それ、本当に漢方薬ですか?

うちに相談に来られた方に僕は「漢方薬を飲んだことがあるか」「漢方の治療をしたことがあるか」をお聞きします。

結構、漢方治療の経験をしている人が多いのですが、
詳しく話しを聞いていくと「えっ・・・ちょっと待って・・・」って感じになることがよくあります。

ご本人は漢方治療をしたことが、あると言っておられるのですが、
話を聞いていると漢方ではないのです。

漢方って情報が少なすぎて世間ではメッチャ誤解されています。
なんだったら、漢方薬を処方している当の医師や薬剤師が誤解していたりします。

一般の方が思っている最も大きな誤解は、

「漢方薬を処方している先生は漢方を知っている」

ところが、これは大間違い!

漢方内科や不妊治療のクリニックでも漢方薬を処方してくれます。
当然、漢方薬を処方してるんだから、漢方をしっているのは当然だと思ってしまいますが、
ほとんどの病院や薬局は漢方のことを医学理論としては知りません。

さっきから「漢方」とか「漢方薬」とか似たような言葉を使っていますが、
「漢方」は漢方薬で治療するための医学理論のことです。
そして「漢方薬」はそのまんま、漢方医学で使用するお薬のことです。

漢方薬は「漢方の医学理論」から体質を考えて選びます。
厚生労働省の原則では「「証」(体質を構成する要素)に基づいて診断する」
みたいなことが書かれています。

ところが、漢方は正式に学ぶ場所も機会もないので、
いつのまにやら、マニュアルで簡易的に選ぶ方法が当たり前になってしまったのですね。

ただ、学校をつくったところで無駄だと思いますが。
だって漢方ってプロスポーツ選手の技術や伝統工芸の職人さんの技術的な感じがあるので、
公式の学校ができたって、そこで優秀な人ほど治す事ができなさそうです。

ちゃんと調べたことはないですが、15年間、薬業界に携わってきた経験からすると、
病院、薬局合わせても全体の2割もちゃんと漢方(医学理論)を知らないんじゃないかと思います。

ただ、最近は、ちょっと変わってきて、病院で漢方薬の事を聞いたら、
「当院で漢方薬は処方できますが、詳しくはないので、どこか専門の先生のところで相談されたほうがいいかもしれません」
って言うところもあります。

そう言われたので、うちに来ました。
みたいな人が増えてきました。

漢方薬って病院のホルモン剤やお薬と違って効果が決まっていなのですね。
「体質」が違うと同じお薬でも効果が変わってしまいます。

だから、漢方薬は「漢方(東洋医学理論)」をちゃんと理解しているか、どうか、
が「薬の効果」にモロに関わってくるのです。

だって、同じ、お薬が体質によって効果が変わるんだから、
なぜ効果が変わるのか東洋医学理論的に理解していないと使えないでしょ。

なので、漢方は漢方薬が処方できる病院かどうかよりも

「本当に漢方を東洋医学理論的に理解し治療しているか」が重要です。

マニュアル治療も大概、邪道ですが、もっとひどいのがあります。

それは、生薬が適当に組合わさったものを「漢方薬」ってよんでいるもの。
漢方薬も生薬が何種類か組み合わさっているので生薬が合わさってるなら漢方薬じゃないの?

って考えてしまいそうですが、そうではないです。

漢方でも中医学では、オリジナルで生薬をあわせて処方をつくることもあるのですが、
それでも、ある程度、原型の漢方薬を改造しながらです。

でも、そういった生薬を組み合わせて出しているところの大半は、
みんなに同じ、漢方薬まがいのサプリメントを出しているのです。

実際に同じ病院の人がみんな同じものを飲んでいたところもありました。
ちなみにそこは、ちゃんとした病院で東洋医学も専門でできますと宣伝しているところです。

今さら、言うまでもないですが、漢方薬はその人、個人の体質に合わせるのであって、
病名に対して合わせません。
だから不妊症だから同じ漢方薬になるとは限らないのです。

漢方には漢方薬を選ぶためのいろいろな理論が書かれています。

こんな症状とこんな症状が組み合わさると、こんな証となり、この証と、この証が組み合わさって、この漢方薬になる。

証(体質を構成する要素)がわかると体質がわかります。

体質がわかれば、漢方理論から更に、その漢方薬が体質と合っていれば、
こんな風な効果で合っていないと、こんな症状が出てきて、と細かい設定がいろいろとわかるのですね。

「漢方」は「漢方薬」で治療するにあたっての使用説明書です。
だから東洋医学的な問診をとらずに漢方薬を処方したり、
その病院やお店に通っている人から誰にでも同じ物を出しているのは、
「漢方」ではなく、漢方薬を売ってるだけ。

治療ではないのです。

今、飲まれている漢方薬は「ただ単に処方しもらったものか?」「治療しているものか?」確認されてみては?