流産はかならずしも悪いことじゃない

念のため「流産がいい」と言いたいわけじゃありません。

流産になると「ダメだった・・・」みたいに考えがちです。

漢方的にというか、自然医学の観点から見ると全く違う面が見えてきます。

うちでは流産があると「かすった」という言い方をします。
「ダメだった」じゃなくて「あーっおしいッ!」ですね。

病院だと流産すると、

○化学流産
○けい留流産
○進行流産

と病院お得意の病気のラベル張りをしますね。
西洋医学は、なんかに分けないと嫌みたいですね。

んで、染色体異常とか調べたりします。

大体、うまくいかなった後に染色体、調べたら、やっぱ悪かったみたいな結果が出ると思うのですが、
その辺ってどうなんでしょう?
それって、雨降った後に「雨降りますよ」って言ってるような気がします。
「見たらわかるので知ってます」みたいな。

病院でなんとか流産って名前つけられて、原因が染色体がどうたらとか言われると,
なんか自分の身体が病気みたいに感じちゃいますね。
また、染色体を変える治療なんてあるのかなって思ってみたり。

でも、自然医学からみると考えがガラッと変わります。
(この自然医学からというのは、僕の考え方ですが・・・)

流産は1つの関門です。

健康な赤ちゃんかどうかを自分の身体が見極めてくれているのです。

「そのまま育っちゃったら、問題あるよ」
って言ってくれているのです。自分の身体が。

だから、流産体質とかそんなんありませんし、病気とかじゃありません。

何かの問題がある。
その警告なんですね。

だから、流産の原因を重箱の隅をつつくように必死で探して,
アスピリンやらヘパリンで治療する必要があるのかなって思います。
(ごく、ごく一部の方は必要かもしれませんが)

そもそも、流産がアスピリンで治るのであれば、
月経痛や頭痛で、しょっちゅうバファリン飲んでる人は、
普段から治療してるのかっ!って話ですよ。

漢方では、瘀血といって、不妊症の体質の中に血の巡りを整えてないと妊娠が難しいという考え方がありますが、
流産してから血栓を防いで血の巡りを促すんなら、なんで不妊治療の初めの段階からやらないの?って思います。

僕の見方では、赤ちゃんを育てるのに何かの要素が足りなかったサインであると考えています。

だから、流産したときにわかることは、

○自然で妊娠ができる。
○なんらかの要素がよくなかった。

の2つがわかります。

だから、なんらかの要素を探し出し治せば、次は「妊娠成功!」ですね。

大体、病院の不妊治療は、外部から強制的にホルモンを刺激し、妊娠というより
「妊娠反応の陽性」をつくりだす作業です。

医学の知識がない人だって、手足が冷えて頭痛がしょっちゅうあったり、
疲れやすかったりしたら「元気な赤ちゃんが育つわけない」って思いますよね。

漢方医学から見たら、その通りで、まず自分自身が健康じゃなきゃ、
強いホルモン剤で陽性反応出したとしても、じっくり育てるところからは、
自分自身の健康が問われるのです。

だから、体質を整えないで、ホルモン剤で刺激して、なんとか、妊娠陽性出して、流産したら、なんとか流産じゃないかって、流産の治療してって・・・
僕からみると病院の治療って「根元が間違ってるんじゃないの?」って思います。
(僕は病院の不妊治療の否定派ではありません。うちでは病院の不妊治療は、全面的に頼るのではなく、時と体質に応じて、うまく利用するようアドバイスしています)

流産は妊娠できるサインです。
でも、再び同じ治療をしても、問題の解決にはなりません。
また、流産します。

誰でも皆と一緒のアスピリンとヘパリンで血栓を防ぐ心筋梗塞患者みたいな治療だけでなく、
自分自身の今の体質を見直してみましょう。

「なんらかの要素が欠けている」のです。

違う方向から治療を考えないと同じ「流産」になるだけかもしれませんよ。

過去に妊娠した漢方薬で再度妊娠するとは限らない。

うちも不妊治療をはじめて長くなってきたせいか、
最近、2人目もうちの治療で妊娠したという人が増えてきました。

その体験を通して、2人ともうちで妊娠した人に共通する、
「やっぱ漢方って西洋医学とは全然、違うんだなぁ〜」
と感じたことがあったので、その時のことを書いてみます。

