不妊症の原因について
西洋医学は1つの原因を突き止めてそれに対して、1つの成分や効果で対応するという原則的な考え方があります。
1つの原因 → 1つの効果の薬
なので、どうしても病気の原因を考える時に「何が原因なのか?」をドンドン突き詰めて1つの原因に絞ろうとします。
西洋医学がこんな考え方なのは、元々、西洋医学の治療の得意分野が感染症の治療や外科的な治療だからです。
感染症は発熱や下痢、嘔吐といろいろな複数の症状があったとしても、原因は1つの細菌が起こしていたりします。
だから、その1つの細菌を殺してしまえば、複数の症状は治ります。
外科的なものも同じで骨折などは、どこかが折れているという1つのはっきりとした原因があります。
当然、そこが治れば良くなります。
この考え方が実は一般の人にも無意識に浸透しているので、何かの問題は、何か1つの原因があるんじゃないかと考えてしまうクセができてしまっています。
だから、不妊症でも「何が原因なんでしょうか?」とあたかも1つの原因さえ取り除けばなんとかなるんじゃないかと考えしまっているような質問をされることもあります。
これははっきりと言えますが、ほとんどの慢性病や不妊症は原因が1つではありません。
「えっでも西洋医学で【病気の原因】なんて説明あるじゃないですか?」
そうですね。西洋医学の本などには、かならず病気の原因が書いてあります。
でも今一度、よーーく読んでみてください。
西洋医学でいろいろな病気の原因を説明していますが、よく読んでみると「その病気になった原因」の説明ではなく「身体の中の病的なメカニズム」を説明しているだけです。
その人がその病気になった原因ではありません。
例えば「排卵していない」「着床障害がある」これは不妊につながる無数にある原因の1つかもしれませんが「あなた自身」の不妊になった原因ではありません。
一般的な不妊症になる要素の1つです。
排卵をしていないのであれば「なぜ、私は排卵しない状態になったのか?」
着床障害があれば「なぜ、私は着床障害になったのか?」
これが真の原因です。
本当の原因というのは、一般的な医学的メカニズムから、もう一歩掘り下げないとダメなんですね。
ちなみに排卵障害とか着床障害なんて、厳密にそういう状態なのかを決める事はどれだけ検査してもできません。
あくまで「そうかもしれない」病院からの押しつけレベルです。
その病気になった原因は人によって違ってくるし、原因も単純に1つではないのです。
不妊症なんて無数に原因があります。
アルコール、タバコ、食事の内容、食事や睡眠のリズム、体質と合っていない生活・・・
いろいろな要素がたくさん積み重なって妊娠しないというところにつながっているのです。
漢方では1つの原因を突き詰めていくというような考え方をしません。
現状の体質を分析し、今の状態を明らかにします。
それをどうすれば、元の健康な状態に戻るのかを考え、元に調整してくれる漢方薬を選びます。
同時に体質が分析できたら、現在の体質に合っていない事柄がわかります。
合っていないことはやめて、体質に合っている養生を行っていきます。
つまり、漢方薬で体質を調整することと、体質に合った生活を送る方法の2つのことを治療としてやっていくのですね。
そうして、冷えや便秘のない健康な身体になれば、遺伝的なものなどの特殊な事情がない限り、誰でも妊娠するようになるのです。
漢方治療というと漢方薬を使えば漢方治療していると思われるかもしれませんが、漢方薬を処方しているだけでは治療とはいえません。
ということで原因をコチョコチョと探して潰していくのではなく、身体全体の健康状態を目指すのです。
ただし、原因を無視してざっくりと健康を目指すのではなく、体質を分析し、おひとりおひとりに合わせた最適で最短の道を探すのですね。
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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉
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2013年8月1日 6:11 PM | カテゴリー:不妊治療と漢方について