不妊治療に整体はアリなのか?

不妊症は病気ではありません。
なので「治療」ではないのです。

この考えは非常に重要です。
みなさん、それは百も承知です。
でも、身体には落ちていないのです。
病院で治療を受けてたりすると「排卵の部分がうまくいったら妊娠するかな」とか「最終的に体外授精にステップアップすればなんとかなるんじゃないか」と無意識に考えてしまいます。

病院で「治療」し何かが治れば妊娠する。
そういう危険な思考に囚われてしまいます。

不妊症を「治療する」という考えでいくと、基礎体温がよくなってきたり、満を持して体外受精をした後に全然、妊娠しない状態が続くと精神的にやられます。

だから「治療ではない」という感覚を持つ必要があります。

そもそも何をもって治療というのか難しいですが漢方では治療というよりも崩れた健康バランスを調整すると考えたほうがいいです。

西洋医学でいってる肝心の治療もほとんどが、その場しのぎの対症療法ですから、妊娠をその場しのぎの治療で実現しようと思っても難しいですよね。

うちの場合は、妊娠しやすい身体づくりを一緒に考えていきます。
治療じゃないので、何か明確な原因があるわけじゃないし、原因なんか考えたって無駄なんですね。

だから漢方薬も妊娠しやすい効果があるわけではありません。
漢方を勘違いしたピンボケ先生なんかは「着床しやすくする」とか「黄体ホルモンを高める」とか言ってますが、そんな西洋医学の効果は漢方薬にはない。とか、ある。といった問題でなく、漢方では一切ありません。元の概念が違うのです。

うちで治療(便宜上こう呼んでおきますね)していると、長くても3、4ヶ月するといろいろな不快な症状がなくなってきます。

いわゆる治ったような状態にはなります。
体調で気になるところはありません。

でも妊娠はしません。
妊娠は治療の先にあるわけではないので。

だから、うちでは治療のためでなく妊娠のための方法を考えなくちゃいけません。
ゴールは体調をよくすることだったり、検査でダメだと言われたところを良くすることではないのです。

ゴールは妊娠と出産。
そして、体調を良くしていくのはメインイベントではなく妊娠するための最低限度の参加資格。
治療はただの妊娠するための参加資格の得るためのものです。

その上で、運動や食事など、できることはなんでもやっていく必要があります。
僕の仕事は、体質を漢方薬で整えることも、もちろんですが、その人の生活環境や体質に合わせた授かるための方法も考えなくちゃいけない。

時にはあえて、強い漢方薬を付け加えて妊娠のきっかけに使ったり、漢方薬も正攻法の体質を整えるだけでなく変則的な使い方をする必要もあります。

この時になんでもかんでも付け加えていくのが妊娠させるための方法だと勘違いしている先生もいます。

漢方薬だったら、いいと思われるものをドンドン足していったり、妊娠に役立ちそうなサプリメントをジャンジャン加えたり「物が多いと強い!」みたいな幼児的発想ですね。

僕もあえてバランスを崩す漢方薬を加えて刺激を与える方法をとることもありますが、それは「不妊症にいい!」という漢方薬を単純に足すことではありません。

元の体質を理解した上で、あえて様子をみながら刺激を与えたりするのです。

また、最近あったことなのですが、うちでずっと飲んでいただいていたご夫婦の方がいました。年齢も高くないのに、全く妊娠しません。

体調は漢方薬のおかげか良くなっていたのですが、とにかく妊娠はしない。

ここで、僕はいろいろなことを考えなくちゃいけない。
そこで、考えたのが、関節の痛みをよく訴えていたこと。

関係あるのかどうかわかりませんが、筋肉を軟らかくして子宮への血流を良くすればどうだろうか?と考え、僕が懇意にしている整体院を紹介しました。

そうしたら、そこの先生の話では腰あたりの筋肉がガチガチだという話。
早速、施術してもらったら、ものすごく身体が軽くなったようです。

そして、3週間後に妊娠。
その整体がよかったのか、漢方薬を飲んでいたのがよかったのか、何がよかったのかわかりませんが、妊娠はしたわけです。

この話って整体がいいという話ではなく、妊娠するためには、ホルモン剤や漢方薬で治療してたら成功するわけではないので、その人の体質に合わせて「妊娠する何か」を考えなくちゃいけないよ。という話なのですね。

ちなみにこの整体の先生、よくある流行りにのっかった「不妊治療やってます!」みたいなところではありません。
うちとよく似ていて、病名を聞いて治すのではなく、その人の体質をみてその人をバランスをとるように治療します。
うちの嫁さんは、ここに通っていて、過去にも方々、何件も整体に行ってますが、ここは別格。後はただのマッサージ屋だと言ってました。

決して「整体」が不妊症にいいという話ではありません。
整体はともかく、不妊症の克服はホルモン剤などの型通りの治療をすれば、妊娠するのではなく、妊娠するための方法を一緒に考えることが重要なのです。
漢方薬はその中のほんの一部の方法です。