2人目不妊で悩んでいる人には、ぜひ読んでいただきたいです。

うちの治療で1人目も2人目も妊娠した人にはおもしろい特徴がありました。

それは、漢方家の方なら「そんなの当たり前!」って思われるかもしれませんが、
1人目を授かった時と2人目を授かった時の漢方薬の「系統」が違うのですね。

「漢方薬の系統」が違うというのは、うちでは、何か1つの漢方薬を初回に選んで、
その漢方薬だけを飲み続けたら妊娠するとは考えていません。
その時々の体質によって、どんどん漢方薬を変更します。
なので、ある漢方薬の系統となるのですね。

んで、2人目は、その系統が全然違う漢方薬で妊娠しているのです。

西洋医学では、体質をみて薬や治療を変えることはありません。
だから、不妊症という診断の人は、どんな体質だろうと、みんな大体、同じ薬や同じ治療をします。

だから、西洋医学の場合は、2人目がほしくて同じ病院に治療にいけば、
1人目の時と同じような、クロミッドから始まって、HCG、ルトラールとおなじみの治療がはじまります。

でも漢方は違います。

漢方は不妊症という病名ではなく、体質をみて治療します。

漢方薬には、妊娠させる効果のものはありません。

漢方での不妊治療は漢方薬自体の効果で妊娠させるのではなく、
人それぞれの、その時の体質にあった漢方薬を選ぶことによって、
健康状態になるようバランスを整え、本来の妊娠する力を引き出します。

漢方では体質のことを「証」とよびます。
そして、漢方では絶対に曲げてはいけない原則があります。

それは「証に従え」というもの。

ようするに「漢方薬は、その人の体質の示す状態に従って選びなさい」ということですね。
病名ではありません。その人、個人に合わせます。

ということで、漢方の場合は、病院と違って、
2人目の相談に来た時は、病院の発想と同じように
「じゃあ、前と同じ漢方薬でいきましょうか」とはならないのです。

なぜなら、体質(証)は常に動いているからです。

僕も、2人目希望で来られた時は、やっぱり普通に、
「前に妊娠した時に最後に出した漢方薬でまた妊娠するんじゃないの」
と幼稚園児的なストレートかつ単純な考えをしてしまいそうになります。

しかーし、そこで漢方の原則を思い出します。

漢方は「証に従え」
ですね。

そして、また初めから証を見極めようとします。

そしたら確かに体質が変わっていて、体質が変わっているから当然、選ぶ漢方薬も変わっているのですね。

で、「前にこの漢方薬で妊娠したのにな〜」と後ろ髪をひかれつつ、
新たに分析した証にしたがって漢方薬を処方すると、結局、前とは違う漢方薬で妊娠するのですね。

古典に書いてある漢方の原則は偉大だなと思いました。

だから、不妊治療の病院でやってる、漢方薬を着床を促すためとか、
E1やE2、黄体ホルモンの数値を治すためとか、
短い高温期を長くするためとかの考えで処方するのはやめたほうがいいんじゃないかと思います。

だって、完全に漢方の原則を無視した誤った使い方だから。
(そういう方法も中には、あるといったような類いではなく完全に間違った方法です)
やっぱルール無視したらまともな効果は得られませんよ。

同じ人でもその時の体質によって選ぶ漢方薬が変わる。
なかなか漢方マスターになれない要素でもありますが、それがまたおもしろいとも言えますね。

男性不妊に八味丸?そんなの滅多にないですよ。

漢方では、妊娠は腎の臓に宿る気が男女合わさって新しい命をつくりだすと考えられています。

この腎臓は、西洋医学の腎臓と同じではありません。
漢方は身体を解剖して実際にどんな働きがあるかどうかと調べてきた医学ではないので、
独自の解釈があります。

とは言っても、西洋医学の腎臓と働きはよく似ています。

体内の水の代謝。
つまり、西洋医学にある水分の再吸収や排出(オシッコ)ですね。

ただ、これに先ほどお話した自分の命を運営していくための気が存在するというもの。
あくまで実物の臓器ではなく、イメージの臓器なので、
そんなものなんだなと捉えてください。

