漢方薬をバカにしながら使う病院

以前にある会社さんから依頼されている医療コラムを書くために不妊治療などで使われるホルモン剤の事をネットで調べていました。

いろいろなサイトがあって、その中には辞書みたいにホルモン剤のことがキッチリとまとめてあって、わかりやすいッ!ってサイトがあったのですが、誰がつくったのかがすごくわかりにくく、散々、調べたらある薬局がつくったものでした。

薬業界の裏側を10年以上見てきた僕はこの業界の酸いも甘いも知っています。
サイト製作の店の名前をみたら金儲け主義の思い込みの激しい感じの先生の店だったので、そのサイトはスルー(売り方がうまいだけあって見やすかったけど、信用ができないので)

ホルモン剤の裏をとるために調べていたので、ちゃんと書いているかわからんサイトは飛ばして、餅は餅屋である病院が作っているサイトを中心に参照していました。

そこで、はたと奇妙な共通項に気づきました。

ホルモン剤のページには、そのホルモン剤の作用、商品名、特徴、用法用量が書かれています。

低温期や排卵期、高温期などそれぞれのステージでどの薬を使うなど詳しく書かれているサイトもあります。さすが病院。

それらをずっとみていくと最後に漢方薬も出てくるのです。
そのサイトのタイトルって大概「不妊治療で使う治療薬」みたいなタイトルなので、ホルモン剤の最後に漢方薬が出てきてもおかしくないです。
でも大きな問題があります。

漢方薬もホルモン剤のように商品名(漢方薬)と飲み方と作用が書いてあります。
商品名(漢方薬名)と飲み方は問題ないです。
問題は「作用」

大体、病院なんでツムラの漢方薬なのですが、例えば当帰芍薬散なら ” 間脳に作用し下垂体からのLH、FSHの分泌を高めエストロゲンやプロゲステロンの分泌増加にも効果あります。 ” と書いてあります。

まるでホルモン剤のような働き。
そして一般の人からみた漢方薬は自然のものなので、副作用なくホルモンを高めてくれそう、みたいな。

これ漢方医学からみたら完全な嘘っぱちです。
病院だからってウソついてないわけじゃない。
(法的には問題なく本格漢方の医学理論からみたらウソ)

漢方薬に決まった効果なんてありません。
体質と合わないと効果を発揮しないし、ヘタしたら体質と合っていなければ、副作用を起こします。
当帰芍薬散を飲んでよく胃痛を起こしている人がいますが、あれが体質と合っていない副作用ですね。

漢方薬は作用で考えるのではなく、どんな体質の人に合わせるものなのかを書かなくちゃけないのです。

それに漢方薬と西洋医学は全く何の関係もありません。
だから漢方薬の作用にLH、FSHの分泌がどうとかこうとかって何の関係もないのです。

病院が漢方の医学理論を全く知らずに処方しているのは知っていますが、これだけ公然とウソを載せているのはなぜだろう?と不思議に思い更に調べました。

参照した資料は医者も使っているツムラのマニュアル。(僕も持ってるんですよ。もちろんこんなもので治療はしませんが)

そこの当帰芍薬散を調べていたらありました!
薬効薬理という項目があって、そこに【動物での作用】があります。
その中にありました。
・ホルモンに対する作用(ラット)
・排卵誘発に対する作用(ラット)

出たー!ネズミに効いたらしいです。
ネズミに。もっかいネズミに。漢方薬って体質に合わせるという原則がありますがそれって、なぜだと思います。2千年前から人間に使ってきて、人間の体質に対しての反応を「経験データ」として蓄積し、それを理論にした結果なんですよ。
体質に合った漢方薬なら初めて効果を発揮するのです。

化学的に調べることは悪い事ではないですが、実践の漢方治療とは何の関係もありません。漢方の理屈からいけば「ネズミに使ったんなら、じゃあネズミに使えば」ってなりますね。漢方は経験医学なんで。

人間に使う場合は、その人の「体質」に合わせてください。
ネズミに使った、それも実験結果を人間に使うとか漢方をバカにしすぎ。
そんなにバカにするんなら使わなきゃいいのに。