流産の様々な原因

不妊症は病気ではありません。
病院では不妊治療という風に呼びますから、あたかも病気のように感じますが、決して病気の治療ではありません。

西洋医学は病気の原因を追求し、その原因を絞り込んで治療しようとします。
医学に携わった時に始めに出会ったのが、内科のことも把握している外科医の先生。
医者という立場は関係なく、人生で初めて天才ってこういう人のことを言うんだなと思った人でした。
(僕の西洋医学の師匠)

そんな先生に西洋医学のことを教えてもらっていたので、病気って、理論的に考えに考え抜いて原因を解明すれば治せるじゃん!みたいに思っていました。
ちょうど、マトリョーシカの人形のように、次の人形を次の人形をと開けていけば・・・。
そして、結果は最後の人形の中には何もありませんでした。

病気の原因を見つけられなかったのではなく、根元の考えが間違っていると僕は思いました。
徹底的に理論的に原因を追求すれば、病気が治るわけではないのです。
そもそも、一方向から病気を探っていっても、たった1つの原因にはいきつきません。

次の人形の中はカラッポ。
1つの原因を追求して治せるのは急性や外科的な病気だけです。
慢性病は、もともと、原因が1つじゃなく体の機能の様々なアンバランスで起こっているのです。
(師匠に教えていただいた西洋医学の知恵は今の漢方相談には役立っていますが)

ましてや不妊症なんて病気ですらありません。
誤解されると困っちゃいますが不妊症はジャンルというか方向性で言えば、治療ではなく、ガリガリの人がムキムキになるためのトレーニングするとか、ダイエットを成功させるというほうが近いです。

どちらも薬を飲んだらなんとかなるもんじゃないですよね。
日々、身体づくりをしていくしかないのです。

前置きがかなり長くなりましたが、一般的には、不妊症という病気があって、それを検査して原因を見つけ出し、それを克服すれば妊娠!みたいな偽のイメージを病院から植えつけられています。

なので、不妊状態なのは何の原因があって妊娠しないのかを悩んでいる人もいますし、流産の場合も、自分に何の原因があって、流産したのかを悩んでおられる方もいらっしゃいます。

それこそ流産の原因もいろいろです。
西洋医学的には、お母さんになる人の身体が問題とか、受精卵が問題だったとか、原因をわけて考えようとしますが、この線引きってどうやってやってるんだろうと僕は不思議です。

よく言われるのは、流産後の受精卵の遺伝子問題ですが、あれだって、流産後の遺伝子を調べてるから、フツーに遺伝子だって悪いんじゃないの?と素朴に思います。おかしいのかな。
だって、雨降った後に道路が濡れているかどうかって言ったら濡れているに決まっていますよね。
そんなの見て「ほら!道路濡れてる」って言われても「知ってた」としか言いようがないですよね。
何かがうまくいかなくて流産してるんだから。

赤ちゃんの遺伝子が・・・とかお母さんになる方の子宮内膜が・・・とか、なんか原因を切りわけて、1つに絞って追求しようとしていますが、なんかそれって意味あるの?と思います。

妊娠は、精子と卵子が受胎し、それが子宮内膜で育てられ大きくなります。
単純に切り分けていけば「精子がよくなかった」「卵子がよくなかった」「精子と卵子の両方がよくなかった」「子宮内環境がよくなかった」という原因ですね。

でも、これよく考えてみましょう。
原因が仮にわかったつもりになったところで、治療できるの?って話。
流産後になんとなく原因っぽいのがわかったところで、どうせ、クロミッド→HCG→ルトラールとかのホルモン治療ってみんな一緒でしょ。

流産してようが、してまいが、どうせ同じ治療じゃないの。と思うのです。
それだったら、重箱の隅をつつくように原因わかったからなんなの?相手を落ち込ませるのに使うの?なんて穿った見方をしたりしちゃいます。

受精卵は精子と卵子で成り立っています。
つまり赤ちゃんに育っていかない問題は、卵子だけでもないし、精子だけでもない。
端的にみれば、半々なんです。
そして、精子に関しては、受精卵になる前の精子の運動率や奇形率は見えるだろうけど、その検査が平均以上だったら、絶対に受精卵になってからグングン育つ強い精子だと言えるのでしょうか。

根本的に能力的に弱いかもしれないじゃないですか。
だって、人間もそうだけど、見た目だけで能力測れないですよね。
走るのが平均をちょっと超えて平均的な体格だったら、病気にならない強い身体なのかよって話。

不確定要素が多く複合的すぎて、これが原因なんて、決めることなんてできないと思います。
全部の要素が少しずつ、全部関わっているかもしれないですよ。
そこは西洋医学の好きな「原因が1つ」じゃないかもしれません。

妊娠は治療して克服するのではなくトレーニングやダイエットのような方向性のものです。
トレーニングやダイエットで、なぜ、筋肉がつかないんだろうとか、なぜ痩せないんだろうとか、身体の原因を探している暇があったら、さっさと運動や食事で何かをしたほうが、よほど成功に近づくと思います。
体質を妊娠しやすい体質に変えましょう。