黄体ホルモンとホルモン剤まとめ(不妊治療の医学知識)

病院でのホルモン治療は大きくわけて3つです。

クロミッドなどの排卵誘発とhCGなどの排卵誘発のきっかけを与えるもの、そして、今回、説明しようと思う黄体ホルモンです。

まとめれば、人工授精や体外受精などの技術的な治療を除けば、病院の不妊治療は外部から人工ホルモンを足す事だけというふうに集約されます。

内膜が厚くなったり、着床しやすくなるのは、外部のホルモンと内部の自分のホルモンや体質との働きがうまく合えばの、結果の話であって治療自体は、ただ単に人工ホルモンの服用だけです。

さて、3つのホルモン治療の最後のホルモン剤ですが、黄体ホルモンというものです。

自然であれば排卵の後、卵胞に残った細胞は黄体というものに変わります。

黄体ホルモンは卵管や子宮内膜を刺激して受胎した受精卵を育てます。

黄体は子宮内粘膜に着床の準備をさせて、体温を上昇させます。

小さく弱い受精卵を育てていくように子宮内を変化させていくのですね。

黄体ホルモンは高温期を形作り、それを維持するホルモンです。

黄体ホルモン剤は特に複雑な作用ではありません。

黄体系に代表されるホルモン剤はルトラールやプラノバールです。

ルトラールとプラノバールで若干の違いはありますが、どちらも主に黄体ホルモン様作用を持っています。

なぜ、様作用というかと言うと、似た作用であって、本物の作用ではないからです。

黄体ホルモンは体温をおしあげ、妊娠の準備をします。

受胎していれば、更に黄体ホルモンが分泌され高温層が続いていきます。

その作用から妊娠していなくても高温期の日数が短い人や排卵期の後に高温層に上がらない人に使われることが多いです。

黄体ホルモン剤を飲んでいる人によくある現象があります。

それは、ルトラールなどの黄体ホルモン剤を飲んだ後に月経がきた時に体温が高温層の高いまま月経がきていることです。

普通は、月経がくればそれとともに体温も下がりますね。

ここからは、僕の独自の生理学上の推測ですが、ルトラールやプラノバールは人工的な黄体ホルモンです。

黄体ホルモンの効果に体温を上げる働きがあるので、当然、飲めば体温は上がります。

また、高温を続けようとします。

この時に問題なのは、まず受胎した上での黄体ホルモンの補充ではないということ。この時点で自然に反した状態に陥ります。

さっき自然の黄体の流れをお話しました。黄体の分泌が強くなっていくのは、あくまで受胎があったからであって、高温期が短いのを伸ばしたいからではありません。

基礎体温の結果は一緒かもしれませんが、意味合いが全く違います。

また、その人の体質によって、必要な黄体ホルモンの量や黄体ホルモンが必要なタイミングが違うのではないかということです。

通常は受胎があるから黄体ホルモンの分泌が更に盛んになっていくのです。

では、受胎がない場合のホルモンを補充するタイミングはどこなのでしょうか?

病院の治療では、当然、個人差、体質など関係なく、ルトラール、プラノバールといった一定量の製品になった黄体ホルモン剤をこれまた、マニュアル的に決まったタイミングで処方すると思います。

でも、自然の場合の黄体ホルモンは、排卵期から突然、分泌されるわけではなく、排卵した後の卵胞が黄体に変わって、黄体ホルモンが分泌されるのです。そして続いていくのは受胎を確認して。

でも、病院でやってる黄体ホルモン剤は、ただ、量もタイミングもその人の体質に合っているかわからないけど「高温層には黄体ホルモンがいるでしょ」的な結果だけからみた安易な方法で処方しているのです。

こうしてみていけば、病院の治療は、3つのホルモン剤をバラバラに処方して、それを無理矢理つなぎあわせて、月経リズムがうまくいっているように見せかけているだけにも思います。

「先生、高温期と次の月経が途切れているみたいになってます」みたいな。

中には、薬としての一定量のホルモン剤や処方のタイミングがたまたま合う人もいらっしゃると思いますが、当然、本質的には、人それぞれ必要なホルモンの種類や量が違うので、普通はうまくいかなくて当たり前に思います。

なんか、見かけだけが良い、ちょっとした賭けですね。

不妊は病気ではないから治療ではありません。

健全な月経リズムを繰り返し安定してつくることが赤ちゃんを授かるのに必要なことだと思います。

その都度、その都度、ホルモン剤で強制的にリズムを変えているようじゃ、いつまで経っても自分自身の本来の健全なリズムは戻ってきません。

ツギハギだらけの基礎体温リズムは身体にバレバレ。

うちでは、不妊治療だけでなく、無月経やPMS、子宮筋腫や更年期など月経リズムに関わる治療を全般的に行っています。

どれも共通しているのは、なんらかの原因で女性ホルモンの働きが悪くなっていることが関わっています。

漢方薬は直接ホルモンの効果があるわけではないです。

婦人科系の病気は、どれも女性ホルモンが関わっていますが、漢方の場合は、ホルモンを直接的にどうこうではなく、身体の状態を全体的にサポートして、本来のホルモンの運行を取り戻させるように働きます。

それが、本来のホルモンのリズムですね。

しかしホルモン剤も治療薬としてうまく働くケースがあります。

更年期に近かったり、若い頃から月経が止まり気味な人は、本来の女性ホルモンの状態が弱いです。

そんな人は、漢方薬で健康な状態になっても、若い頃から女性ホルモン系が弱いとそのホルモンを活性化させるのが難しいのです。

そんな時は、あと1歩のきっかけに女性ホルモン剤を使うのです。

女性ホルモンは強制的な偽物の働きで身体をだまして一時的に身体の状態を変えてくれます。

つまり、リズムを逆に変えることによって、元に戻すのに使うのです。

そんな時の女性ホルモンの偽物のだます働きは、自然治療だけで少し力が足りないところを補ってくれます

もちろん、ホルモン剤は所詮、偽物の詐欺のような働きをするので、きっかけをつかむ事ができたら、すぐさま、ご退場願います。出ないと今度は違う問題が出てきます。

なんせ、人工のホルモン剤は自然のホルモンと違いますからね。

だから、元々、ピルといわれていたホルモン剤を一時的に使用して様子を見るのであればまだしも、長期で使うのはどうかと思います。

中には人工的なリズムが染み付いて、返って妊娠から遠のいている人もいるのではないでしょうか。

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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉

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