体外受精で使うべき薬

うちでは年齢の高い人であっても病院での不妊治療は中止されます。
別に僕が「うちは漢方なので西洋医学するんなら見ませんよ」みたいな頑固一徹なことではなく、僕が「ホルモン剤での治療は皆さんが考えているより効果ないし、体外受精も最後やれば、なんとかできるってものでもないですよ」ということを科学的かつ理論的にお話すると皆さん、自然にやめられていくようです。

「病院なんて、できるだけ行きたくない」というのが皆さんの本音のようですね。
わかります。僕も基本、病院は大嫌いなので。

不妊治療の病院との併用であろうとなかろうと、僕自身は漢方薬と生活養生のみでの自然妊娠を目標としています。
でも、長くうちに通っていただいていても、なかなか妊娠できない。という方もいらっしゃいます。

妊娠って本当に不思議です。
43歳で、うちで漢方薬を飲み始めて1ヶ月で妊娠する人もいれば、30歳でも2年かかったという方もいらっしゃいます。

漢方でも、なかなか妊娠できない。そして年齢も余裕がなくなってきた。
そんな場合は、僕は結果重視なので、体外受精との併用をこちらからオススメすることもあります。もちろん、自然治療で目指されるのであれば、僕は一緒に考えていきますが、そのままタイムオーバーになったら元も子もないですからね。

そこで問題になってくるのが、病院で使うホルモン剤。

うちに来られている方は、大体、うちに来られる前にそれこそ、体外受精も何度か経験があったりして、その時に体調や基礎体温がむちゃくちゃになっていくのを経験しているため体外受精と漢方の併用の場合の病院のホルモン剤をどうするかの問題が持ちあがります。

「やっと、漢方薬で体調や基礎体温を整ってきたのに、またホルモン剤やらホルモン注射をすると体調も基礎体温もガタガタになるんじゃないか」

実際にホルモン剤は、その方の体調や基礎体温をガタガタにします。
うちで漢方治療していて、やむをえず体外受精との併用をする患者さんを見ていると漢方で整っていた基礎体温がホルモン剤でみるみるおかしくなっていきます。

薬理から考えれば当たり前ですよね。
本来なら、自前の体でリズムを刻んでいるホルモンを外から薬として無理やり足すわけです。
まるっきりない状態から、ホルモン剤を足して構築していくなら、みんなと同じホルモン剤を使っても問題ないでしょうが、自前のホルモンリズムがなくなっているわけではなく、どれくらいのホルモンの量やどの種類のホルモンの組み合わせなら、その人にとってベストなのか、それこそ人それぞれのはずです。

それが、使うのは、みんな同じホルモン剤ですから。
おかしくなるに決まっていますよね。
生理学や薬理がわからなくたってわかるようなことです。
単純なこと、バランスの問題なのです。

睡眠もリズムとバランス。食事もリズムとバランス。
生殖に関する月経だってリズムとバランス。

いつも0時に寝て7時に起きる人に対して、毎日。昼寝2時間を強要したら・・・
夜眠れません。だんだん、いつもの睡眠のリズムが崩れていきます。
朝昼晩、きっちりとご飯を食べている人に毎日、間に2食の食事を付け足すように強要したら・・・
胃がおかしくなり体調が崩れていきます。

この昼寝2時間の強要、間2回の食事の付け足しの強要が、月経リズムにとったら医師が治療だと勘違いしているホルモン剤ですね。

リズムが崩れないほうがおかしいのです。

となると、体外受精であっても、ホルモン剤なしでいきたいところでよね。
うち的な理想としては、漢方薬で体調と基礎体温を整えて、体外受精の技術の部分だけ使いたいところ。

でもここに問題が出てきます。
それは、採卵。

採卵の日は、教科書的には月経から14日目ですが、そんな、うまいこといきません。
2、3日ずれてしまうことはザラです。

でも、病院は一人のために採卵日を何日もとれないのです。
これは体のことと関係なくビジネスの問題です。
採卵を受ける患者さん側も「いつの日でも採卵にいける」という風にはできないわけです。

予約の日はある程度、決まっていて、見方を変えれば、自然のリズムで採卵できる日を決めるのではなく、採卵する日をこちら側から強制的に決めなければいけません。

だから、採卵を抑制するスプレキュアや採卵を促すHMGなどで採卵を人工的にコントロールしないといけないのです。
本来のバランスを崩さないといけないということですね。

これは「体にいい」とか「体に悪い」とかでなく、病院も患者さんもビジネス、社会構造、生活リズムなどの問題でそうするしかないのですね。

でないと全くの自然採卵にまかせていると「排卵した後で採卵できない」とか「採卵予定日は予約がとれない」とか「高額な料金がかかるのに毎回、採卵を外してられない」といった理由で結局、採卵できません。

僕自身の理想としてはホルモン剤は体の本来のバランスを崩すので、漢方薬で体調と基礎体温とを整えて、体外受精では薬を一切、使わずに技術だけを借りることだと思いますが、現実はそうはいかないのですね。

体外受精でも一切、薬を使わないことを標榜している病院もありますが、現実は、先ほどの採卵日の予約の問題やらなんやらで、結局、なんらかの薬を使うことになっている方が多いようです。

病院は、ホルモン剤をたくさん使ったってデメリットがないと考えているので、自分自身でリスクとリターンをしっかり計算して、ホルモン剤は最低限にすることが必要かもしれません。