この腎の気というのは、生きてるだけで、だんだんと消耗していくと考えれています。

漢方では、女性の腎気は、7の倍数で変化していきます。
7歳で腎気が活発化し歯が生え変わり髪が長くなる。
14歳で任脈と衝脈の気が通じ月経が始まる。
21歳で体格は頂点となる。
28歳で筋骨が充実し毛髪も長く豊かになる。
35歳で陽明経脈が衰え、白髪が進行しはじめる。
49歳で任脈が虚して閉経する。
と言われています。

2千年以上前に書かれていることですが、
現代医学の女性ホルモンなどの動きと一致しているのですね。

男性の腎気は、8の倍数で変化していきます。
8歳で腎気が活発化し歯が生え変わり髪が長くなる。
16歳で腎気が充満して子を成す事ができるようになる。
24歳で体格は頂点となる。
32歳で筋骨が充実し身体の最盛期となる。
48歳で顔面が憔悴。
56歳で精気が欠乏し腎が退化する。

この腎の気には、先天の気と後天の気があるとされています。
先天の気というのは、生まれつき持ってる気。
後天の気というのは、後から食べたり、飲んだりした栄養素からつくられるもの。

腎は、これらの「気」以外で「精」というエネルギーも蓄えています。
「精」は読んで字の如く、精力と関わっている気です。

これが衰えると赤ちゃんを授かるのが難しくなります。

「精」は先天の気と後天の気が合わさってつくられます。

つまり、生まれつきから持ってる気と後の生活でつくられる気。

腎が弱い人は、オシッコの問題が出てきます。
夜中にオシッコにいくとか、水分をたくさん摂ってないのに頻繁にいくとかです。
オシッコの問題は、体質によっては、軟便や下痢となって出る人もいます。

軟便や下痢は通常は脾の臓の問題だと捉えますが、腎の水分代謝がおかしくなって、
軟便や下痢になっていることもあります。

髪の毛が薄い人も腎気が弱いです。
後、耳なり、耳が聞こえにくいなども腎の問題です。

一般の方向けの漢方の本などで、おバカ処方がよく紹介されていますが、
男性不妊に八味丸というのがよく紹介されています。

八味丸というのは、補腎薬といって腎を補助する代表的な処方。
不妊は腎の衰えと関係があるから八味丸という幼稚園児なみの安易な発想で処方薬として書いてあるのでしょうが、
漢方薬で腎を補う薬は八味丸だけではありません。

いろいろな体質にあわせた補腎薬があります。
また、それらには、段階があります。

その中で八味丸は、最も腎が衰えた時に使う処方。
(腎の衰えだけでなく、他にもいろいろな条件がありますが)

だから「男性不妊だったら八味丸がいいじゃないの」と直線的な発想が出てくると思うのですが、
八味丸は年齢とともに、かなり衰えてきた体質に方に合わせるものです。

よーするに老人の補腎ですね。
常識的な漢方家なら、普通は男性不妊に八味丸なんて、まず選びません。
どうせ選ぶなら八味丸ではなく六味丸ですね。

六味丸も補腎薬ですが、これも「男性不妊=補腎」ではないですよ。
あくまで体質をみて、腎虚で、なおかつ、かなり腎が衰えていると判断すれば、使いますね。

先ほども言いましたが、補腎薬は、いろいろな段階にあわせた漢方薬があるので、
そこは体質をみて合わせていきます。
なので、30代、40代前半の補腎で八味丸なんて使うことはありませんね。

