいるのと同じ状況なので。

漢方ではそういった場合も転方といって新たに再検討しそれの不調も含めて治していく漢方薬に変更できます。

なにせ何百種類と漢方薬はありますから。
1つの処方に固執する必要はありません。