不妊治療とメンタルフォロー

うちで妊娠された方々から良く言われることがあります。
「相談中は漢方薬のことだけでなくメンタルの面でもフォローしてもらったように思います」

僕自身はメンタル面のことも考えてはいますが、その時のその方の状況や心理に合わせてフォローしているので実際にどの点がメンタル面のフォローになったのか自分ではよくわかりません。

ご主人の不妊症への考え方が高まるようにどう話していけば良いのかをフォローしたり、姑さんとの関係の作り方や他の方がどう不妊症と取り組んで成功されたかの話をさせてもらったりとしていますが、どうもそこではないようです

ほとんどの人から言っていただくのは「妊娠するためにいろいろな漢方薬や方法を考えてくれたこと」らしいです。

「えッ!?」僕的には少し以外でした。

自分的には、もっと”直接的な悩み”みたいな部分の相談に乗ったことがメンタル面のフォローになったのは。となんとなく考えていました。
時には借金のことや家の住み替えの相談にものったことがありますので。

「妊娠するための治療方法をいろいろ考えたこと」
これ、うちでは言わば普通の仕事です。

漢方薬をその時の状況に応じて再検討し考え直す。
生活全般のことを一緒に再検討し考え直す。

これがうちの業務です。
それがメンタル面のフォローになった・・・。

以外でしたが、自分に置き換えて考えた時になんとなくわかったような気がしました。

僕は今、指を怪我して指の関節が曲がらなくなっています。
そして、いくつかの病院に行って悟ったことは2つです。

1.「病院は検査やレントゲンなどで見るだけのところ」
2.「結局、自然になるようになる結果を治療と呼んでいる」

治療をしてもらおうと僕は病院に行きましたが、いろいろと検査して最終的に言われたのは「もう治らない」と言われたこと。
だから治療はしてもらっていません。
治療まがいのものとして、ほぼ役に立たない痛み止めを大量にもらっただけです。
これは今の体の状態を評価されただけです。状態を観察しただけ。

「結局、自然になるようになる結果を治療と呼んでいる」というのは病院には「自分がなんとかしてやろう!」とか「どうやったら治るか一緒に考えよう!」と言う治療に対する気概心が感じられないのです。

自分の知ってる知識で「治らない感じなので治らないと言っておきます」とかリハビリの人も「これからどれくらいのペースで通えばいいですか?」って僕が聞いても「いつでもいいですよ。空いている時間に来てください」ですよ。

そこは「お忙しいかもしれませんが、治す気なら3日に1回は通う必要があると思います!」とかそんなんじゃないの?専門家でない患者にまかせてどうするの?と思ったりしました。

つまり、病院は検査やらなんやらでわかったことをただ右から左へ伝えているだけ。
自分の知識では理論的に治らないと思うから治らないと伝える。
治したければ、自分で勝手に来ればいいんじゃない的な態度。

リハビリの現状は後で詳しい人に聞いたら、最終的に治らずに状態が変わらずダメだった場合は、「あーここまでしか治らないようですね」と言って終わりらしいです。なるようになるのを見るだけ。

治療に対して受け身で諦めが早いのですね。

うちは違います。僕は諦めが悪いです。
漢方は物理的にこうこう、こうだから治らない。という「治らない理屈」は考えません。
西洋医学から見たら理屈を無視したバカっぽい治療かもしれません。

現に阪大に何年も通って1mmも良くならなった方が何ヶ月かで漢方薬と養生で良くなってきているのを見ています。
そんな方は漢方ではザラにいます。

僕は「とりあえず、なんとかなるかやってみよう。ダメだったらしょうがないしね」的な治療はしません。
最終的なゴールに行き着くためにどうすれば良いのか、毎回、お一人ずつ考えに考え抜きます。

西洋医学の事でわからないことがあれば、師匠の外科医にも徹底的に聞いたりもします。
ついてきてくれるなら僕は本当に諦めが悪いです。

そういう意味では一般の病院の治療はどの分野も「ダメな時はダメだけどやってみる?とりあえず薬、処方しとくわ」的な空気を感じますが、それで漢方は逆に諦めない医学なのだなと思いました。

漢方、東洋医学はマニュアルやガイドラインに沿って治療するものではなく、基礎のガイドラインを踏まえて、患者さんごとに新たな治療方法を考えていきます。
だから、自分のアイディア次第で無限に治療方法をつくりだせます。

西洋医学の場合は、ほぼガイドラインに沿ってやりますので、ガイドラインから外れると「治せない」範疇になるのでしょう。

そこから考えれば、漢方らしい諦めの悪い治療が、患者さんのメンタルのフォローにもなっていたんだろうか。と思ったりします。

ちなみに多分、9割の漢方相談をしているところは、マニュアル的にしかできないと思いますので、結局、西洋医学の病院と同じです。使う薬が新薬か漢方薬かというだけで、根元の考えは諦めの早い西洋医学です。
なので漢方自体がそういう治療ではなく、うちの漢方はそういう治療であると一応、お断りしておきます。