何歳まで妊娠可能でしょうか?について

時代の流れでしょうか。不妊症で悩む方も年々、年齢が上がっています。
うちでは若い人は20代前半で卵巣嚢腫やチョコレート嚢胞などを持っている人が相談に来られていますが、40歳以上で特に大きな問題はないという人もたくさん相談に来られています。

こういった流れの中で最近、よく質問されるのが「何歳まで妊娠できますか?」という質問。
気になるところですよね。

ネットで調べてみると驚くなかれ!
自然妊娠では57歳とか、体外受精では66歳なんて人がいるようです。

そこからいくと「60歳位までいけるんじゃないですか」って気軽に言いたいところだけど、もちろんこれは世界のびっくり仰天ニュース的な話しです。

では日本ではどんな感じでしょうか?

有名なのはパーソナリティーの坂上みきさんが53歳で妊娠したことですが、どうも調べていくと本人の卵子なのか卵子提供なのか怪しいようですね。(調査不足かもしれません。間違ってたらごめんなさい)
高齢出産で詳しく調べていくと、どうも卵子や精子が当の夫婦のものでなかったりといった怪しい感じのものが多くなります。

漢方治療には体外受精という治療はないですから、ここでは自然妊娠という部分から考えてみたいと思います。

漢方ではその医学理論の中に生まれてから天命を終えるまでの一生を記しているものがあります。

漢方では腎の臓に自分が生きていく上でのエネルギーが一生分蓄えられていると考えられています。

赤ちゃんをつくるのもこのエネルギーを使います。
余談ですが、不妊症に八味丸を使っている先生がいますが、この漢方医学論の全体的な概念と実際のその人現在の体質を混同して腎系のトラブルによく使う八味丸を処方しているんじゃないかなと思います。

医学理論の全体的な概念とその人独自の現在の体質は一緒ではないのですが、単純な発想で「腎を強くしたら妊娠」みたいに考えちゃうんでしょうね。残念な処方です。

横道にそれましたが、その腎のエネルギーは腎の精といいます。
これには2つの種類があって、1つは生まれつき持っている先天の精。
もう一つは生まれてからの生活の中でつくられる後天の精です。

先天の精は生まれつき、決まっています。
遺伝みたいなもんでしょうか。
だから、妊娠しやすかったり、妊娠しにくい人がいたりするのですね。
身もフタもない話しですが「あの人は生活むちゃくちゃなのにすぐに妊娠した」というのはおそらく先天の精が生まれつき強いんだと思います。

で、この腎の精の流れで人間の営みがわかるのですが、
この精って女性は7年単位で変化していくと考えらrています。

まず、
7歳で歯が生え変わり髪が長くなります。

14歳で月経が始まります。

21歳で親知らずが生えて身体全体の調整が完了します。

28歳で筋骨が充実し髪は最も長く豊になります。

35歳になるとシワが目立ち始め白髪がチラホラと目立ち始めます。

42歳になるとシワが増えていって白髪が進行します。

49歳になると閉経となり生殖能力がなくなります。

※髪と歯のことがよく出てくるのは腎と歯と髪が深い関係があるからです。
一種のバロメーターですね。

これは、漢方の治療の考えの基礎となる「素問 上古天真論編」に書かれています。
これが2千年以上も前に書かれていたというのが驚きですよね。

この漢方の医学理論からいくと、理論的な妊娠の限界は49歳ですね。
そして、妊娠が難しくなるのは35歳から。
次に難しくなるのは42歳。
妊娠を妨げるハードルが28歳以降、35歳、42歳と跳ね上がっていく感じですね。

う〜ん、これは現代医学の女性ホルモンや卵子のことから見ても、非常に的をついていると思います。ある程度、現代医学と一致します。

結果、自然妊娠はいくつまでか?と言われると49歳までということになります。
商売的には「自然妊娠は49歳まで可能ですよ」と言ってまわりたいところ。

しかし現実は35歳から厳しくなってくるということです。
そこで漢方薬の役割は何なのか?

35歳以降から書いてあるのはシワや白髪。
これって単純に人間の老化の現れです。

つまり、35歳以降から自然妊娠しようと思ったら、逆から考えればシワをなくし白髪をなくすこと。老化をなくすことなんですね。
エステいってシワとか白髪を隠したりとかそういったことじゃないですよ。

病院は漢方的な体質をみれないので、ホルモン剤代わりに当帰芍薬散とか処方していますが、漢方薬での不妊治療の目的はホルモン剤の変わりをすることではなく、体調を整え、若返りをはかることなんです。

だから、不妊症だったら当帰芍薬散や温経湯ではなく、その人の体質合わせた漢方薬で調整し若返りをはからないといけないのですね。

さっきの話しを思い出してください。腎の精は赤ちゃんをつくるのにも「自分の身体を運営する」のどちらにも使っているのです。
となると「疲れがとれない」とか「慢性頭痛がある」とか「PMS」だと腎の精は自分の面倒をみるだけで精一杯!とてもじゃないけど余分に赤ちゃんをつくるためにエネルギーは回せません。
だから、自然の法則から見ると体調が全開でないと話しにならないのですね。

逆に体調が自信を持って全開!なら、年齢を気にする必要は、ないかもしれませんよ。