当帰芍薬散の副作用の問題などをまとめてみた
医者ってもしかして当帰芍薬散しか知らない?
・漢方には方意というものがある。当帰芍薬散は四物湯系統で血を溜めて留める。
桂枝茯苓丸は血を巡らせる。
そしてそれだけでなく不妊症で使う場合はいろいろな方意が存在する。
ネズミの実験でホルモン作用があるからといって当帰芍薬散を使うのではない。
最近、うちに送ってきてもらう質問の中でしょっちゅう当帰芍薬散に関して聞かれます。
当帰芍薬散に関しては他の処方よりも圧倒的に質問が多いのですね。
質問の内容は大体、「自分は当帰芍薬散を飲んでいるがこの薬を飲み始めてから副作用のような症状があるのだけど飲み続けて大丈夫なのか?」みたいな感じ。
漢方薬はどれも体質と合っていなければ副作用となりますが、なぜ当帰芍薬散がこんなに苦情が多いのでしょう。
当帰芍薬散はアブない薬なんでしょうか?
理由は簡単です。
不妊治療において漢方をよくわかっていない医者や薬局が処方する、もっともポピュラーな漢方薬だからです。
なんだったら最近なら不妊症に当帰芍薬散って一般の人でもなんとなく聞いた事があるくらいです。
テキトーに処方している数が多いから苦情も多くなっているのですね。多分。
ちなみに僕は8年あまり不妊症の漢方治療をやってきていますが、当帰芍薬散は一番処方しない漢方薬ですね。
大体、割合としてはどうでしょうか。
全体の5%位でしょうか。うちで当帰芍薬散を出したなんてほとんどないです。
別に医者や他の店が処方しているから、うちはそれに対抗してアマノジャクになっているわけではありません。
うちは症状などの身体全体の事や現在の環境などから、純粋に体質を分析して漢方薬をお出しするので、東洋医学的な体質判断をしていたら、たまたま当帰芍薬散の体質の方がいなかったというだけです。
うちでいなかったのに、他の店や病院で処方していることが多いのはなぜでしょうか?
これは完全な僕の個人的な考えですが、業界的には漢方薬のことはなんとなく知っていても体質を分析するための東洋医学理論を理解している人はほとんどいません。
そして「不妊症→当帰芍薬散」はマニュアルに書かれているから、よく処方されるのではないでしょうか。
初めに体質判断せずにマニュアルで処方しているから、なんか合わない感じになっても医者自身がどうしたらいいのかわからないのでしょう。
またマニュアルで処方しているから、苦情も多いのでしょうね。
東洋医学的な体質の分析なしでうまく合わせるなんてことはできませんので。
確かに漢方の文献にも当帰芍薬散は不妊症に使うことが書いてありますが、いろいろな漢方の本を読みあさっていくとどちらかというと不妊症というよりも安胎薬です。
この使い方はうちでもよくやっています。
妊娠してからの処方ですね。
そもそも漢方薬は体質に合わせて治療しますので「不妊症→当帰芍薬散」みたいなド素人でもできそうな治療方法なんてありません。
不妊症の人や安胎薬的に使われることが多いですよ。と書かれていますが漢方薬は「でもちゃんと体質に合わせた処方をしてくださいね」というのが前提なんです。
昔からある処方ですが、不妊症自体が近年の問題です。
昔から不妊症で悩んでいる方がいなかったわけではないですが、昔は今ほど、不妊症の人は少なかったのです。
日本でも数十年前は不妊症は問題になっていませんでした。
だから、多分、いろいろな体質のバリエーションがなかったので「当帰芍薬散でも飲んどけば妊娠するよ。ちょっとうまくいっていないだけじゃない」って感じで、当帰芍薬散が不妊症に良いみたいな感じ伝わってきたのではないかと勝手に思ったりします。
でも今は違います。
今は様々な年齢、様々な状態や状況の人が不妊症で悩んでいます。
だから、漢方薬もいろいろな体質を想定して考えに考え抜かなければ、いけないのです。
マニュアル見て「当帰芍薬散でも、だしゃいいわ」なんてテキトーな治療でなんとかなるレベルではないのですね。
最後に当帰芍薬散を処方されている方におぼえておいてもらいたいことがあります。
当帰芍薬散を飲んでいて何か不調が出た時にそれを処方された先生に訴えたら「そんなはずはない」とか意味不明なことをいう先生がいますが、これは断じて間違い。
漢方薬は新薬と違い製薬会社が決めたガイドラインが決まっているわけではありません。
漢方の本に書いてある効果ですら決まりきったことではありません。
いろいろな本を参考に自分なりに当帰芍薬散の使い方を習得して処方します。
合っているかどうかは、先生が決めるのではなく結果が決めます。
飲まれているご本人が「不調がある」と言うのであれば、先生の体質の見立てが間違っていたということになります。
例え体質判断もせずにマニュアルで処方したとしても漢方薬の処方のルールはそうなっていますので、その不調をどうすべきかを処方された先生に聞いてみてください。
そもそも体質を分析しなかったり不調の状態に対応できないのであれば、自分で勝手に飲んでいるのと同じ状況なので。
漢方ではそういった場合も転方といって新たに再検討しそれの不調も含めて治していく漢方薬に変更できます。
なにせ何百種類と漢方薬はありますから。
1つの処方に固執する必要はありません。
2014年5月2日 6:02 PM | カテゴリー:漢方の事あれこれ