体温が高いままの月経ってなぜ起こる?

基礎体温の体温が高いまま月経がくる。

不妊症で悩んでいる人なんかは、経験があるかもしれません。

通常は、月経がくれば、体温はストンと落ちて月経がきますよね。
それが月経が始まっても体温は高いまま。
体温が高い位置から徐々に下がっていって、月経の3日後か4日後にやっと、36.3℃などのいつもの体温になるということがあります。

こういた状態は様々なことが考えれますが、今回は西洋医学と東洋医学、数々の不妊治療経験など総合的に考え合わせて僕の見解を話してみたいと思います。

月経前の高温期は体温が高い状態です。
もし、妊娠していれば、当然、体温は高いまま続いていきます。
当然、この場合は妊娠していますから月経はきません。

でも、おしかった妊娠状態というものもあると思います。
受胎して着床した。でもそこからすぐにダメだった。
いくつか読んだ不妊治療関係の論文や書籍の中に妊娠が、かすることはあると書かれています。

また、現場で治療していても、妊娠がかすったんじゃないかと感じることは多々あります。
こういった場合は、ホルモン自体は高温期を持続しようとし、その後、流産になっても、ホルモンはしばらく高温期を保とうとする状態が続くと思うのですね。

なぜなら、人間のホルモンの切り替えはアナログだから。
当たり前ですね。
人間は機械じゃないから。スイッチみたいにパチパチ切り替えられません。
月経周期は低温期と高温期でざっくりといえば正反対の状態を切り替えていってますので、いきなり白が黒になったりしません。

ゆるやかに切り替わっていくのですね。
なので「妊娠しかけた」状態だとホルモンの切り替えが出遅れて体温が高いまま月経がくることがあると考えられます。

この状態は特に問題ありません。
人間の身体は元の状態に戻していこうとする力が働きますので、次回の周期にはすっかり戻っていたりします。

このケースの場合はその時の月経時に経血に血の塊のようなものが目立ったり、オリモノが多かったりすることがみられます。

こういったケースでの体温が高いままの状態は問題ありません。

問題は自然妊娠を目指している人ではなく、病院の不妊治療でホルモン剤や注射をしている人。
この場合の体温が高いままの月経は意味合いが違ってきます。
病院の不妊治療をしていてホルモン剤を飲んでいる場合は、ホルモン剤の影響です。

特にルトラールなどの黄体ホルモンを加えるものやソフィアなどのピルは、治療薬ではなくホルモンをいわば添加するようなものです。

ルトラールなどは高温期が短い状態を伸ばすために処方したりしますが、実際に飲まれている方の意見などをお聞きしているといつもの月経予定日に月経かのような感じがあるが、月経が来ず、結局、いつもよりも3日位、高温期が延びて月経がくるらしいです。

一見、高温期が延びて大成功!といった感じですが、問題はいつもの月経予定日に下腹に痛みがあったり、胸が張ったりといつもの月経的な感覚があるということ。
つまり、体質的にはいつもの月経予定日だけど、ホルモン剤によって身体が騙されて高温期が3日間ただ単に延びただけ。という状態なんですね。
高温と内膜の厚みを保つホルモンの量が一時的に多くなっただけ。それでただ単に延びただけ。

こういった場合、体温が高いまま月経になることが多いです。
こういった状態がホルモン剤は決して治療薬ではなく、ただのホルモン補充である悲しさですね。

体質的に高温期を長く持続できるようになったのではなく、薬で一時的に誤摩化しただけ、騙しただけですね。でも根本的に体質を整えないと身体は元に戻そうとしますよ。

高温期が長く続かないのは、黄体が多いとか少ないというような単純な問題だけではないです。月経はリズムなので、その前の排卵期や月経期の女性ホルモンの連携も関わっているのです。
それをいわば当日の高温期に慌てて黄体を加えたからといって、28日間の月経周期全体が整うなんて都合の良い理屈はないわけですね。

時々、西洋医学って実は一番、身体の自然な働きをナメてるの?って思う時があります。
「少なそうだからホルモン足したらいい」とか料理の味付けじゃないんだから。

もう少し治療の戦略にスマートさがほしいですね。

ま、そんなわけで、ホルモン剤を飲んでいる人と化学的な人工治療をしていない人では、体温が高いまま月経になる状態は一緒くたには考えられません。