ヘタしたら自然妊娠より低い確率の人工授精

実はうちの相談では以前から人工授精は、かなーーーり妊娠の確率が悪い!!
ということを話していました。

もちろん、適当に言っていたわけではなく「これこれこう言う理屈から考えると確率が悪いはず」という話をしていました。

そして今日、ある記事にその事を裏付けるような記事を見つけました。

精液にとって大事なのは精子だけではないかも

ちなみに記事中に「人工授精でたくさん妊娠されています」という誤解させるような文がありますが、人工授精の成功率は6%〜10%だと言われています。

この表現だとわかりにくので表現を変えてみます。
人工授精は90%以上の確率で「失敗」するということです。
その人の捉え方によると思いますが、1割以下の方法が「たくさん妊娠している」とは僕は思いません。
医者は90%以上の失敗も失敗とは考えないみたいですね。

人工授精というのは精子を濃縮し卵管近くに送りこむ方法です。
精液を遠心分離機にかけて、精子だけを取り出し、精子エキスみたいなものを卵管まで届けるのですね。

西洋医学の好きな濃縮です。
そもそも西洋医学の薬の考え方の根本が精製、濃縮です。

「西洋医学上で良いと思うもの」だけを濃縮して、その成分を抽出し薬をつくります。
人工授精の場合も同じです。
妊娠に関わるのは精子と卵子なのだからと西洋医学上で考えて精子だけを濃縮するわけです。

サプリメントは西洋医学の薬のまねごとみたいなものなのでサプリメントもこの考えが好きです。
「体に良いビタミンCだけを濃縮しました」

ところが記事によると不妊治療専門の先生が、この濃縮が問題かもしれないと書いています。

なんでも今年に日本受精着床学会での研究発表で精子を濃縮をかけて、その際に取り除く精漿という精子の周りにあるものが、妊娠に深く関わっていることがわかったとのことです。

この記事では「今年の研究発表でわかった」と書いてありますが、実は僕が不妊治療を勉強する際に使用したある本ではすでにそういったことは書かれていました。
ちなみにその本は24年前に書かれてたものです。

僕が以前から人工授精は下手したら、自然妊娠よりも確率が悪いと説明していたのは、この本に書かれてたいこともありますが、漢方医学的に考えれば当たり前のことなのです。

漢方は自然医学なので、自然界に無駄なものはないと考えます。
西洋医学が漢方薬の成分を分析して漢方薬を解明しようとしたら、どれも似た様な主成分で成り立っていることがわかりました。

例えていうなら、何百種類の、どの漢方薬も主成分はビタミンCかビタミンEみたいな感じですね。
だったら、2、3種類の漢方薬だけで良いのか?

違います。ここには今回の人工授精と同じ大きな落とし穴があります。
それは精製、濃縮するターゲットである「主成分」とよばれるもの。
人工授精でいえば「精子」です。

この主となるものは、現時点の化学で勝手に主成分と決めているだけです。
そのものに多く含まれるから主成分とは限らないし、そのものに多く含まれるものだけで物は成り立っているわけではないのです。

主成分以外の全ての成分はなんらかの役割があるのです。
それを勝手に。正に勝手に「主なるもの」と判断するところが化学の傲慢さですね。
勝手に主成分と決めて後のものを取り除いてしまうのです。

精子の周りの精漿は今回の記事の中で書いてある免疫の問題や精子を守るバリアとなったり、いろいろな役割があります。
西洋医学の研究で妊娠に関わるのは「主たるものだと思っていた精子だけではない!!」と西洋医学で証明しちゃってるんですね。

また妊娠までの過程では精子はストレートに即受胎というわけではないです。
いろいろと複雑な経路を経て受胎します。
このあたりのことは詳しく書くと長くなるので今回は割愛。

妊娠というは一種の戦いです。卵子というたった一人の姫を救出するのです。
迎え撃つは姫を取り巻く子宮や膣の環境です。
姫を守る側はなんと精子1億匹をゆうに殺せる力を持っています。

そんな過酷な中で生き抜くために複雑な経路や精子の周りの精漿があるのですね。

人工授精の際に精子だけにするというのは、言わば、いつもの装備を全部没収して丸裸で過酷な戦場の最前線に送り込むようなものです。即死ですね。

それに精子が弱いかもしれないから送り込めばいいと考えているかもしれませんが、わざわざ過酷な環境で強い精子を選ぶということも妊娠するために必要な過程なのです。

ものすごく弱い子に対して親があれこれやってあげる。
これで成功するほど自然は甘くないですね。
だから、僕は自然医学で考えれば「ヘタしたら自然の手続きをちゃんととる自然妊娠の方が人工授精よりも確率が高いかも」と言ってきたわけですね。