医者は治療の説明もシナリオもない!?

かなりの月経不順の方で、漢方での治療も難航しているので、一度、ホルモン剤の力を借りてみて、体がどんな反応を示すか、その反応によって、今後の治療を一緒に考えましょう。
ということになりました。

いつもは「病院の治療なんて、急性病以外、行くだけ時間とお金の無駄!!」と言ってますが、一度、ホルモン治療にトライしてもらいます。

こう書くと、よくある勘違い漢方医のように西洋医学嫌いだと思われそうですが、僕は、別に西洋医学自体が嫌いなわけではありません。
むしろ、パソコンを自作したり、簡単なプログラムだったら自分で作るので、西洋医学のような理論的で科学的なものは大好きです。

ただ、世の中の西洋医学の認識は、ちょっと誤解されてるなーと思うのです。
西洋医学の薬は、対症療法で、人工化合物である外部の成分で効かせるわけで、科学的に根本治療にならないのです。
つまり、西洋医学の治療として必要な分野は「時間単位などで症状が進んで行く急性病もしくは急激に治療の必要があるもの」、「外科的手術」、「出産」、「ワクチン位」で、慢性病に対しては、根本的に治るエビデンスがありません。

なので、今回もホルモン剤を使って治療するつもりではなく、自力での月経周期安定が難しい状態が続いているので、西洋医学のホルモン剤はある種の刺激になると思い、その刺激の結果、生体がどんな反応がするかを見るために病院に行ってもらいました。

いわば、ホルモン剤を飲むことによって、生体能力の検査をし、分析にかける感じです。

さて、ここで病院で悩ましいことが起こりました。
それは、医者がホルモン剤を飲んでいく場合、4パターンほどの方法があると言ったことについてなのですが、
①ピルを飲んで月経を起こす。
②低温期のホルモン剤(プレマリンなど)、高温期のホルモン剤(ルトラールなど)を飲んでいく。
③高温期のホルモン剤(ルトラール)だけを飲む。
④ ②の治療をしながらクロミッドを飲めば妊娠できる。

おー、いろいろな治療方法があって、いいじゃないと一見、思いますが、問題はこの後。

「あなたは、どの方法にしますか?」と医者が言いました。

「わ、わたしが決める・・・医者でも専門家でもない私が・・・薬の薬理や体への影響など何一つ知らないものだらけなのに・・・」

このへんてこな状況、うちでは患者さんからよく聞かされます。

難病系の湿疹の人が、うちの近くでアホで有名な皮膚科(うちの周辺の人が言ってます)に行った時に、抗菌剤〜ステロイドを全部、提示して「好きなのを選んで」みたいなことがありました。

難しい状態になっている人ほど、この場面に遭遇することが多く、おそらく、医学マニュアル的な線からズれると、対応できないのでしょうね。
ひょっとしたら、後でクレームになるのが嫌で逃げてるんでしょうか?
そんなニオイもします。

こういう医者って不思議なのですが、病院には「診察費」を払っているのです。
そして、診察というのは、検査やらなんやらして考察し、診断し、治療する方法を見つける方法なわけです。

患者さんが自分で治療方法を決めて薬を貰うだけなら、それは、処方箋を仲介で出してる、ただの書類仕事です。「だったら、もう、ネットで売ってくれよ」って感じ。
それだと副作用が・・・なんて言う人がいますが、ステロイド塗ってる人なんて、かえって悪くなってるので、副作用があっても、最早、医者から率先して薬使わせ続けてますから。

昔、うちのチビにものもらいができた時に抗菌剤を出してもらい、1本まるまる使っても変わらないので、2本目をもらいに行った時に「先生の見解では、何本目で根治しますか?」と聞きました。

そうしたら、半ギレ気味に「いつ、治るかなんて誰にも分からないし、治る保証なんてできない!」とのこと。

もう一度、「治る保証をしてくれなんて、こちらは一言も言ってない。治るか治らないかなんて、誰にもわからないのは重々に承知している。うちの子の年齢、状況、状態、薬の使った後の変化等々をみて、治療の見通し、あなた自身の見解を聞きたいだけ」と言いましたが、また半ギレで「治るかもしれないし、これから、ずっと薬を使い続けなければいけない」ですって。

治る時は治るし、治らなかったら薬を使い続けるって・・・それが専門家の治療見解!?
薬を使えば症状が治まることなんて、このネット時代、小学生でも知ってるんだから、そんな嫌韓?だったらド素人でも同じことを言えます。

今回はもっとひどいですね。
4つの治療方法のどれにするかを患者さんに丸投げ!

それぞれの治療方法自体の説明も曖昧というか、ほぼない状態で、どの治療方法が良いかの医者の見解もなし!
ただ単に「あなたが決めて」と。

こんな重大なことを医学知識がないのに丸投げされたので、患者さんは悩みに悩みました。

しょうがないので、うちで、
「患者さん自身の目標はどこか?」(④の方法があるので、妊娠に関する意思の確認が必要)
「各治療法で使用する薬の薬理と利点と欠点」(この薬は月経が整うよ〜、みたいなどこかの怪しいサプリメント売りの説明ではないですよ)
「治療の目的、今の体質を勘案して、僕なりの優先順位に割り振る」

うちのスタンスは、目標を明確にして、それぞれの、リターンとリスクを明確にし、自分自身が治療する場合のランク付けを説明し、最後に最終的に自分だったらどの治療を選び、その根拠は何かを説明。
情報をここまで明確にして、そして最後に決めてもらうのは患者さん自身です。

ちなみに、よく医者の3分診療なんかで、医者側の言い分として、医学は難しいから説明しても無駄という意見があったりしますが、ここまでの説明で7,8分です。しかもここまでの説明に漢方は関係なく、西洋医学の知識だけの話なので病院でも十分にできたはずなので、次回から「診察代」をとってるんだから、説明はうちでなく、そっちでちゃんとしてください。

ちなみに東洋医学の角度から見た場合、今回のホルモン治療を生体のホルモン能力の検査とみて、「どうなったら、どう捉えて、どんな治療を選択するのか?」という想定をします。

(仮説A) ホルモン剤によって、月経が安定した場合、どの周期で外すべきか?何周期かは続ける方が良いのか?続けるのは何周期なのか?
(仮説B) ホルモン剤によって出血が続く場合は、次の高温期的な日数が来た場合、高温期バージョンで飲む予定のホルモン剤は、どうするのか?

それぞれの仮説にプラス、現状の体調、ホルモン剤の体に対する影響。つまりホルモン剤が体質を変えるかもしれないという要素を加味して、漢方薬は何を選ぶのかも考えます。
これが今回の僕の具体的な治療方針ですね。

ネットで薬の添付文書から薬理などを簡単に調べられる現在、西洋医学も漢方も、その薬の効果がどうたら、こうたらではなく、その効果をどう使っていくかの治療方針を考えることこそが専門家の仕事ではないのかと思います。