排卵がありそうなのに、なぜクロミッドが必要なんでしょうか?

「月経が毎月あり、排卵も毎月あるのにクロミッドは必要なんですか?」
うちでよくある質問です。

クロミッドとは排卵誘発剤のことで、役割は排卵が行われるようにするホルモン剤です。

「排卵があるようなのに排卵誘発をする」

例え、医学知識がなくても治療としてはおかしいと思いますね。

僕は漢方研究家なので、西洋医学としての意見ではないですが漢方の自然医学の立場から見ると月経が定期的にあり、ある程度2層に別れ、排卵らしきものがある人は全く必要ないと思います。

それどころか、使用してかえって悪くなることもありますよ。

クロミッドは正式名称をクエン酸クロミフェンと言います。

排卵誘発効果というと、誰でも排卵させてくれるような感じがありますが作用を厳密に見ていくとクロミッドは視床下部の脳下垂体に働きかけ卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモン分泌を増加させて卵胞の成熟と排卵を促します。

当然ですがクロミッドは「排卵のない人に使用する」となっています。

なのに今は不妊治療の初期のコースみたいになっています。

こういった治療の方法は、西洋医学の悪い癖みたいなものだと思います。
西洋医学には、身体のバランスをとっていこうという感覚がない先生が多い感じがします。

西洋医学では、良いと思われるものはなんでも足しとけばいいという考え方がある感じです。
だから、クロミッドが必要なさそうな人にも「とりあえず」処方するのですね。

「排卵を促してくれるんだから、足しとけば排卵が強くなるんじゃないか」
「良いものをプラスするのに悪いことなんてないだろう」
なんとも子供じみた単純な発想です。

うちに来る患者さんで20代前半で月経が定期的にあり、基礎体温も2層に別れ、排卵もしているようなのにクロミッドを処方されていました。
ホルモン剤を全部やめてもらって漢方薬のみにしたらすぐに妊娠されました。

病院の治療の方針が一体どこにあったのかがわからないですね。

漢方では、誰でにでも良いものという考えはありません。

簡単に説明すると漢方は、身体が冷えている人には、温める漢方薬を身体に余分な熱のある人(アトピーも体質によっては熱症状)には冷やす漢方薬を合わせます。
そうやって身体のバランスを冷えてもいない余分な熱もないニュートラルな位置に調整します。

身体が冷えている人にとって、温める漢方薬は良いものですが、
余分な熱のある人には余計な熱が増えるので毒になります。

だから漢方では、西洋医学のように、とりあえず飲んでおけばいいという考えはありません。
必要ないものは、飲まないほうが身体にいいからです。

漢方はこういったバランス感覚が治療の根幹になります。

だから漢方から見ると、当然、月経が毎月あって、ある程度2層で、排卵があるような人にクロミッドはいらないのです。

いらないどころか、バランスを崩しちゃうので、よけい身体に悪いですね。

クロミッドは、誰でも排卵させるものではなく、
ホルモン刺激によって女性ホルモンの分泌を促す作用です。

体内のことは実際には誰にもわかりませんが、月経が毎月あって、ある程度2層で、排卵があるような人は、クロミッドを飲まなくてもクロミッドの効果のような女性ホルモンの働きを自前で行っています。

自分でちゃんと仕事をしているのに更に被せるように働きを強制されたらどうなるでしょう?

そう、過剰に働くのです。
だから、クロミッドでたくさん排卵させられたり、
卵巣が異常に大きくなったりするのですね。

この副作用の考え方は、
西洋医学と東洋医学では先ほどのバランスの考え方で180℃変わってしまいます。
副作用の考え方の違いは次回にでもブログにします。

必要のない人にとっては、わざわざ異常な状態にするようなものです。
自分のホルモンバランスがクロミッドのホルモン作用によって崩されるのです。

いろいろな患者さんの話を聞いていると、クロミッドが合う人もいるんだなと感じることがあります。

それは、さっきから話している人と正反対の人。
毎月、月経が来なくて、基礎体温も2層にならず、排卵もない人。

この人は、ホルモンの分泌が不足していそうですね。
そんな人は、やっぱりクロミッドの効果が高い感じがします。
ちなみにクロミッドで妊娠している人の大半は月経がかなり不順な人らしいです。

逆に言いかえれば、そんな明らかに月経や排卵状態が悪い人と、
そうでない人が一緒の薬を飲んでいるのですね。

体質が全く逆のようなもんですから同じ効果なわけがないですね。
いくら西洋医学でもちょっと位、体質に合わせてほしいです。

例え、西洋医学でもバランス感覚は重要です。
ある月の卵巣だけをみて、排卵していないとか判断するものではありません。

ここ何ヶ月かの体調、月経リズム、基礎体温の2層性を総合的に見て判断しないといけません。

無排卵が明らかでない人にもクロミッドを出してるお医者さん。
人間の身体はそんな単純な治療方法が通用するほど甘くないと思いますよ。