体の弱点がなくなった後に、漢方薬でどう妊娠へ導くか
漢方薬は症状を元に現在の体質がどんなものであるかを分析し選びます。
大半の医者や漢方をやっているお店の先生が勘違しているようですが、病名だけで漢方薬を選んだり占いみたいに症状をあてはめていって漢方薬を選ぶわけではありません。
「病名」とは漢方が医学的に発生してから1800年後に西洋医学のルールの中で考えられたものです。
元来、漢方医学と現在の病名は何の関係もありません。
症状だけをあてはめて、漢方薬を選ぶ場合、症状なんて相当変わった病気でない限りは、どの症状も実は似たり寄ったり。
症状だけをあてはめて考えたら、どの漢方薬もあてはまるように見えてきます。
だって漢方薬は500種類以上ありますから、どの漢方薬も症状だけでみていったら微妙な違いしかないんです。
「頭痛」という症状があてはまる漢方薬なんて山のように種類がありますからね。
でも症状をあてはめないでどうやって漢方薬を選ぶのでしょうか?
症状は体質の手がかりになるはずです。
漢方では症状を無視する訳ではなく症状を元に「漢方的な体質」を考えていくのです。
症状を占いのようにあてはめるのと症状を元に「漢方的体質」を診断していくのは全く違います。
漢方の場合は答えが決まっているわけではないので、僕の診断の考え方が合っているかどうかはわかりませんが、少なくとも漢方のあらゆる本には漢方薬の効果は補血(血を補う)とか行気(気を巡らせる)という役割があり、体質と漢方薬を合わせるということは血虚(血が不足している体質)には補血し気滞(気が滞る体質)には行気する。となるはずで、少なくともダイレクトに症状を抑えるためにあてはめるのではないのです。
いろいろな症状から漢方的体質を分析して、それに漢方薬をあてはめるのではないかと考えます。
ちなみに病院がよくやる病名だけで東洋医学的な症状の問診さえとらないところは論外です。あれは例え医者が処方していても漢方治療ではなく漢方薬のただの販売ですね。
ドラッグとかと一緒。
1つずつの症状をダイレクトにあてはめて考えませんが、体質を診断する材料としては必要なんですね。
そこでうちでは困ったことが起こることもあります。
それは症状がすっかりなくなっても治療は続けないといけないパターンです。
不妊症などが特にそうですね。
うちに来られた頃は月経周期が安定しなかったり足の冷えが強かったり、夜中に目が覚めたりといろいろな症状がありますので、それを1つ1つ組み合わせてある病的体質を分析します。
病的体質が分析できれば、それにあわせた漢方薬を選べます。
ところが不快な症状は漢方薬をしばらく飲んで何もなくなったりします。
しかし基礎体温の状態をみていると何かが足りずにまだ妊娠は難しそうという状態があります。
この場合は、症状を元に体質を考えて選び出す事ができません。
症状がないので特定の体質に決めることができないのです。
かといって基礎体温などをみていると妊娠は難しそう。
不妊症に当帰芍薬散などと病名から漢方薬を合わせて選ぶなんて論外。
漢方薬は結局はひとりひとりの体質にあわせるものだから。
この場合は元々、分析した体質を元に「どういう方向性に体質を向かわせたいか」で僕は漢方薬を選びます。
そうなるとその選んだ漢方薬がよかったかどうかを示してくれるのは基礎体温。
基礎体温の微妙な変化を感じとって漢方薬を調整していきます。
また、一見、何も症状がなかったと思っていても漢方薬を変えることによって、
新たな症状の変化を感じたりすることもあります。
体質は症状と症状の組み合わせによって分析できますが、肝心の症状がなくなると体質を分析する足がかりを失う場合もあるのですね。
でも漢方の医学理論は元々、1つ1つの症状を改善することを目的としておらず、体質を全体的にどう変えていくかを示唆していますので、症状がなくなれば体質の方向をどこにもっていくかを考えればいいのです。
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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉
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2014年2月19日 7:00 PM | カテゴリー:不妊治療と漢方について