先ほどの話に戻りますが、赤ちゃんは先天の気と後天の気が合わさって成長していきます。

だから、男性も女性も腎の気が衰えていたら、妊娠はできても育ちません。
陽性反応が出ても、流産するということです。

この腎の臓の考え方は東洋医学の考え方です。

西洋医学の精子の運動率やら精液の濃度などとは、直接は関係ありません。

男性不妊の検査で問題ないというのは、参加資格を得たというだけ。
もし、その状態で妊娠していないのであれば、何かしら問題があるかもしれないということです。

それが、漢方から見た時に腎の問題であるかもしれません。

くどいかもしれませんが、妊娠の陽性反応を出す事と、出産は同じものではありません。
妊娠の陽性反応はラッキー要素でうまくいくことがありますが、
出産は、妊娠してから順調に10ヶ月間育つのかどうかにかかってます。

日本では、男性自身に問題が少ないようにとられがちですが、
腎系の病気、難聴、耳鳴り、軟便下痢気味、胃腸が弱い、年齢の割に髪が薄い、夜中のオシッコ、頻繁なオシッコがある男性は、
自分が半分以上の原因かもしれないと考えて対処したほうが、
早く子供を授かることができますよ。

あっ、だからうちに来いって意味ではないです。
また、今度にでも書きますが、腎は無料で強くする方法がありますので。

自分で選んだ漢方薬は危険な場合もありますよ

うちは、非常にありがたいことに患者さんの方から、
友達に先生の店を紹介したいのですが、どう話したらいいですか?
って聞かれます。

まず、漢方っていうのが、よくわからない。
その中でも、うちは世間とは違う方法で漢方をやってるので、
余計に説明しずらいんじゃないかと思います。

ちなみに勝手に吠えているように感じるかもしれませんが、
8割の病院や薬局が間違った漢方の方法でやっていて、
うちは漢方医学的にみれば、伝統にのっとった方法でやってます。
(厳密に8割かどうかはわかりませんが、業界に携わってきた感覚です)

漢方に関しては、8割が医学的に間違った方法がまかり通っているので、
伝統的な正攻法でやっているうちがレアな感じになるのはおかしなことなんですが。

で、紹介しようといろいろと周りにお話した時に最近は、
漢方が雑誌に載っていたり、ネットでもいろいろと情報を調べることができるので、
自分で調べたりして、飲んだりする人も増えてきました。

まー別にどんな方法で飲んでいただいてもかまわないと思いますが、
専門家として言わせてもらうと、
2千年間なくならずに続いてきた医学が雑誌や本をちょろっと見てできるほど甘くはありません。

先ほど、漢方の病院も漢方相談をしている薬局も含めて、
8割が間違った漢方の方法で漢方薬を処方していると話しました。

なので、漢方は医学でありながら、日本では基準が、なんとなくゆがんでいます。
だから、ネットや本、雑誌などに載っている漢方の事は、
その間違った方法を載せているということです。

間違った方法の代表的なのは、病名漢方です。
病名漢方とは、アトピーだったら消風散がいいよとか、
老人の夜尿には八味丸とか、
不妊症なら当帰芍薬散という簡易マニュアルの方法。

東洋医学と西洋医学は全くの別物なので、
西洋医学の病名で漢方薬を選ぶ理論は【漢方の医学の中には存在しません】

この方法は、漢方の医学理論を勉強しなくても出せるように考え出された間違った方法です。
間違った方法なんですが、医療の専門家である医者や薬剤師が、
平気でこの間違った方法で漢方薬を処方するので、
いつのまにか、それが一般では、おかしい方法ではなくなりました。
(漢方家からは病名漢方はナンチャって漢方って呼ばれていますが)

これが大勢を占める方法になっているので、
ネット、本、雑誌の方法も全部これにならっているような感じになっています。

それで、一般の人が漢方の事を自分で調べようと思ったら、
この病名漢方に行き当たるのですね。

で、自分が不妊症だから「当帰芍薬散がいいんだ」みたいな占い的な軽いノリで選びます。
それで「な〜んだ、漢方薬ってちょっと調べればわかるじゃん」
って勘違いする人も出てくるのですね。

一般液な漢方の情報はほぼ間違っているか、簡単にしすぎています。
当たり前ですね。僕が読んでる専門書なんかを一般的な雑誌にしたり、
ネットの情報にしても売れないし、読んでくれないからです。

