漢方薬の妊娠率

漢方薬を使った漢方治療での妊娠率ってどれくらいか気になるところですね。
うちでもよく聞かれます。

皆さんも答えを想像されていると思いますが、不妊症といっても、若い人から年齢の高い人、日常で何も不快な症状がない人や反対に月経不順の人。もともとアトピーなどの持病を持っている人や膠原病などの難病を持っている人。

病院は、便宜上、不妊症と分けていますが、不妊症は病気ではなく、原因がわかっているものでもないので「不妊症はどれくらいの期間で克服できるのか?」と言われても、本当に人それぞれすぎて、治療に取りかかる前に、どれくらいの期間で妊娠するかを知ることなんて不可能ですね。

逆に「これくらいの期間や確率で妊娠しますよ」とか言ってるところって商売的に買わせるために煽っているだけだと思います。
治療者なのに冷静さのカケラもないですね。

なので、答えは「人それぞれ」になります。

でも、これじゃあ、面白みも何もない答えです。
僕もかれこれ、10年、漢方で不妊治療をしています。
漢方は胃腸科とか皮膚科などはなく、全身をみて体質を判断する医学なので、僕はどんな病気の人でも見ますが、それでも自分たち夫婦が実際に経験した不妊症は、その治療の中でも特に専門的にしているところがあります。

今までたくさんの不妊症の方の治療をしてきたので、その経験をもとに妊娠率というか、こんな人が妊娠しやすい条件とその条件に付随する治療期間ですよ。ということは話せるかなと思います。

まず、最初に漢方薬を飲んでいたら、やがて妊娠するわけではありません。
妊娠させる効果の薬なんて西洋医学のホルモン剤や薬を含めて、この世に存在しません。
西洋医学も東洋医学も妊娠しやすい状態をつくるための治療です。

なので、漢方の場合は特に「漢方薬だけを飲んでたら、どれくらいで妊娠するのか?」なんて答えを出すことは不可能です。
ただし「どのように取り組んだら、どれくらいで妊娠したか」という共通項や条件は、あるような感じです。

うちの妊娠するまでの期間は、どうも4パターンな感じで、
治療を始めてから1ヶ月〜3ヶ月以内に妊娠する人。
6ヶ月〜8ヶ月以内に妊娠する人。
8ヶ月〜1年6ヶ月以内に妊娠する人。
1年以上の治療継続という感じで分かれます。

1ヶ月〜3ヶ月以内に妊娠する人というのは、40歳など比較的、年齢が高い方でもいらっしゃいます。
40歳以上で妊娠された方もうちに来るまでに全然、妊娠したことがないという人だったので、偶然でもないようです。

条件的には年齢が若いか高いかということはあまり関係ない感じで、病院でホルモン剤を使ったことがない人が多いです。
共通しているのは、性格的にあっけらかんとした感じの人が多く、妊娠したいけど、「妊娠するか、どうかに頓着していない」といった感じの印象です。
逆に短い期間で妊娠する人の中に「なかなか、妊娠しないのですが、どうしましょう」と常に悩んでいる方はいません。
身体の状態よりも性格の方にうまくいく要因がありそうな感じです。

基礎体温は低温期と高温期のメリハリがはっきりとしている感じのパターンが多いです。
後、ご主人が一緒になって協力している。という感じがあるのも、この期間で妊娠する方のパターンです。

6ヶ月〜8ヶ月以内に妊娠する人。うちの患者さんの中で、この辺りが、一番、多い感じです。
年齢的には38歳までの方が多いです。
ホルモン剤は、クロミッドと注射を少しだけ。など、少しだけ経験はあるが、それほどガッチリとは使ってこなかった方が多いです。

うちの治療で徐々に徐々に身体のいろいろな症状や基礎体温などが調整されて良くなっていく感じで、階段を上る感じで、良くなった末に妊娠達成!といった感じです。

うちは、体質にあわせた食事や運動、気持ちの持ちかたなどのアドバイスをするのですが、そういった生活の中で、できることも当初から頑張ってされている方が多いです。
基礎体温の全体的なバランスは、排卵期に少し弱点があったり、高温期がやや短かったり、それほど悪くないけど、弱点はあるよねーといった感じ。
ご主人は最初は協力的でなく、中盤から協力的になってくる感じです。

8ヶ月〜1年6ヶ月以内に妊娠する人。
こちらは6ヶ月〜8ヶ月以内に妊娠する人のパターンで38歳以上になってくると、それ以下の人よりも、少し時間がかかってくる。という感じです。

1年以上の治療継続。
つまり、1年以上になるけど、妊娠できない人ですね。
年齢が高いほど、この期間にはいる確率は高くなるように思います。
ずばり、このタイプの共通項は、ご主人が協力的でないです。
奥さんが1人で、がんばっている感じ。
不妊治療の病院の経験も長かったり、豊富でホルモン剤もいろいろと長期間使ってきています。

体質に合わせた運動や食事も「やりたいけど、なかなかできない」といった感じの人が多いです。
性格的にも、良い意味でも悪い意味でも妊娠を意識しすぎていて、常に妊娠しないことに悩んでいる感じです。

以上が妊娠にかかる期間と条件です。
あくまで僕の感覚値で科学的でないですが、10年間の不妊治療の僕の印象です。
もちろん、誰でもこんな感じのパターンに、はまるわけではありません。

総合的にまとめると、
・いろいろな種類や強い作用のホルモン剤を使う。そららのホルモン剤を長期間、使う。
・男性側が協力的でない。
・妊娠のことで常に悩んでいて忘れることがあまりない。
・養生ができなくて、以前の生活パターンと何も変わらない。

この条件が強くなるほど、妊娠までの期間も比例して延びていく感じです。

そのまま逆の、
・ホルモン剤を使用していない。
・男性側が協力的。2人で目標に向かってる。
・妊娠のことを忘れている位の良い意味で意識が重くない。
・妊娠するための生活に変えている。

が誰よりも早く妊娠する条件なのかなと思います。
ちなみに他の病気との兼ね合いですが、妊娠に関わっている場合と関わっていない場合があります。
関わっていない場合は、不妊症を優先に治療します。
妊娠んと他の持病と関わっている場合は、総合的に全部を治せるように考えます。