不妊治療の奥の手

うちでは、漢方薬のみでの自然妊娠を目指している方が多いです。
もちろん、強制ではなく「うちで治療する場合は、病院やサプリメントを一切やめていただいても、自然妊娠できるようにお手伝いします」というのが、うちのコンセプトです。
(体質によりますが40歳以上の方は病院の治療も視野にいれないといけないケースもあります)

コンセプトは適当に「言ったもん勝ち」ではなく5年間、体外受精にチャレンジしてきたけど、うちで全くの自然妊娠をしたなどの実績ありきでご提案させてもらっています。
もちろん、西洋医学とうちの漢方薬との併用の方も多数、いらっしゃいますよ。

どちらにしろ、漢方薬には、それだけの力があるのですね。
漢方薬は補助的な治療ではありません。

そんな感じで、うちの漢方薬のみで自然妊娠している人が多いので、どんな体質の人にどんな漢方薬を使ったら、どんな風になるのかが、うちではわかりやすいのです。

だって、病院との併用だったら、たまたま「ホルモン剤がよかった」というのもなきにもあらずではないですか。

基本的に漢方治療は、全身いろいろな症状などを聞いて、その情報から「東洋医学的な体質」を判断して、それに合わせた漢方薬を選びます。

間違っても、病院みたいに不妊症なら当帰芍薬散とか、温経湯ではないですよ。
だって、これ体質、見てないし。
「不妊症」って「東洋医学的な体質」なんてありません。

上熱下寒の肝熱とか水毒水証とかといったものが東洋医学的な体質です。
その体質って人それぞれ。
たまたま、最終的な悩みが不妊症ってだけですね。

うちの漢方治療の手順としては、
①身体全身の症状や今の環境などから、体質を分析する。
②体質の何をどう調整したいのか、その方針を立てる。
③立てた方針にしたがって漢方薬を選ぶ。
これがスタンダードな手順。

そして、次回は、その方針に照らし合わせながら、何の症状がどうなったか?
基礎体温に変化はあったのかを見ます。

そして、また、今回の方針を考えて、今回の漢方薬を決定します。
これを繰り返して、体質の調整を繰り返していきます。

間違っても、病院みたいに2、3の症状がよくなった、とかよくなっていない。みたいな、当てもののようなことはしません。

こういう方法でみていきますので、それこそ、人それぞれです。
漢方薬を飲まれてからの反応も人それぞれ。
みんなその都度、その時の状態を分析していくのです。

漢方治療によって、どこにゴール(方針)を置くかを考え、「こういう体質の場合に、この漢方薬を使えば症状は、こう変わって、基礎体温はここにいくはず」という推測が立ちます。

そして、実際に思っているゴールに向かっていたりするわけです。
ところが、年齢が高くなってくると思ったように改善していかないことがあります。

そんな時に、漢方薬の目標からすると、症状などは改善されウマくいっているように見えるのですが、基礎体温が全体的に低かったり、高温期への上がりが弱かったりと。決定的な悪い状態じゃないけど、なんか思うようにウマくいかないことがあります。

そんな時にうちでは、生薬の女性ホルモンを補充するものを加えます。
基本的に漢方治療って、その人の体質に合わせるものなので、サプリのような何かを足してパワーアップ!というのは治療上は、むしろ不利になりがちですが、この女性ホルモンの場合は、うまく働いて、基礎体温を全体的に一段高に押し上げたり、高温期への移行がギューンと上がったりと、縁の下の力持ち的な感じの効果を発揮してくれます。

ただし、これにも弱点はあります。
補充系のものって、どれもそうなのですが、補充しすぎると副作用みたいに逆効果になります。
この生薬の場合もそうです。

補充しすぎると、身体に熱がこもってしまいます。
過剰なホルモン補充は新薬のホルモン剤と同じような弊害も生み、かえって基礎体温を乱すこともあります。

あかくまで、不足しているホルモンを加えるものなのです。
だからうちでは、38歳以上か、それ以下でも必要だと判断した人だけ。
そういった状態の方におすすめしています。

よく他の店では、こういった効果のあるものを「効果がある!」と見るとすぐに倍量にしたりしますが、こういうものこそ、本当にその人に合っているのか、見極めるのが難しいのですね。

うちでは奥の手です。
基本はほとんどの人は「その人の体質に合わせた漢方薬」のみ。
これを不妊症=当帰芍薬散、温経湯みたいなマニュアルで処方せずに治療方針を考え抜いて漢方薬を選べば、誰でも自然妊娠する力があります。

でも年齢などでホルモンの力が弱ってしまったら、こういったホルモン補充系の生薬も有効なことがあるのですね。これは、うちの治療の奥の手です。