不正出血で乱れた月経リズムの治し方
月経リズムというものは、別に病気じゃなくても些細なことで乱れることがあります。
ダイエットだったり、ストレスだったり・・・
いつもちゃんと来ている月経が乱れると「なんかの病気なんじゃないか?」と心配になりますよね。
特に不妊症で悩んでなんかしたら。
でも、月経リズムって私たちが思っているよりも些細なことで乱れやすいのです。
うちで治療していたら、ずっと順調に月経リズムがあっても、何かの拍子でリズムが乱れてしまうということはよくあります。
問題は、乱れた後どうするか?
当然、一刻も早く、いつもの月経リズムに戻ってもらわないと困ります。
でないと、いつまでたっても妊娠できません。
この間もある患者さんの月経リズムが乱れました。
今まで、ほぼ、そんなことがなかったのに。
何で乱れたかというと原因はインフルエンザ。
これはなかなか避けようと思っても、ダメですよね。
おまけに高熱が出ますから、どう考えても基礎体温に影響します。
その時もドーンと高熱が出てしまって、月経予定日が過ぎても月経が来なかったのです。
いつもの周期が28日。インフルエンザで熱が出た後は前の月経から数えて42日目に月経がありました。
更にその後、わずか18日後にも月経が来ました。
42日目と60日目に月経のような出血があったわけですね。
はい、この場合は、西洋医学的には、どっちかの出血期間を不正出血と言います。
どっちもを不正出血にされるかもしれません。
ここから、いつもの月経リズムに戻さないといけません。
この時に前半の前回月経から42日後に来た出血を月経ととるか?
その18日後の60日目の出血を月経ととるか?
治療側としては運命の分かれ目です。
病院だと多分、インフルエンザの発熱の後にきた最初の42日目での出血を月経ととり、次の後すぐの18日後(60日目)に来た出血を不正出血として判断するかもしれません。
そしてピルなどでリセットをかけようとするかもしれません。
ピルでリセットをかけたら、またその10日後に月経がきます。
42日目、60日目、70日目と月経が来るわけです。
病院的にはリセットという治療ですが、運まかせ的な治療なので、そこからグダグダと自分本来の月経リズムが乱れていくかもしれません。
でも、病院では、そこからリズムが乱れて低温期が続いても高温期的なところで体温が上がらなければ、またそこで体温を上げる注射をするわけです。
そうすると基礎体温の見かけは、なんとなくいつもの月経リズムに戻ったように見えます。
でも、これ、全部薬のおかげです。自分の力じゃない。
種もしかけもあるイリュージョンなのですね。
最初にピルで体に嘘をつかせたところから本来の自分自身の月経リズムがなくなり、その後の高温期に上げる注射などで嘘に嘘を重ねていきます。
今回の例は、不正出血的なもので大幅にリズムが乱れた例ですが、病院でホルモン治療してから、昔よりも月経周期が長くなったとか、基礎体温が、おかしな形になった人って一杯、いらっしゃると思います。
これは、ホルモン剤という嘘で体をだましたから、そういう風に変わってくるのだと僕は考えています。
僕の治療では、どちらかを月経と考えて、そこから、今後どうすべきかを考えます。
前半(42日目)を月経ととれば、後半(60日目)は不正出血と考えます。
後半(60日目)を月経ととれば、最初の月経(42日目)は、インフルエンザで乱された不正出血と考えます。
これは、どっちが正解ではなく、その人の体質や状況などケースバイケースです。
その都度、考えるしかありません。
不正出血などの治療の場合は、リズムが大幅に乱れて、自力で難しそうであれば、僕は時期で区切って漢方薬を変更してホルモンを刺激していく方法をとったりするのですが、今回は、後半の月経で通常に戻ったと判断し、いつもの治療を続行しました。
そうしたら、そのまま、その周期でいつものリズムに戻りました。
でも、これはこの時のパターンであって、逆に積極的に漢方薬を変更していって、いつもの月経リズムに戻していくように働きかけないといけない場合もあるんですね。
漢方はその人の体質やその時の状況に合わせていくしかありません。
どっちを月経ととるか?
どっちもをリズムが乱れた不正出血ととるか?
ここをしっかりと分析しないと漢方薬でも選び間違うと病院のホルモン剤のように嘘に嘘を重ねる結果にもなりかねません。
うちの場合、無月経の方も漢方薬のみで治療しているので、こんな技が使えるのですが。
こういった例から病院や他の薬局などで不妊症に当帰芍薬散、温経湯、婦宝当帰膠とマニュアル的に処方しているのが、いかに素人臭い方法かがわかります。
2015年7月2日 6:26 PM | カテゴリー:漢方の事あれこれ