なんか良さそうな情報だけを信じると不妊治療は失敗する。

とても変な記事を見つけました。

“つわり”のある妊婦は流産・早産のリスクが少なく、子どもの頭も良いと判明 – IRORIO(イロリオ)

変なこと書いているなと思っていたのですが、あれ、こんな感じの変な記事、前にも読んだ感じがあるなと思っていたら、コレ

40歳を過ぎて妊娠する率は20、30代と変わらない?英サイト調査 – IRORIO(イロリオ)

うわっ!やっぱ一緒のとこの記事でした!

記事の内容自体はよく読んだら矛盾だらけでツッコミどころ満載なのですが、今回は、記事の内容にツッコミをいれることが目的ではありません。

この2つの記事から実は気づいたことがあります。
この2つの記事の大筋というのが非常に似ているなと思いました。

どちらの記事も、本来なら「ダメだ!」と思われていることが「実は悪いことじゃないよ」と思わせる。という共通した感じがあります。

人間には何か困難なことにぶつかった時に3つのタイプがあります。

①自分にとって都合の良いものばかりに目を向けて、そちらを懸命に信じようとするタイプ。

②自分にとって都合の悪いものばかりに目を向けて、そちらを懸命に信じようとするタイプ。

③そして、自分にとって都合の良いことも悪いこともどちらにも目を向けて、冷静にそのことを処理するタイプ。どの情報を信じるのかは十分な検討後です。

僕は8年間、病気の治療をしてきました。
いろいろな人の困難(病気)に対する反応に触れてきたのですね。
そこから分析した人間タイプです。

①の人は病院が好きなタイプですね。厳密にいうと好きというよりも「最後には病院がなんとかしてくれる」となんとなくな感覚で病院に依存しやすい人です。

不妊治療の病院の妊娠反応陽性率(出産率にしたらもっと低いんじゃないかな)は30%。
体外受精などの高度治療を含めてです。
ホルモン剤の治療だけだったりしたら、もっと確率は低いんじゃないでしょうか。
2割切ってるとか。

この確率であの治療代金。冷静に検討したら絶対に治療を受けない値段だと思いません?
だって、7割失敗するものですよ。
70%儲けることができない株にそれなりの財産をかけます?
普通はかけないと思います。

でも①のタイプの人は、都合の悪い部分はあまり検討せずに都合の良い部分だけで突っ走る傾向があります。
(病院の治療がダメだというわけではなく冷静に受けとめて治療を受けましょう。ということですよ)

②のタイプの人は、悪いことばっかりを考えてしまうタイプ。
ネガティブにならずにがんぼうろう!と言いたいところですが、こういうタイプって深層心理的には「失敗した時にキズつきたくない」という心理が働いていることが多いです。
初めから失敗する設定にしておけば、自分が傷つきません。

そして③のタイプ。
何か困難や問題を解決する際はこのタイプでないといけないと思います。
ただし、できたら、少しだけ①の人のようにいい部分を信じて突っ走ることも重要。

実は僕らの業界には「売上げを上げたきゃこうしろ!」という法則みたいなものがあります。

それは、患者さんは「少し脅して」その後に「漢方薬やサプリメントを飲んでたらなんとかなるよ。がんばろう!」って、いいことばっかを説明するのです。
そうすると、よく売れると言われています。

だから、うちではそれを絶対にやりません!
なぜなら、うちは漢方治療であって、漢方薬の販売ではないから。
冷静にどうやったら、妊娠することができるかを良い条件も悪い条件も同じだけテーブルにのせて、最良の方法を考えます。

初めに戻りますが、この記事なんかも同じだと思います。
普通はダメなんじゃないかと思われていることを「そうじゃないよ!」と言ってあげるわけですね。

そうしたら、①のタイプの人なんかは、こういった記事はとても口当たりの良いものとして写ります。

お店の売上げのことを第一に考えれば、都合の良い情報だけを使って口当たりのよいものだけを使えば、商売は繁盛します。
誰だって、耳痛いことは言われたくないですから。

でも、何かを成功させるって、どの分野でもそんなに甘いものではありません。
自分にとって都合のよいことは、得てして成功にはつながらないのです。

うちの不妊治療は僕が③のタイプになって、成功への近道を考えます。
どんな部分は妊娠できそうで、どんな部分が妊娠の邪魔をしているのか?
徹底的に良いことも悪いことも分析し、そして、最短で最良の成功の道を探すのです。

患者さんは①でも②でも成功の道が遠のきます。
だから、①のタイプにも②のタイプにもなる必要はありません。
良い情報も悪い情報も全部、僕に投げてもらって結構です。
後は僕が良い、悪い判断だけでなく、どうすれば良くなるかを考えます。
患者さんは「絶対に妊娠出産できる!」と信じてポジティブであればいいと思います。
ちょっと①のタイプよりでしょうか。

それが健康な赤ちゃんの出産への近道だと考えています。
気をつけないといけないのは、③のタイプのような冷静さが必要な治療する側の病院や薬局に①のタイプのような冷静さを欠いた人が多いことです。