治療の方針性や計画性を感じられない体外受精

病院の治療は不妊治療に限らず、いつも治療の方針がないと感じます。
感じるのは治療の方針ではなく治療のガイドラインです。

僕が怪我して曲がらなくなった指の診断が「一生治らない」という自らの負け宣言(医者からしたら他人の怪我なんてどうでもいいのかもしれないが)から始まり。
その「僕、治せません」という堂々とした負け宣言から、まさかのリハビリ治療に促します。

「えっ治らない」と言ったのに、なぜゆえにリハビリを奨める?
多分「医者である僕が何もしないのもアレでしょ」的な言い訳のようなルーティンワークなのでしょうか。

自分は治らないと「診断?」したわけだから、当然、リハビリ治療に、これから治るための治療方針も計画性も何もないわけですよ。

適当に通って、ちょっとだけ良くなったら「がんばった甲斐がありましたね。前よりは少し(ほんのちょびっと)良くなりましたね。怪我が重かったから、これだけ治ったのもすごいと思いますよ」なんて気休め言われて終わりでしょうね。
バカらしくて行ってないので、想像ですが、個人的に知っているリハビリの人に聞いたら、そんな感じらしいです。
(ちなみに4ヶ月経った今は漢方と鍼で完全に曲がるように治りました)

今日は僕の話ではなく、病院って、どの病気でかかっても常に治療の方針や計画性が見えないような気がするという話です。

今の現状だけをなんとかしようとして、この先、どういう風に治っていくのか。
そういった方針が見えたためしがありません。
とにかく近視眼的なんですよね。

この前も体外受精をやってみるといった方が病院で、少し年齢も高いので、いろいろ薬で治療して採卵しよう!みたいになったそうです。ほとんど本人との相談もなく。

そして、月経後からセロフェン → ゴナール → ガニレスト → ゴナドロピン と飲み薬に注射にとやりたい放題。

10日でしめて10万円!
そして、結果は3個の卵が育って2個が採卵できて、その後、すぐに全滅。

次の周期は、ご本人の希望(強い主張)で病院の薬は一切なし。
それだけでは心許ないので、うちの漢方薬で月経から採卵予定日4日前まで飲む排卵誘発的な方向の漢方薬とそこから切り替えて採卵予定まで飲む違う種類の排卵誘発的な方向の漢方薬(ややこしい!!)
2種類の漢方薬を使い分けてお飲みいただきました。

そして結果は、2個採卵で1個移植です。

ちなみにうちで排卵誘発的な方向の漢方薬を2週間ほどお渡しした金額は千円ちょっと位。

病院は10万円で移植できる卵ゼロ。
うちの漢方薬は千円で移植できた卵1個。

金額だけで比べられるものではないですが、金額だけで見ると病院の採卵するための治療はうちの100倍かけて結果がゼロなわけですよ。

漢方薬ってすごいでしょ!
ってことが言いたいのではなく、問題は患者さんからお話を聞いていたら、10万円分の治療をしなければいけなかった治療方針が病院から見えないことです。

これだけの大金をかけて結果は出さないし、おまけになぜ、その方にそれだけ高額な治療が必要だったのか?それも何も見えてこない。
方針や計画性が、まるっきりないんですよね。

多分「年齢が高いし、なんか大変そうだから、たくさん薬使っちゃえ!」みたいな感じでしょうか。
もしくは「うちの病院のマニュアルではそうなってますから!」

病院の治療っていつもそうです。
その人の体質というものを見ようとしないので、なんか治療に困ってきたら、やたらバリエーション豊かに、あれやこれやと薬を増やします。アトピーでもそうですよね。

子供のような発想で「武器が多かったら強い!」みたいなのも確かに、なきにしもあらずでしょうが、なんとも幼稚な治療に感じます。

やはり、そこは「何の薬がどのタイミングでどれくらい必要なのか?」「それはなぜ、そのタイミングで必要だと考えたのか?」未来を見据えた治療方針と計画性がほしいですよね。

月経が長引いたからリセットするのにソフィアとか、高温期に上がらないからHCG、もう1本いっとく?みたいな、その場、その場で対処するのではなく「この薬は次回の月経にどう影響するのか?」もしくは「うまく妊娠した場合はどう影響するのか?」

そういった、ちょっとした未来を予測しながら治療してほしいものです。

と言っても、現実は西洋医学は個人ごとの体質を見る術がないので、細かく厳密に治療していこうと思っても無理なんですけどね。

(人間)(女性)(不妊症)だったら治療はコレ!
位しかできないでしょう。
せいぜい、それに年齢を考慮する位でしょうか。

治療ってやっぱり、先を見据えて、不妊症だったら次回の月経周期や状態を見据えて、今の治療をやっていくべきじゃないかなと思います。

行き当たりバッタリまではいかないでしょうが、どの科で治療を受けてもそれを感じます。

不妊症の本当の原因とその克服方法

現在、不妊症は社会問題にも発展しています。
妊活などの言葉も使われるくらいです。

不妊症の原因はさまざまです。

病院的に見れば、排卵障害だとか、着床障害だとか、卵子の在庫数が少ないとか、キャッチアップ障害だとか、いろいろと人間の身体をロボットのように見立てて、どこの部品がダメなのか?みたいに見ていますが、僕はどれも違うと思います。

