不妊治療 漢方と西洋医学の決定的な違い!

不妊治療のことでうちの店でよく聞く意見ですが「次回の体外受精までに自分の体質をちゃんとしておきたいので漢方治療しようと思って・・・」とか「どれくらい漢方治療したら病院の治療を始めたらいいですか?」という質問があります。

この意見や質問から、おそらく皆さん、漢方薬で体調を整えて病院で妊娠しやすく?なる治療を再開する。みたいなイメージを持っているのではないでしょうか?
漢方薬で体調を整えて、病院の治療の掛け算で妊娠率倍増!みたいな。

商売的に考えれば、僕は皆さんが思っているイメージ通りに「そうですよ。漢方で体調を整えて、後はがんばって病院で治療しましょう!」の方がいいし、なによりも楽です。

だって、妊娠しなかったのは病院のせいにできますから。
「僕は体調を整える方、担当なので。それじゃ!」ってな感じです。
なんとか、妊娠するまで。なんて気負う必要がありません。

なにがしかの問題というのは、病気でも借金系などの何かのトラブルでも考え方は同じです。
現状の問題を全て出し切って、それらを冷静に観察し、それらを分析した上で必要な行動を遂行していく。

これは不妊症でもアトピーの治療でも同じです。
現状はどうなのか?
その解決手法になっている病院という方法はどうなのか?

患者さんはしょうがないですが、僕らは漠然と漢方も病院もイイ治療じゃない!みたいな感覚ではいけないのです。

そこで良いとか悪いとか、正しいとか正しくないとかは関係なく、冷静に西洋医学と東洋医学の役割と治療をお話します。

あえて皆さんの妊娠成功率を高めるために言っちゃいますが、漢方薬の治療と病院の不妊治療で効果は倍増はしません。

わかりやすく言えば、漢方は自然治療です。
本来の自然の健康状態を取り戻してもらって、妊娠しやすい身体づくりをします。

西洋医学のホルモン剤などの不妊治療は、わかりやすく言えば、反自然治療です。
(これ、悪い意味で言ってるのではないですよ。あくまで冷静な分析で話してます)
その人の本来あるリズムなどは無視して外部から考えたルールで排卵させようとしたり、高温期を延ばそうとしたりします。

どちらにも共通しているのは漢方も西洋医学のホルモン剤も妊娠する薬ではない!ということです。(ただし高度治療は妊娠しやすく手助けする技術です)

妊娠する薬なんて存在しません。
どちらも妊娠のプロセスに関わる月経リズムや基礎体温を変化させることが治療目的です。

漢方治療の場合は、より自然にその人本来の月経リズムになるように手助けします。
もちろん、その過程で冷えやら頭痛やら便秘やらも治ります。
その過程で治るというよりも、漢方は全身をベストな状態に調整することが目的なので、症状がなくなるから正常な本来の月経リズムに戻るとも言えます。

あっ!ちなみにここで話している「漢方治療」は、不妊症の人っていうだけで東洋医学の問診もとらずに当帰芍薬散や温経湯をマニュアル的に処方したり、ちょこちょこと話しを聞いただけで婦宝当帰膠やタンポポ茶を出したりする漢方モドキの事ではありません。
ここでの漢方治療とは「東洋医学的な体質」を判断し、その人のためだけの治療方針を構築して漢方薬を選択できる治療のことです。まともに漢方ができない医者や先生が多いので、ちゃんと治療できる先生ということが「漢方治療」の前提です。

続きです。
西洋医学の不妊治療は、その人、本来の月経リズムは関係ありません。
お手本だとされている28日周期の14日ずつの低温層、高温層に近づけることを目的としています。また検査の標準からずれている部分を人工の強いホルモン剤を使って操作します。
どちらにしても、その人個人の状態ではなく、標準と比べてズレているかどうか。
そうやって人工的かつ強制的に排卵させたり、高温期を無理矢理、引き延ばそうとしたりします。

漢方治療も西洋医学の不妊治療も実は目的はよく似ています。
ただ、西洋医学はその人の持っている本来の月経リズムは関係ありません。
ホルモン剤はマニュアル的に決まっているので、排卵させて注射で高温期に上げて、またホルモン剤で高温期を延ばすのです。
体調は関係ありません。
手足が冷えていようが頭痛が慢性的にあろうが、それは「科」が違います。
とにかく「ホルモンの部分だけ」をいじって、妊娠しそうな状況をつくります。

漢方は月経リズムは、その人の身体全体の状態と関わっていると考えるので、手足の冷えや頭痛も漢方では月経リズムと無関係とは考えません。
全身の症状を治療しながら、正常な月経リズムを目指します。

ここまでで、お気づきになりましたでしょうか?
漢方の治療はあなた本来の健康な体調やあなた本来の健康な月経リズムを目指します。
西洋医学の不妊治療は、あなた本来の健康な体調は関係ありません。
月経リズムも基本的には理想のモデルに合わせようとします。

つまり、漢方治療で体調がよくなり、なんかイイ感じの月経リズムになったって、病院でやることは、それを無理矢理、操作することです。
だって、自然に排卵がありそうなのにクロミッドを飲んだらどうでしょう?
自然に高温期に上がっているのにHCGを打ったらどうなのでしょう?

身体はホルモン剤の効果の影響を受けて、逆にバランスが乱れるのです。
バランスがとれた状態というのはゼロの状態です。
そのゼロの状態に強いプラスのホルモン剤を加えればプラスの方向にバランスは崩れます。
無月経や本当に排卵が困難な人にクロミッドなどを処方するのですよ、普通の状態の人に処方して何も影響がないわけがありません。

逆に悪影響がないのであれば、本当に困っている人にも効かないということになります。

理想的で平均的かつ人工的な月経周期に近づけても妊娠するとは限らないのです。
漢方では本来の月経リズムになるほど妊娠しやすくなります。だから28日周期とは限りません。

そんなわけで、漢方治療で整ってから病院の不妊治療をプラスしようとしても、プラスにならないのです。かえってバランスを崩してマイナスになるかもしれません。
漢方治療は自然治療。西洋医学の不妊治療は反自然の人工治療。
これらは残念ながら相容れないのです。

ただし、高度治療だったり高齢な方や身体の状態によっては今回の話しがそのまま、あてはまりません。
病院の治療が悪いわけではないので、どう使うか?を考えていかなければいけません。
実際にうちでも病院の不妊治療と漢方薬を併用されている方もいらっしゃいます。

ただ、無条件に漢方薬で体質を整えて、病院の不妊治療をしたら、より妊娠率が上がるというわけではないのですね。
病院の人工治療のみで、なかなか結果が出ない人は漢方の自然治療に切り替えてみるのも1つかもしれません。