漢方薬の煎じ薬や粉薬、錠剤の違いって?
ブログ記事のネタって、たいてい患者さんとのお話の中からいただくのですが今日も例のごとく患者さんとの話しの中から書いてみたいと思います。
(ということなので、うちに相談に来られている方はガンガン質問してください。助かります!漢方以外の西洋医学でもサプリメントでもなんでもお答えします)
漢方薬って煎じ薬と粉薬、錠剤などがありますね。
あれって、何がどう違うのでしょうか?
漢方は2千年前から存在している医学です。
2千年前は当然、煎じ薬しかありません。
煎じ薬はグツグツと煮るアレですね。
イモリやなんかの目玉、マンドラゴラなどを切り刻んで、それを煮込みます。
すみません。ウソです。そんなエグいものは煮みません。
いろいろな生薬を煮こみます。
実は漢方薬の種類によって煮こむ時間が変わるのですが、平均すると1時間弱です。
その煮出した汁が漢方薬です。
味は・・・簡単に言えばバツゲームです。
でも昔は当然ですが、漢方薬と言えば大体が煎じ薬しかありません。
現在の粉薬や錠剤は今の技術があるからこそ加工できている粉薬や錠剤なのです。
なので漢方薬と言えば煎じ薬ですね。
しかしこれも細かく見ていくと煎じ薬。粉薬。錠剤も昔からあるのです。
それは今の粉薬や錠剤と意味合いが違います。
近代的な加工技術ではなく、そういう形にしてわざわざ飲んでいたのです。
葛根湯とか湯がついているのは基本的に煎じるものです。
漢方薬の大体が煎じ薬ですね。
当帰芍薬散とか加味逍遙散と「散」がついているものは細かい粉薬なんですね。
昔は石臼で潰していました。
ちなみに当帰芍薬散は粉薬の形でなおかつ水ではなくお酒で飲むのが正当な飲み方です。
錠剤としては桂枝茯苓丸とか八味丸という「丸」がついているもの。
丸剤は、つまり錠剤です。
これも当時は工場なんかありませんからハチミツで練ったりしてつくっています。
で、現在は基本的にはエキス剤とよばれる粉薬が主流です。
粉薬は煎じ薬のように煮込んだものを粉の形状に加工してくれているのですね。
いわば煎じ薬の携帯版のような感じ。
本来の煎じ薬はどれも同じように煎じればいいというものではありません。
漢方薬の種類によって煎じ方にもいろいろあります。
火の調節や生薬の煮込む順番など。
ある種、料理と同じですね。
漢方薬は生薬なので病院の薬と違って、高い値段の漢方薬はそれなりに良い生薬を使っています。
安い漢方薬は安物の生薬を使っています。
現実はそうしないと漢方薬の製造メーカーさんもやっていけませんから。
それに加え、こだわっている漢方薬の製造メーカーさんは煎じる方法も本来の煎じの方法になるべく近い方法をとったり、煎じ薬だったら残るはずの成分が粉の加工でなくなるものもあるのでそれがなくならないように工夫したりと生薬の質だけでなく加工も漢方的にこだわったりしています。
病院の漢方薬はツムラが多いので、これは、おそらくこだわりもクソもないんじゃないでしょうか。
そこは安いんだから、こだわりがなくても目をつぶりましょう。
でも、こだわりのメーカーさんが煎じ薬で煮出した漢方薬に近づけるのはなぜでしょうか?
それは、やっぱり煎じ薬が基本だから。
だったら煎じ薬でいいんじゃないの?って思いますよね。
しかし煎じ薬にはいろいろなデメリットもあるのです。
それは、まず続かない。
毎日、1時間も煮込んでられない。
初めの1週間は誰でもできます。
しかし1週間越えるとちゃぶ台ひっくり返しますよ。
おまけに独特の臭いが部屋中に広がり消えません。
当たり前すぎるかもしれませんが、漢方薬の効果が高いかどうか以前に漢方は続けないと意味がありません。
たまに忘れたりとかやってたら良くならないのです。
そして煎じ薬は効果が性急で強いのです。
効果抜群なんです。
なんだか良さそうでしょ?でもダメなんです。
なぜなら、漢方薬は体質に合って初めて良い効果となるからです。
漢方薬の副作用は「体質と合っていない漢方薬を飲む事」なのです。
もし、煎じ薬が体質と合っていなければ、速攻で、とんでもない副作用に突っ走る可能性もあるのです。
あくまで「効果がシャープ」であって「良い効果」とは限りません。
良いも悪いも「変化が強い」といってもいいかもしれません。
かといって現在の粉薬が弱いかというとそうでもありません。
都合いいかもしれませんが、効果が強くて弱くてと使いやすい感じです。
確かに煎じ薬に比べれば効果は若干遅いし、シャープではないですが、常に体質に合わせないといけない漢方治療にはうってつけです。
効果も体質と合ったときは煎じ薬にそれほど劣らないです。
ただし、こだわりのメーカーさんの漢方薬でないとダメですが。
最後に錠剤。僕的には論外。
どうしても粉が飲めない人にはご提案しますが、おすすめできません。
錠剤は粉薬よりも錠剤にするための添加物が必要です。
ただでさえ漢方薬は何種類もの生薬で成り立っているのです。
それに身体に良いのか悪いのかわからない添加物が含まれたら話しがややこしくなります。
だから、同じ漢方薬でも錠剤はおすすめできません。
便利な代わりに効果が減ったら本末転倒ですから。
追加ですがこのブログはうちの患者さんもよく読んでいただているようなので誤解ないようにしておきたいのですが、錠剤として、おすすめできないのは体質に合わせたメインとなる漢方薬のことです。
補助的に使用する生薬は錠剤を使用する場合もあります。
その場合も錠剤のダメなところは添加物と加工方法なので、うちではそこをメーカーに確認し問題のないものだけを使っています。
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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉
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Twitter:henjaku
2014年3月28日 6:26 PM | カテゴリー:漢方の事あれこれ