多分、ほとんどの人は厳密に見れば、原因不明です。
病院では、いろいろ細かな原因を見て、何かの決定的な原因を探ろうとしていますが「絶対にこれが原因!だからこれさえ治れば妊娠!」なんて、ほとんどの人に言えないでしょう。結局、原因不明なのを誤魔化すために、あれやこれやと言い訳を探しているように思います。排卵障害→だから不妊みたいな。

では、漢方から見たら原因はなにか?
と言われると漢方は、そもそも医学理論的に西洋医学と全然違いますので、原因を必死に探して治療するという方法はとりません。

今の全身の状態(体質)のアンバランスを見て、今のアンバランスを整えることが治療です。

治療を放っておいて、手足が冷えている原因(屁理屈?)を探すのではなく、手足が冷えているのであれば、手足を温める処方を使ってバランスのとれた健康の状態に戻すことが第一なのです。

とは言っても不妊症になる原因はあります。

人間は他の動物に比べて非常に妊娠しづらい動物です。
20歳位の若い健康的な男女のペアであっても妊娠率が25%もないのです。

でも、現実は、妊娠する人は簡単に妊娠したりします。

どっちなんだ!と言われそうですが、ある条件によって妊娠しやすいとか、妊娠しにくいと別れてくると思います。

妊娠しやすい条件は、より若く、より自然な生活をしているか。
要するに単純に自然や動物という状態に近ければ近いほど、人間は簡単に妊娠できると思います。

極端に言えば、朝、日が昇ったら起床し、日没になったら眠る。
自然にできた作物を食べて、それなりに身体を動かす。疲れたら眠る。

昔の生活ですね。

これだったら、自然の中の動物である人間の身体に無理がないので妊娠しやすいのです。
生活がナチュラルであるほど、妊娠しやすいということですね。

当たり前と言われれば当たり前なのですが。

逆に妊娠しづらい条件は、若くなく自然から離れた生活ほど、不妊症に近づくと思います。

夜中まで仕事をして、精神の負担は大きく、その割に身体はあまり動かさない。
眠る時間も食べる時間も不安定で、食べているものも便利だけど人工的な添加物だらけ。

こういった生活モデルって別に健康に無頓着な人が悪いことをしてこうなっているわけではなく、先進国で生活していたら、誰もが余儀なくされるものです。

女性の社会進出も広がってきていますので、そういった要素も不妊症を助長させる結果になっているのかもしれません。
良い悪いは別として自然の営みからすれば、かなり外れていますから。

不妊症を克服するのに、できることなら、やったほうが良いのは女性がのんびりと家で過ごしながら不妊治療に専念することです。
もちろん、その時の生活はよりナチュラルに近い生活です。

いろいろな事情で、それが難しかったとしても、できるだけ、その生活に近づける努力をすることです。

漢方薬は西洋医学の薬のようにホルモンを活性化したりするものではありません。
例え不妊治療で相談に来られたとしても、漢方治療では体質をみて、体質をバランス良く整えることが目的です。(病院は東洋医学的体質を見れないので漢方薬がホルモン活性するなど、明後日方向の効果と勘違いして処方をしていますが)
だから、時には不妊治療をしながら長年のアトピーが治っていくという一挙両得な時もあります。体質によりますが。

全身の体質を整えるというのは、全身の働きがバランス良く連携し活動することです。
つまり、今の微妙にいろいろな気になる症状がある時点よりは若返るわけです。

そうして、どんどん若返っていけば、妊娠する力が単純に上がるわけです。
年齢が高くても若返るようにすればいいのです。
(うちでは45歳の人もがんばっておられます)
でも、漢方薬だけに頼っていても、まだ妊娠できるかわかりません。
漢方薬は直接ホルモンを活性化させる薬じゃないし、妊娠させる効果のある薬でもないからです。

生活をより自然にしていく努力も必要です。
生活リズム、睡眠、食事や運動ですね。

これらの要素を自分の体質に合わせて、自分の体質の弱点をカバーするように取り組んだほうが、より妊娠率は上がります。

FSHやLHが少ないとか内膜が何mmしかないとか、人間をロボット的に見て、細かなことを神経質にチクチク突くことはできますが、養鶏場のニワトリじゃないんだから、ホルモン剤だけでなんとかなるものではありません。
不妊症は病気じゃないからです。

原点は人間としての妊娠する力です。
それを呼び覚ますきっかけは漢方薬が与えてくれますが、その力を養うのは、あなたです。

妊娠は2人の要素があるので運で左右される部分もありますが、かれこれ10年位不妊治療をしてきて、漢方薬と生活養生をされている方をみていますと運に左右されずに努力が実るものだと実感しています。(自分達夫婦の不妊治療も含めて)

不妊症に鍼治療ってどうなの?

