基礎体温のパターンから体質がわかるのはウソ
ネットなどを見ていると、よく基礎体温のパターン別の形が載っています。
標準型とか、低温型とかダラダラ型とか・・・。
不妊症で悩んでいる人なら一度は見た事があるのではないでしょうか。
各パターンにはどんなタイプなのかの説明があります。
低温型なら①高温層が低い。②月経周期が延びる。などです。
漢方系のお店が特にこの基礎体温パターンが好きで載せていることが多いのですが、その説明は漢方とは関係なく西洋医学の説明です。
そのパターンになる原因は黄体機能不全の可能性や甲状腺機能低下症の可能性などと書いてあります。
こういったパターン系のものって、漢方では一番アテになりません。
なぜなら、漢方は体質に合わせて考えていくからです。
【パターンに分ける → マニュアルに従って処方】が好きな先生も多いですが・・・。
基礎体温のパターンを見る時に重要な事があります。それはホルモン剤やホルモン注射の影響です。
基礎体温のパターンは、あたかも、その人の体質別のパターンに見えますが、実は、ホルモン剤の影響によって基礎体温の形がつくられているとも言えるのです。
不妊治療を長く受けられている方は感じているのではないでしょうか?
・クロミッドで排卵予定日が早まる。
・HCGを打てば高温期に上がる。
・ルトラールを飲めば高温期が延びる。
・ホルモン剤を飲んでいたら高温期のまま月経が来た。
などです。
他にもいろいろな薬によって作られるパターンがありますが、不妊治療している方は、果たして今の自分の基礎体温が自分の本当の基礎体温パターンなのかはわからないのです。
薬剤性基礎体温(勝手に命名)かもしれません。
その可能性もあるのです。
だから、現在、病院で不妊治療を受けている状態の人は、ネットにあるような基礎体温のパターンをみて「あっ私の基礎体温は、このパターンだ!」となるのは、おかしいのです。
自分自身の本当の体質の基礎体温のパターンは病院の不妊治療を全てやめてみないとわからないかもしれません。
基礎体温は不妊状態を調べていくための情報のほんの1つのものにしかすぎません。
また、僕自身の経験からいうと基礎体温を治療に反映させる情報として見るには、できれば過去3周期の基礎体温が必要です。
標準的な基礎体温パターンの載っているものは全て月経を0地点として28日周期で見ていますが、月経周期はリセットされるわけではありません。
一度、死んで蘇れば、そこからの月経は「リセット」されたことになると思いますが、そんな人いるわけないですね。
前の月経周期の影響は次の月経周期に影響するのです。
だから、最新の1つの月経周期だけをみて「どうだ、こうだ」とは言えないのです。
それと、先ほども話したホルモン剤などが与える影響があります。
基礎体温を体質とリンクさせて見ていこうと思ったら、理想は、過去3ヶ月前(それ以上前でもよい)から現在までの基礎体温とできれば、病院で不妊治療を受ける前の3周期以上の基礎体温表です。
それらを1周期ごとに区切ってみるのではなく、一つのストーリーとして追いかけて分析していく必要があるのですね。
ここまで「分析は詳しくしないと」なんて話しながら、今更こんなことをいうのは、なんですが、基礎体温が計っているのは、0.5℃位の幅です。
あなたが風邪などで熱が出るときは、1、2℃なんて余裕で動きます。
それくらい細かい、ちょっとしたことで数値が、ぶれるレベルのものを計っているということです。
それに、電子体温計を3本くらい持っている人がいたら試してみてください。
メーカーさんが違えば、ほぼ同時で計っても全部違う体温で出ます。
そんなものなんです。
基礎体温は数々ある体質を分析する要素の1つです。
観察し分析することによって、得られることもあるし、精神的にストレスになる人なら、つけるのをやめてしまうのも治療になることもあります。
まっ漢方ってそういうケースバイケースも考えて治療します。
その人の体質や精神に合わせる曖昧さが心地よい医学だっていうことですね。
2013年2月26日 6:42 PM | カテゴリー:不妊治療と漢方について