プロラクチン値を下げる効果のある漢方薬(笑)

うちの患者さんが他で西洋医学の不妊治療の病院に通っているのですが、そこで「プロラクチン値が高いからプロラクチン値を下げる漢方薬を飲んでください」とその病院から言われたそうです。

この病院、前にも通院初期で「不妊症を治す漢方薬を飲んでください」と勧めていました。

その患者さんは、うちで漢方治療をしていて、尚かつ、うちでは本来の漢方の説明を十分に行っているので、「漢方専門のところでみてもらっているので必要ないです」と2回も断る羽目になりました。

以前に一度、病院の漢方薬を飲む事は断っているのに、また同じように勧めるとは、なんて空気の読めない病院なのかと思いましたが、それはおいといて・・・。

そもそも「不妊症を治す漢方薬って何?」「プロラクチンを下げる漢方薬って何?」って話です。

漢方の理論を一切知らない「病名漢方」で選んでいるから、しょうがないんでしょうが、漢方薬は「証」を立てて選びます。

「証」を立てるとは、その患者さんを【東洋医学的】に、どう診たかということ。
この「診たて」は西洋医学の病名診断や西洋医学の検査数値じゃないですよ。
西洋医学とは何の関係もありません。

その東洋医学的な体質判断のあかし(証)を立ててそれに基づいて漢方薬を選ぶのですね。

ちなみにツムラの医者向けの漢方薬のマニュアルにも漢方薬を選ぶ際は「患者の証を考慮して投与すること」と書いてあり「効能・効果」「使用上の注意」は補完する情報として「参照」してください。と明記してあります。

つまり「漢方の理論にのっとって漢方薬を選び、西洋医学的な効能、効果は補助的な情報にすぎないので、参照に留めてください」と書いてあるのですね。病名漢方やってるお医者さん方、知ってました?

まーそれ、書いてるツムラが漢方薬をより広く医者に使ってもらうために「西洋医学の病名だけで処方する病名漢方」を広めているみたいですが・・・ツムラの元営業マンから聞きました。

要するに、東洋医学の証の判断に「不妊症」とか「高プロラクチン血症」というものは存在しません。

不妊症のAさん、不妊症のBさん、不妊症のCさん。
高プロラクチン血症のAさん、高プロラクチン血症のBさん、高プロラクチン血症のCさん。

みーんな、体質が違うのです。
ついでに言うと年齢も不妊歴も今までの不妊治療の経過も他で持っている病気も違うのです。

「不妊症」とは子供が授かりにくい症候のことを言ってるだけ。
だから、おっきなグループでは不妊症だけど、「不妊症」や「高プロラクチン血症」だけでは、体質の事は何1つ、現してないのです。

だから「不妊症」や「高プロラクチン血症」に効く漢方薬って・・・ないです。
まーあるにはあるけど、ちゃんと体質で合わせてね★って感じ。

いくら漢方医学のことをメーカーさんから貰う資料と勉強会でかじっただけといっても、
その処方の方法はあまりにも適当ではないですか?お医者さん!

うちの患者さんに関して言えば、病院で漢方を勧められるとみんな困っています。

なぜなら、漢方とは、どんな治療なのかを僕から詳しく聞いているので、
「不妊症」や「高プロラクチン血症」に効く漢方薬って言われたって、
そんな考え方の漢方薬を飲んでみよう!って思わないから、困っているのです。

患者さんは、西洋医学は西洋医学で診てもらいたいと思っています。

僕も何も不妊症には漢方薬が一番いいとは思ってません。
体質や状況によったら、西洋医学の方が効果的な場合もあるでしょう。

また、漢方の事があまりわからず「病院が出すのならいいのだろう」と何も知らずに飲まれている人もいるでしょう。

患者さん側がそれぞれの状況や考えで、
飲まれるのは、全然いいと思います。

しかし、うちの患者さんのように本来の漢方医学の事をわかっているから、「適当漢方薬」は飲みたくないという人もいます。

でも、そんな人も病院からすすめられた漢方薬を断ると「気を悪くされて今後の治療をちゃんと診てくれないんじゃないか」
と心配される方もいます。

だから、これからは、「うちは漢方薬を処方しますが、東洋医学は全然わかってません。マニュアルでやってます」とか、「病名漢方のマニュアルで選んでますが、飲みませんか?」と正しく説明してください。

漢方薬は自然のものなので、限りある資源です。
適当でよく分かっていないなら、ブームだからって無理して、「漢方薬の無駄使い」をする必要ないですよ。

未来の子供達にすばらしい資源(漢方薬)を残してあげるのも医療です。