だって、患者さんに僕の読んでいる漢方の本を見せたら、
「1つの単語も理解できない」「9割意味がわからない」って言います。

漢方は本来、体質に合わせて選びます。
体質を判断するのは病名ではありません。

【病名は参考にはしますが漢方薬を選ぶ要素のごくごく一部にしかなりません】

本来は「六経弁証」「八綱弁証」「気血水弁証」「臓腑経絡弁証」「三焦弁証」「衛気営血弁証」など、
漢方独特の診断方法を用いて体質を判断し、漢方薬を選びます。

つまり、漢方の医学理論を知らない病院や薬局、自分自身で選んだ漢方薬は、
本来のルールを【全て無視してテキトーに選んだ】っていうものなんですね。

だから、うちに来てよッっていうわけではないです。
僕は、みなさんが、ご自身の思うやり方をされるといいと思います。

ただ「漢方とはそんなものですよっ」ていうことですね。

ただし、漢方薬自体はいいものですし、テキトーでも当たる時は当たります。
だから、はじめから当たりはずれでいくのをわかっていれば、
それもアリかなと。

そして、ここからが重要なんですが、
漢方薬って自然のものだから、テキトーに選んでも大丈夫と思っていません?

漢方薬には副作用があります。
それは、体質に合わない漢方薬を飲んだ時。

これを漢方では「誤治」といいます。まんま、誤った治療ですね。
そして「誤治」には続きがあって「誤治」を続けていると「壊病」になります。

この「壊病」がヤバい。
壊病とは病がこわれる。つまり病が更にこじれるということ。
漢方薬で体質を治すはずが、よけいなダメな体質が付け加えられて、こじれるのです。

だったら、合っていないと思ったらやめればいいじゃんって思うでしょ?

ところが、漢方の場合、病院の薬みたいに、わかりやすく、はっきりと出ない場合もあるのです。
ジワジワ、なんとなく体質がこじれて悪くなっていきます。

自分でいろんな漢方薬を飲んできた人を僕たちは
「漢方ジプシー」って呼んでいるのですが、
漢方ジプシーは、漢方薬を飲んだことがない人よりも、やっかいです。

「壊病」は体質によっては、間違った漢方薬を止めるだけでは、
元に戻らないこともあるからです。
その場合は、治療ではなく、「壊病」を治すところからはじめないといけないのですね。
マイナスからのスタートです。

それを防ぐために「体質をみる」必要があるのですね。

どんな方法で漢方を使われても自由だと思いますが、
漢方薬は最終的に選んだ人間が責任を持ちます。
病院だったら病院の先生、薬局だったら薬局の先生、自分だったら自分自身。

「本」に書いてあったからという言い訳は現場では漢方には通用しません。
だってその「本」が本格的な東洋医学理論にのっとったものとは限らないからです。
(そもそも専門家でなければ、本格的な本は読み解けない)

試してみるのはいいですが、「誤治」「壊病」にご注意あれ。

「薬を使わない不妊治療=良い治療」ではない

最近、何件か同じような質問があり、誤解を与えているかもしれないと思い、
過去記事の補足を兼ねて説明しようと思います。

えーっと、いつの記事かというと去年の10月19日の

よい不妊治療の病院の選び方

どうも、ホルモン剤やAIH(人工授精)やIVF(体外受精)をガンガンやってきた人は、
化学療法でガンガンやってきたから、身体が疲れちゃった。
だから自然に治療しようかなっていう気持ちになるようです。

そこで、なるべく自然な治療ができる不妊治療の病院はないですか?と聞かれるのですが、
病院で治療する限り、自然なんてあり得ません。

ここで身体の状態を詳しく見ながら考えてみましょう。

ホルモン剤をガンガンやってると、だんだんと本来の自分の持っている月経リズムとずれてきます。

元々、妊娠しにくい身体だと診断されて、ホルモン治療を初めたと思うのですが
(ちゃんと一人ずつ診断しているのかは知りませんが・・・)クロミッドを何ヶ月か飲んでもうまくいかない。

