何かが整っていない妊娠は危険かも・・・
不妊症で悩んでおられる方の中には月経周期や基礎体温の低温期、高温期の波形が整っていない状態や排卵しなかったかもしれない状態など、整っていない状態で、今回は妊娠しているかどうかを気にされる方がいらっしゃいます。
気持ちはわかります。
授からない期間というのは、やきもきするし、少しでも早く授かって、不妊症という期間を終わらせたいですよね。
でも、この状態では妊娠した方が心配が多いと考えたほうがいいです。
不妊治療の病院は、月経周期を切り分けて、月経期、排卵期、高温期とし、その切り分けたステージごとに、
「月経が遅れていたら来させる」
「排卵がなかったら排卵させる」
「高温期は高温の日にちを延ばす」
といった具合にバラバラに考えて治療しています。
月経周期という1つのものとして、つながっていません。
なによりも最終目標が目の前の目標しか見てないんじゃないかと思えるような「妊娠反応」のみ。
「妊娠した後に10ヶ月間の受精卵を育くむ期間があり、その後に健康な赤ちゃんを出産できるかどうか?」
というところは無視しているように見える治療です。
それも、しょうがないとは思います。
だって、不妊治療専門の病院は「妊娠反応」がゴールだから。
だから「基礎体温を書かせても毎回、大して見ずにホルモン剤を処方する」とか「基礎体温すら書かせない」なんて病院はめずらしくありません。
病院の治療なんかに慣れている方は、こういった病院のその場しのぎ的な治療に慣れてしまっているので、いつのまにか「排卵して妊娠するかどうか?」だけに注目してしまっていることがあるのですね。
「排卵しているかどうか」
と
「妊娠反応のみ」
これは患者さんというよりも、病院が全体のバランスを考えないような治療を繰り返していることが患者さんに悪影響を与えているように思います。
僕の10年以上のたくさんの不妊症相談の経験から、妊娠自体に関しては、いろいろな健康条件よりもタイミングが重要じゃないかと考えています。
排卵は約1ヶ月のうち、実際は何時間しかありません。
①排卵する時間。
②女性側のその時の体調。
③男性側のその時の体調。
たまたま、タイミングが合えば妊娠はすると考えています。
だから、普段、不摂生している人でも、よほどの病的レベルの体質でない限り、その時にたまたま、運が良ければ妊娠は可能なのです。
それにプラス妊娠も音楽やスポーツの才能と同じようなものがあるように思います。
うちの相談されている人の中で、うちに来るまでずっと不正出血が続いていて月経不純だった人が漢方薬を飲んで2ヶ月も経たないうちに妊娠したり、うちで2人妊娠した人が、1人目の時も2人目の時も1ヶ月しか漢方薬を飲まずに妊娠。という方が何人かいます。
なので「あの人は特に不妊治療も何もしてないのに妊娠した」という状態は不思議でもなんでもないのです。
ただし、運だけの妊娠には問題があります。
不妊治療の病院のゴールからすれば、問題でもなんでもないのだと思いますが、うち的には大問題。
それは、年齢が若いとか、たまたま、ある程度、月経周期が整っていれば(明らかに治療が必要なさそうな人)問題ないのですが、月経周期が不安定、低温期や高温期の期間や形が良くない。冷えたり頭痛があったり、いろいろな症状が・・・なんてことがあったりすると、妊娠はするのですが「出産」まで至るのが難しいのです。
当たり前ですね。
月経周期は「排卵」だけをくじ引きみたいに1ヶ月に1回だけ排卵チャンスをつくっているものではありません。
いらなくなった子宮内膜を剥がし、経血で排出し、同時に卵包を育て始め、排卵期で排卵させ、排卵した後は受胎しても流産しないように内膜を厚くし、それを温めて維持するわけです。
このサイクルが「大体約1ヶ月で行う」と決まっています。
ほぼ、例外はありません。
3日後に大変な仕事があるからといって、寝だめはできません。
毎日、6〜8時間は寝ないと体はだんだんとおかしくなっていきます。
人間の体は常に一定のリズムが整っている必要があるのです。
だから、月経が来てないから無理やりピルで月経、来させたり、排卵しなさそうだから、急いで注射したり、高温期が延びなさそうだから、ホルモン剤や注射で延ばすという、その場、その場の治療は「妊娠反応」だけを考えれば理にかなっているかもしれないですが「出産」を考えたら、そういった治療は、ステージごとに無理やりホルモン量を変動させているので、そこはどうなんだろう。という感じです。
うちの治療目標は「健康な赤ちゃんの出産」
なので、バランスを崩してしまった時の月経周期は、次回の月経周期で同じリズムに戻れる治療を優先します。
月経周期や排卵、2層性の形などが悪い状態では、排卵して妊娠しているかどうかよりも、次回でいつものペースに戻るかどうかの方が重要なので、正しい一定のリズムに戻すように治療することが、かえって最短の道につながるのです。
2016年3月11日 6:50 PM | カテゴリー:病院の不妊治療について