不妊治療を成功させるコツは少し先の未来の治療をすること
自然妊娠を目指す不妊治療は、簡単にまとめると月経周期を整えることです。
うちでも不妊治療においての目標は、その人の理想的な月経リズムに近づけること。
この理想的な月経周期というのは、平均の「28日周期」ではなく、「その人にとっての理想的な月経周期」です。
不妊治療の原因とされているような卵胞や卵子が育たないとか、内膜が薄いとか、LHやE1、E2などのホルモン値が低いなどは、要は月経リズムが整っていなければ、それもよくなってきません。
だから、この逆で卵胞も卵子も適正な大きさに育ち、排卵の日も月経14日目でその後の子宮内膜も十分に厚い。だけど基礎体温はめちゃくちゃ、なんてあり得ません。(体外受精はホルモン剤で強制的に月経リズムを変えてでも行うことがよくありますが)
卵包や卵子、子宮内の状態が整っていれば自ずと基礎体温は整うはずです。
なぜなら基礎体温は風邪の時みたいに熱があるかないかをみているわけではなく、見方を変えれば基礎体温のリズム自体がホルモンのリズムとも見る事ができるからです。
あッ!でも、卵胞が大きくなっても基礎体温はむちゃくちゃという歪な事もありますね
それが病院のホルモン剤です。
病院のホルモン剤は月経リズム全体を考えての治療ではありません。
排卵が弱そうであれば排卵誘発剤で卵胞を大きくさせて、無理矢理に排卵させようとします。
この治療に基礎体温全体を整えていこうという意図はありません。
「ただ、その時だけ排卵をさせれば、いい」的な目的で使います
実際に排卵誘発剤の治療は患者さんの身体全体をみて排卵部分が弱いから、そこを特に治療していこうという目的ではなく、居酒屋のお通しみたいに不妊治療に来た人にはとりあえずクロミッドやセロフェンを処方します。
HCGの注射なんかも同じ様な感じなんじゃないでしょうか。
「高温期に上がらないから妊娠した時に分泌されるホルモン注射、打っとく?」みたいな。打ったら高温に上がるでしょ!という単純で安直な考え。
その時、その時の状況をみて対応する。
いかにも、その場だけごまかせばいい!という西洋医学らしい治療です。
これって、西洋医学の本分である急性の感染症や事故によるケガなどには非常に有効だと思います。
しかし、不妊治療においてはどうなんでしょう?
僕は8年間の不妊症の漢方治療の中でたくさんの人をみてきましたが、その経験を通して個人的に思ったのは「不妊症は次回の月経周期を予想して治療をしなければいけない」ということです。
これは自然妊娠を成功させるには月経リズムをその人のもっている理想に近づけなければいけないということが前提になっていますが。
一般的に月経から次の月経になった時に「リセットされた」という表現を使いますが、治療する側はこの言葉を使うべきではないと思います。
なぜなら現実にはリセットなんかされないからです。
次の月経前に1回死んで、それからまた生き返って月経が始まるのであれば、リセットされているのかもしれませんが、月経はず〜〜〜と続いているのです。
だから、その場、その場で対処することも重要な時もありますが。
例えば高温期の体温を強制的に上げるために注射をバカバカ打ったら、高温期に上がるかもしれませんが、自分本来のリズムとは違う注射で上がりすぎた体温や、ルトラールで高温期が続きすぎたら、次の月経の2、3日は体温が高いままだったりすることがあります。
だって月経周期はつながっているから。
それもこれもやっぱり月経はリセットされずに生きている限り続いているからです。
排卵期の変化は高温期に高温期の変化は次の月経期に月経時にあった変化は排卵期に・・・と良いも悪いも影響は、ずっと続いていくのですね。
だから僕は漢方で治療する際は次の月経やその次の2周期先の月経がどうなっていくかを想像して治療しています。
リズムは急には整いません。
大きなうねりで徐々に整います。
だから、病院のようにその時、その時だけの問題をみて「排卵してないから排卵誘発して」「高温期に上がらないから注射して」では、常に後手に回っているので、いつまでたっても、全体の流れの中にあるリズムは整わないのですね。
今の治療が次回の月経周期にどんな影響を与えていくか。
不妊治療は、少し先の未来を見据えて治療していくべきではないかと思います。
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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉
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2014年2月28日 6:53 PM | カテゴリー:病院の不妊治療について