じゃあ、HCGの追加で「どうだっ!」って感じになる。
それでも妊娠しないので、じゃあ、ルトラールとか、あなたの身体が状態がどうかより、

「なかなか妊娠しないから、ドンドン薬を増やしていく」といった、
ちょーマニュアル的に治療が進んでいっているのだと思います。

そうやっているうちに自分の本来持っている月経リズムとはかけはなれ、
薬によって作り出された月経リズムが出来上がります。

ひどい場合は、以前の月経予定日の3日前位から不正出血が当たり前みたいな、
ホルモン性月経不順(勝手に命名)の出来上がりっ!です。

そうなると、明らかに身体がホルモン剤にやられています。

だったら、お薬をあまり使わない治療が自然に近くていいじゃないかとなるわけです。
人間の思考の自然な流れですね。

でも、ここで誤解しちゃいけないのは、
ホルモン剤の種類は少ない方が身体の負担は少ないですが「薬が少ない=自然=良い治療」ではないです。

うちは、不妊治療の病院で高度治療を何回もやってもダメだったと言う方が大勢来ておられるので、
その経験から見ると、ホルモン剤の合わない人は、1種類でもダメです。

ホルモン剤1種類、飲んだだけで、即、全身蕁麻疹や高熱、強い吐き気なんてたくさんいらっしゃいます。

病院では「ホルモン剤なんて、滅多に副作用がないですよ」って言ってますが、
それは、現時点で通院している方は、病院ヨリの考えで治療しているからで、
悪くなった人がどうしても少なくなるからです。

もしくは、通院をちゃんと続けたいので、実は体調サイアクだけど、
我慢しているという人も結構います。

対して、うちは、どちらかというと病院でダメだったという側の人が多いので、
病院の不妊治療の裏側が見えるのです。

そういった患者さんをみていくと、ホルモン剤はバカバカ飲まなくたって、
1種類でもダメな時はひどいことになるんだなと思いました。

ホルモン剤の最大の弱点は、どんな効果かはわかっていますが、
【どんな人には合わないのか】が全くわかりません。

「まれに副作用が出る人がいる」という非常に適当で曖昧な情報しかありません。

だから、ホルモン剤の数が減ったところで、自然治療ではないということ。

それと、それに関連しますが、ホルモン剤をなるべく使わないのは、
見方を変えれば、「もうちょっとホルモン剤を増やすか、注射とかできつくしないと妊娠しないかな」って、
悩んでいた「中途半端な時期に戻るだけ」ということ。

確かにホルモン剤をなるべく使わないことによって身体への負担は減りますが、
減らしたら妊娠率が上がるわけではありません。

極端にいえば「なかなか妊娠できないから病院に言った方がいいかな?」って、
悩んでいた時期に戻るだけということです。

なので、なるべくホルモン剤などを使わない病院の治療をするのであれば
「病院に行ったほうがいいかな」と悩んでいた時期とは違うことをして、
ホルモン剤が減った分を埋めることが必要です。

うちでやってる漢方は、自然妊娠を高めるための治療です。
うちでは、病院の併用は患者さんの考えにおかませしていますが、
僕自身は、特別な事情がない限り、全くの自然で妊娠できることを目標に治療します。

このケースで「なるべく薬を使わない病院の不妊治療」との併用はフォローされています。 

だから、漢方がいいですよって宣伝ではなく、こういった手段も1つとして、
漢方でも、なんでもいいので、自然妊娠力を高める何かをしないと、
「なるべく薬を使わない自然な病院の治療」は、
ただ過去に巻き戻しているだけになりかねないということですね。

「化学合成のお薬で身体が疲れちゃった・・・だから、自然にかえれば良さそうじゃない!」
っていうイメージだけではなんともなりません。
元気な赤ちゃんを授かることをリアルにイメージして冷静に考えましょう。

ちなみに僕は病院の治療は全否定ではないです。
ホルモン剤は作用が強く、機能刺激系のものだと考えているので、
その役割をうまく使えばとっても強い味方になると思います。

ただ、現実は、一人一人の体質や状況を考えずにマニュアル的に作業的な治療になりがちなことや
どんな体質だったら合わないのかがわからないこと。
が問題になってくるのではないでしょうか。