体外受精のジレンマ

病院によって変わってくるかもしれませんが、体外受精の治療方法には3つのタイプがあります。

簡単に説明していきます。

【Aコース】はホルモン剤などのお薬、注射をめちゃめちゃ使うコース。

身体にとってはハードコースですね。

【Bコース】はAコースよりもお薬などがゆるいコース。

身体にとってはややソフトコースですね。

【Cコース】は体外受精であっても、なるべく自然でいくコース
最も人工的でない身体にやさしいコース。

特に最近はホルモン剤が身体を治療するものではなく、ホルモンバランスを無理矢理、変えて排卵を促したり、高温期を延ばしたりするのだという認知が高まってきたせいか、Cコースを選ぶ人も多いそうです。

病院側も「なるべく自然で・・・」って宣伝してます。

しかし、ここでちょっと待った!

うちは両方の卵管が閉塞していない限りは、40歳以上で体外受精の数回の失敗を経た人でも目標としては自然妊娠を目指します。(もちろん、不妊治療の病院との併用も可)

そんな考えからいけば Cコースが、もっとも身体に対する負担が少なく、このコースを支持するべきでしょうが、現実の治療をいろいろ考えると Cコースが良いとは限らないのですよ。

というか、どれがいいということが言えません。

ここからが体外受精のジレンマです。

Cコースで問題になってくるのは採卵です。

うちで体質を整えながら治療している人は Cコースでもかまわないかもしれませんが、漢方も何も体質に良い事を何もしていない普通のパータンから考えてみましょう。

体外受精にステップアップするということは、普通のホルモン剤のみの治療や人工授精では難しかったという状況が多いと思います。

つまり、根本的に体質的に妊娠しにくい人です。

体内ではもともと、排卵だってスムーズに行ってない可能性が高いのです。

だからこそのステップアップです。

なるべく自然でいく Cコースは、ホルモン剤をほとんど使いません。

その状況から採卵に望みます。

ここでさっきの部分に戻っちゃうけど、元々、高度治療でない時からうまくいってないのです。

排卵がいつかなんて安定していません。

これで強烈なホルモン剤を使わないと、どこで排卵するのか、排卵自体するのかすら分からないのです。

この状態で自然排卵にまかせていると、採卵をハズす可能性が大なのです。

「今回は排卵してそうにないから採卵できない」とか「もう排卵しちゃってますね」とかで簡単に1ヶ月に1回のチャンスが飛んじゃいます。

だって元々、不安定で読めない身体なのです。

それに治療とは関係のない問題があります。

それは、採卵日をそんなに細かく調整できないこと。

体外受精までやる専門の不妊治療病院は、大体、どこも一杯です。

そんなにたくさんないですから。

あなたの採卵日のためだけに何日も空けられないと思います。

大体、ここくらい。と目処をつけます。

だって「今日じゃなくて、明日には採卵できそう。でも、ごめん。明日は予約で一杯でした」なんてめずらしくもないです。

そのために病院は体外受精ではきつめのホルモン剤や注射を使うのです。

キツめのだったら、無理矢理でも卵子を引きずり出してきてくれますから、目処がつけやすいです。

そもそも、薬を使わない自然排卵を待つのであれば、それって自然妊娠のタイミングと一緒ですよね。

元々は自然妊娠がダメそうだから病院の不妊治療に切り替えてるのに、また元通り。

つまり、めちゃくちゃ健康!って自信がない人が、なるべく自然に近い体外受精は、自然に近いんじゃなくて、悪い状態を放置した体外受精なんです。

「だったら、ジャンジャン、ホルモン剤と注射使って、排卵させればいいんじゃないですか」

はい、ここでもジレンマの発生です。

薬をジャンジャン使えば、採卵はしやすくなると思います。

1個どころか6個、7個ととれる場合もあるでしょう。

でも、これって、あなたが本来持っている月経リズムは崩れていきます。

ホルモンのリズムは皆さん自分のリズムを持ってるのです。

それを人工ホルモン剤で見かけ上、無理矢理、変えてるだけですから。

元のリズムが狂うのはしょうがないです。

不妊治療の病院のゴールは「妊娠陽性反応」

出産じゃないですよ!もっかい言いますよ。

不妊治療の病院のゴールは「妊娠陽性反応」

流産したら、なんたら流産とか診断すれば、それで終わり。

でも、あなたのゴールは出産!

出産のために必要なのは、採卵→受精卵培養の後のいわゆる移植と呼ばれる着床。

そこから、卵子から赤ちゃんに10ヶ月かけて育てていくこと。

これら全部、自分の身体が行っているのです。

体質をほったらかして、短期間、キッツい薬でなんとかしたって、出産までは10ヶ月あるのです。

だから、体外受精などの高度治療による出産は、たったの4%しかないのです。

移植後からは、薬なんて一切ありません。

そもそも薬飲んだら、赤ちゃんが危ない。

自分の身体だけが頼りです。

自然すぎると状態が悪いので、排卵の予定と病院の物理的な時間が合わない。

ホルモン剤を使うと排卵の目処はつけやすいが、赤ちゃんを育てていくための身体には良くない。

そして、どっちも体の状態が健康でなければ、着床しない。

だから、これは体外受精のジレンマですね。

これはどっちが良いとか悪いという話ではなく、体外受精にはこんなジレンマが存在しているということを理解した上で治療しないといけないということですね。

そして、最も重要なのは、自分の体が赤ちゃんを育てる余裕があるくらい健康なのか?ってことです。

●不妊症、二人目不妊症など、漢方相談ご希望の方は、こちらのまごころ漢方の「無料漢方相談」から送信してください。

●お問い合わせなどは、こちらから送信してください。

【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉

FaceBook:まごころ漢方薬店

Twitter:henjaku