体外受精に取り組む前に考えること

うちに不妊相談に来られる方はうちに来られる前はどこかの病院で体外受精などの高度治療をされていて、その後にうちの漢方治療のみで妊娠されるということが圧倒的に多いです。

うちでは体外受精との併用でも治療させていただいているので、特に病院の治療を中止してくださいとは言っていませんが、皆さん、自然にうちの漢方1本に絞られることが多いです。

以前に体外受精をされていた方も病院の不妊治療をされたこともない方も、うちの漢方治療1本に絞って何ヶ月かしても妊娠できない状態が続くと「そろそろ、体外受精なんかの病院の治療もしたほうがいいですか?」とう質問をよくされます。

うちで治療をしてきて、体調も整い、基礎体温もキレイになってくると「なぜ、授からないのだろう?もっと強い治療をしたほうがいいのかな」と思われるのでしょう。

しかし、この時に僕はその前に考えなければいけない、いくつかの重要な事をお話ししています。

不妊治療は実は呼び方的に「治療」という名前がついていますが、厳密には不妊症は病気でもないし、治療するものでもありません。

何らかの病気で、その病気が治るわけではないので、例え、今まで悩んでいた症状が良くなり、基礎体温がキレイになったとしても「身体が治ったから来月は妊娠ですね」という世界ではないのです。

人間は動物の中で最も妊娠しずらい動物で、ある統計によると1ヶ月の中で妊娠する確率は25%とたったの2割弱です。
それも年齢も高くなく特に問題のないカップルであったとしても。

健康で若くても「人間」自体の妊娠確率が低いわけですから、これにもし何かのトラブルや悩みがあれば、論外ですね。
2割弱の確率が1割とか5%とか、よほどのラッキーでないと妊娠しない世界になります。あくまで統計ですが。

そんなわけで不妊症は「治療」をするのではなく、厳密には体調と基礎体温を整え、妊娠の確率を上げることが必要なのです。
妊娠の確率を上げた状態を常時、保っておくことが真の不妊治療なのですね。
ホルモン剤で基礎体温の上っ面をキレイなように見せることではありません。それもできてないようですが。

確かに妊娠には年齢的な時限式の問題もあります。
人によって焦る期間は違うと思いますが、何ヶ月かで体調と基礎体温が整ったのに妊娠しないのは、別に病気だから妊娠しないのではなく「妊娠とはそういうものである」ということも考えておかないといけません。

そして、ある程度、期間が経ったからといって焦って体外受精に過度な期待をかけないことです。
体外受精は確率から言えば30%の成功率です。
うちの嫁さんは以前、不妊治療の病院で働いていましたが、37歳以上の人の体外受精を見ているとせいぜい15%位じゃないかと言っていました。

全国平均でも3割の成功率です。
「赤ちゃんがほしい」「高度な治療」「高額な治療」というバイアス(思い込み)がかかり皆さん、成功率を正しく評価できなくなっています。

3割弱なんて、普通で考えれば治療にすらなっていません。
ましてやあの高額な治療で成功率3割なんて金額やパーセンテージの数字だけ見れば詐欺みたいな感じです。

だから「詐欺的な治療だ」と考えるのはなく皆さんが思っているほど、成功率の高い良い治療ではないということ、下手すればホルモン剤のせいで自分の体調や月経がむちゃくちゃになるかもしれないリスクも同時に孕んでいることを今一度、冷静に考えて体外受精を検討してほしいと思います。
(実際に体外受精に関わるホルモン剤で体調や月経がむちゃくちゃになった人は結構、いらっしゃいます。このブログでも、そこら辺りの話をよく書いています)

ものすごく成功率の悪い治療の上に高額だけど、やってみるというのであれば、それも1つの方法なのだろうと思います。良いとか悪いではなく、冷静に考えてみよう。ということですね。

そして、最後に最も重要なのは、妊娠は女性だけではできません。当たり前。
男性と一緒に取り組んで初めて成功します。

治療となると女性が卵を育てる役割がある分、女性に負担がかかりますが、男性もいないと妊娠は成り立たないのです。

男性の場合も病院の検査で問題ないからOKではありません。
なぜなら妊娠の成功は治療ではなく確率論だから。

検査で問題がないのは「妊娠させることができないこともない」と言ってるだけで、検査が良いのはいわば当たり前なのです。
男性にとっても不妊症は病気じゃないので「検査で問題ないから来月は妊娠成功ですね」じゃないのです。

検査が問題ない上で、より万全の体調かが、妊娠率を高めることができるかのキーポイント!
何せ妊娠って精子側から見ると1億匹の精子が毎回ほぼ皆殺しにあって、それがたった1匹生き残れば成功です。
考えられないような歯列な争いに勝たないと成功しないわけですから、単純に強くなければ「検査的に問題ないけど、妊娠するほど強くない」という状態が延々と続くわけです。

それに今まで男性の生殖能力は年齢が高くても問題ないと言われていましたが、男性も年齢が高くなるとダメなんですね。
それが下記のニュース。
女の子が生まれるどうこうと書かれていますが、要は男性も35歳をすぎれば生殖能力が落ちると言う内容です。

精子濃度は40歳が分岐点 高齢男性に女児が生まれる確率上昇

日本ではあまり男性の高齢による妊娠の影響のデータ等が少ないですが、日本語に訳されていない海外の論文を探せば「男性が高齢時に授かった子は鬱傾向が強い」とか、あまり良いことを書いていない論文はたくさんあります。

なので体外受精を考える前に考えないといけないことは男性側の問題として、
「ご主人に疲れはないですか?」
「何か気になる症状や病気はないですか?」
「タバコは吸ってないですか?」
「たしなむ以上の量のアルコールは摂っていませんか?」
「睡眠は一定してちゃんととっていますか?」
「しっかり運動して体力をつくっていますか?」
「お菓子やカップラーメン、コンビニ弁当など添加物を摂っていないですか?」
ということを考えましょう。

体の調子は悪いけど精子は元気。そんなことあるわけないです。

体外受精を考える前に自分たちで、できることはやりつくしたか?
今一度、それを考えてみましょう。

全部を十分にやりつくし十分に検討したのであれば、妊娠確率が低い割に高額で体がおかしくなるリスクもある治療だと割り切って体外受精を検討してみましょう。