ダイエットサプリ、L-カルニチンで不妊治療とか(笑)

最近、不妊専門の病院はサプリメントを使うようになりました。
僕は8年前から不妊症の漢方治療に携わっていますが、病院がサプリ屋に変わってきたのはこの2年くらいでしょうか。

前にDHEAのことをこのブログでも書きましたが、今回はL-カルニチンについてです。
Lーカルニチン、4、5年前だかに薬業界ではダイエットで流行ったサプリメントです。

それも1、2年ですたれてました。
「脂肪を炎症する」と言う、うたい文句のサプリです。

そのダイエットサプリが今、不妊治療で復活!
病院でサプリを売られたと聞いた時「さすがお医者様!感覚が古っ!」と思いましたね。

今さら一昔前のサプリを不妊治療で使うとか・・・
僕はそれは違うんじゃないかと思います。

はっきりいって医療業界はサプリメント分野では遅れてると思います。
なぜ、医者はサプリメントに対して遅れをとっているか?

僕は昔、薬業界でサプリメントなどにも関わっていましたが、その頃、医者はサプリメントをバカにしていました。
なぜなら、当時の医者から言わせればサプリメントには新薬のようなエビデンス(科学的根拠)がないから治療では使えないという理由です。

それは間違っていません。今も法令上はサプリメントはあくまで食品扱いです。
スーパーに売ってる食べ物とサプリメントは一緒のモノということです。

だから、当時も「治療には使えない!」といって、見向きもしませんでした。
実は薬業界の歴史もヒモ解くと昔は医者と同じようなことを言ってました。

しかし、ドラッグなどの乱立で薬局も一般薬で儲ける事ができなくなり、他の道を模索しました。その新しい道が「サプリメントを使って治療をする」というもの。

一部の薬局は相談薬局と名前を変えて、いろいろなサプリメントを使用して病気の相談に対応していました。
それが20年以上前の話し。

ネットが発達した、この3、4年はサプリメントも一般的になりましたが、その前は本当に上質のサプリメントはちょっと特殊な相談薬局にしかなかったのですね。

それが、今はネットの発達でサプリメントはそこらに溢れていて、医療に疎い素人の人でも商売として扱っていたりします。

そんな素人的な分野まで落ち込んだサプリメント。
そんな一般的に広がってから今度は病院が使いだしました。
だから「古い!」と思ったのです。今さらサプリ?

そしてL−カルニチンは薬業界ではとっくにすたれたダイエットサプリ。

卵子の生育によかったデータがあるとか、なんとかサプリお得意のデータ論法でしょうが、はっきり言って飲むだけ無駄。
サプリメントのデータなんて、なんのアテにもなりません。
ちなみに僕は昔、サプリメントの仕事に携わっていたときに商品開発をしたこともありますし、データをとっている大学にも仕事で行きました。

まー今だから言えますが自分でサプリメントを開発したときは必死で、それっぽいデータを集めました。データって大学に頼んだら、ある程度、自分の思うように出してくれるんですよ。
厳密には良いデータじゃなかったら公表せず、自分のほしいデータのとり方でデータをとるのです。

この時は騙すとかそんなのではなく、サプリメント業界の常識がそうだったのです。

僕はいろいろなサプリメントを知った上で漢方の道にとりました。
それはなぜか?
それは家族の病気を通じてサプリメントって気休めにしかならないことを痛感したからです。

だから、僕はあらゆるサプリメントのことを知っていますが、うちではすすめません。
うちで漢方治療する場合は「サプリメントは全部やめていただいてかまいません」と自信を持って言ってます。お金の無駄。

「サプリメントをやめたって、良いも悪いも状況は変わりません!」とお話してます。
実際に全部のサプリメントやめた後に聞くご意見は「先生の言う通り、何も変わらない」です。

それに今の病院のL-カルニチンの値段を聞いていたら単純にボッてますね。
せいぜい、ちょっと良い商品でも月6000円くらいが妥当でしょう。

今は携わってないので、病院の事情がわかりませんが、僕が仕事で携わっていたときに、当時、病院関係でひろめようってことになったことがありました。
その時に、メーカー側としたら、薬局に売るよりも病院の場合は高く売りつけるようにもっていきます。そして、実際に高く売る事ができます。

それはなぜかというと、元々、病院でサプリメントを売るようなところは今回の不妊治療みたいに実費で高額な治療代金をとっていたりします。
それに薬局と違って、医者がすすめたら薬みたいに勘違いされて簡単に売れるのです。

更に病院って実は経営手腕が低い人が多く、一般的な感覚からズレてる人が多いので、商売としての金額の感覚がよくわかっていないのです。
要するにサプリメント業界をよくわかっていない病院はメーカー側からすると「いいカモ」だったわけです。

当然、仕入れが高くなるので、患者さんは高くで買わなくちゃいけないという図式になるのです。

20年以上前、薬業界がサプリメントを始めたキッカケは栄養ドリンクやら一般医薬品で利益を上げることができなくなってきたからです。
それで当時は目新しいサプリメントに目をつけたわけですね。

だから、今、不妊治療の病院がL-カルニチンやらメラトニンやDHEAをすすめるのは、サプリメントの歴史を知っている僕から見たら、ひょっとして本業の治療に行き詰まっているんじゃない?と、ちょっとしたデジャブを感じます。

なぜ、L-カルニチンが無駄かを医学理論的に書こうと思いましたが、長くなったので、それは今度にでも書きます。
ちなみにサプリメントの場合は、効果が弱いからダメとかそんな問題ではありません。
原料や加工、効果の証拠としているデータ、販売経路など、そこには業界の裏を知らないと分からない、いろいろな問題があって、治療としては無意味なのです。