昔っから患者さん達に「不妊症に鍼ってどうなんですか?」って聞かれていました。

鍼もどちらも東洋医学で、昔は鍼と漢方薬は分けて考えていません。
どちらかというと2つで1つといってもいいくらいなので、当然、漢方薬と同じ位いいものだということになります。

でも、僕は「鍼はやめておいた方がいいよ」とお話ししていました。
なぜか?
それは実体験から、そうお話ししていました。

まず、うちの隣って鍼灸院なのですが、うちが開業した時にあいさつに行った時に僕も「東洋医学なんですよ!先生は、どういった流派ですか?」って聞いたら「ポカン・・・」とされました。

それから、うちの近くの鍼灸院を家族に片っ端に行ってもらったのですが、どこも「東洋医学的な体質を見る」ということをしませんでした。

電気あてて、脈診っぽいことして鍼をちょっと打って、後はマッサージ。
うちの家族に聞いてみると、ほぼマッサージで東洋医学的な体質なんかみてないとのこと。
「証」なんて言葉すら知らないんじゃないかとのこと。
「証」って漢方での体質の要素のことです。

その時に隣の先生に東洋医学のことを聞いても「ポカン・・・」とされた意味がわかりました。

それから、鍼の経験のある患者さんに治療の内情を聞いても、どこもどう考えても東洋医学的な「証」を出さずにトリガーや凝ってる患部に直接、鍼を打ってる感じ。
いわゆる漢方薬で医者がやってる病名や症状にあてはめて漢方薬を出しているのと一緒の病名鍼というものです。

なので、鍼のことを聞かれた場合は「鍼はすごくいいものだけど、まともにできる人がほぼいない感じです」とお答えしていましt。

うちの患者さんから鍼の要望が結構あるので、ブログでも「鍼の先生で東洋医学的体質(証)をみて鍼を打てる先生がいたらご連絡ください。患者さんを紹介いたします」と何度か告知しましたが、誰も連絡をくれませんでした。

そして、この間、僕は事故に合って右手の人差指を怪我しました。
2つの病院(1つは指専門の医師、もう一つは整形外科の院長)で治らないと太鼓判を押されたので、途方にくれて友達の鍼灸の先生に「僕の怪我、治せる?」って連絡しました。

そうしたら、2つ返事で「治せますよ」

そして、今2ヶ月ほど鍼治療してもらって、病院が一生治らないと言っていた指は、90%ほど治ってきています。
今の経過でいくと完治しそうな感じ。東洋医学さまさま!

それで鍼の認識を改めました。
鍼スゲーっ!

実はその友達は前から知っていたのですが、鍼で本当の治療できると思ってなかったので、今までは鍼の話は詳しくはしていませんでした。

いろいろと話してみると、ちゃんと体質(証)を見て治療できる先生です。
僕も病名や症状で漢方薬を合わさず、ちゃんと体質(証)で合わせます。
もちろん、自分の怪我でも体質と漢方薬を合わせて飲んでいました。
今回の自分の治療に当たって、その先生と話していると、いろいろと東洋医学的治療の方針が一致するのですね。

考えてみたら、もともと、大昔は同じ先生が鍼と漢方薬の両方の治療をしていたのだから一致して当たり前ですね。
ただ、今ままでは鍼を東洋医学として、まともにやってる先生に出会えなかったのです。

毎回、「漢方薬の体質から考えたら、こうこう、こんな状態だから、鍼ではこんな感じで治療してはどうだろうか?」とお話しすると「それだったら、こうこう、こういう治療方法も加えてみたらいい」と治療方針の打ち合わせをしながら治療してきました。

それで、うちでなかなか妊娠しづらい方が何人かいらっしゃいますので、この先生なら大丈夫だと考え、不妊症でも鍼の治療をお願いしました。

そうしたら、今お一人、妊娠した感じです。
今は妊娠状態を保つ漢方薬と鍼治療の併用です。

「偶然じゃないの?」と思われるかもしれませんが、この方はうちでも何年か通っていただいていて、体外受精も6,7回経験されています。

なかなか、状況が打開できなかったのですが、鍼で状況が変わった感じです。

鍼治療ってすごいなと思いました。

ただ、ここで誤解されると困るのですが、その鍼の先生に聞くと体質(証)を見て鍼を打てる人(つまり正当な東洋医学の方法)で治療できる先生は、ほぼいないと考えてもらっていいとのことです。

そして、保険診療では、良い先生に巡り合うのは不可能だそうです。
いろいろな健康保険上の制約で自由に治療ができないからです。
うまくいったとすれば、それはラッキーでしかないとのこと。

鍼治療はすごいと思いましたが、やはり「鍼はすごくいいものだけど、まともにできる先生がほぼいない感じです」というのは間違っていなかったようです。