体外受精と漢方治療を併用する意味
体外受精のような高度治療をしているのであれば、「わざわざ別で漢方の治療なんかしなくてもいいんじゃないか」と思われる人もいます。
でも、この考えはちょっと違います。
大半の病院は漢方の治療目的を勘違いしていることが多く、病院の漢方薬の場合「ホルモン剤の補助」や「子宮内膜を厚くする」と説明していたりします。
でも漢方はこんな目的で処方はしません。
というか、そんな効果は漢方薬にありません。
こんな間違った方法が一般的になっちゃってるので、高度治療しているんなら、特に意識して漢方薬は飲まなくてもいいかなと考えてしまうかもしれません。
あっこれ、別に僕が漢方をやってるからって「漢方治療はいいですよー!」って宣伝じゃないですよ。
一般的に漢方って誤解されている部分が多いのでそれを冷静に捉えてもらえたらと思ったものですから。
むしろ、高度治療をしなくてはいけない状況であれば、漢方治療は必須と言ってもいいのではないかと思います。
「また、また〜そんなこと言っちゃっていいの?」
いいんです!それをこれから説明してみたいと思います。
体外受精のステップは、まずは採卵に向かって排卵誘発剤や注射やらで排卵を促します。
そして採卵ですが、ここで1つ、自然から考えると奇妙なことが起こります。
採卵日は自分の通常の排卵予定日よりも早くにすることが多いのですね。
なぜか?
なぜなら、体外受精は自然妊娠が目的じゃないから。
すみません。これじゃわからないですね。
人工的に採卵しないといけないので、採卵日よりも前に勝手に排卵しちゃったら困るからです。
自然周期で「大体、丁度に」なんてやってたら、勝手に排卵しちゃって、ほぼ採卵のスケジュールに合いません。
つまり、予約とか病院が開いている日とか、妊娠とは何の関係もない「事務的」なことが治療に横入りしてくるわけです。
この当たりから自然のリズムとは違ってきます。
そして、内膜がある程度充実していれば、移植日です。
受精卵を外から戻すので、これも自然なタイミングではなく、検査上の良い日を選んで戻します。
簡単に言えば、こういうステップで体外受精が行われます。
自然のままでは妊娠が難しい人が、ホルモン剤の強制的な力でコントロールして、自然のリズムではなく人工治療のタイミングで「採卵→受精→移植」を行うのですね。
さて、体外受精に臨む人は大概、それまでにホルモン剤などでさんざん、治療をしてきた人だと思います。
なかなか、初回から体外受精でいきます!って人はいないでしょう。
つまり、ホルモン剤で散々、治療してきたけど、妊娠しなかった人が体外受精に臨むのです。
普通で考えればホルモン剤の種類を増やしたりキツイものに変えたところで、綺麗に排卵したり、内膜が厚く充実したりしないと思います。
だって、それだったら、体外受精をするまでのホルモン治療で妊娠しているはずですから。
大抵の人の過去の治療経験から得られたことは「ホルモン剤は理屈通りに自分の身体には効かなかった」という結果です。
だから卵をとったり、受精させたり、受精卵を戻すことはできても、肝心の育てる部分。
自分の身体はなんら変わっていないのです。
そもそも排卵のためのホルモンバランスや子宮内膜を厚くするのはホルモンさえ身体に入ればいいというものではありません。
ホルモンバランスはストレスなどとも関わっているし、子宮内膜を厚くするのも身体の温かさや血の量、血の巡りなども関わっているのです。
病院でやっているのは、最終的なホルモンによる刺激の部分だけです。
その刺激にも自分の体が反応するのかどうかもわかりません。
つまり、その人の根本的な体調は、体外受精を何回やったって何も変わらないのです。
身体が悪かったら悪いまま。
そこで漢方の登場です。
漢方治療の目的は子宮内膜を厚くするとか高温期に上げるとか、そんな部分的な働きではありません。
一人一人の体質に合わせて漢方薬を選び、その人の最も良い状態にもっていってあげるのです。
血が少なければ血を増やし、冷えていれば温める。
血が巡っていなければ血を巡らせ、ストレスなどでホルモンバランスが乱れていれば気を整えます。
人によって状態が変わりますが、漢方は何百種類とあるので、それぞれの人のそれぞれの状態に合わせられます。
体質は人それぞれ、違うので、登る道は違いますが、頂上は皆同じところを目指します。
冷えがなく、子宮内膜がホルモン剤なしで充実し、ストレスを感じていない状態。
不快に思うような症状が一切ない状態を目指します。
そしてこの健康な状態は、当たり前ですが自然な排卵や自然な高温期などを生みだしていきます。
体外受精は妊娠のきっかけを与えてくれる技術ですが、受精卵をちゃんと着床させてじっくりと育てていく治療ではありません。
漢方は漢方の役割があり、体外受精には体外受精の役割があるのです。
役割はそれぞれ別なので、併用する意味があります。
むしろ、着床以降の受精卵を育てていく段階になると病院の治療手段は何もありません。
出産できるかどうかの後10ヶ月は自分の身体の問題です。
そんな時に冷えて、疲れがある人が受精卵を育てていけるのでしょうか?
それは無理だと思います。
「自分の体調は快調だ!」と思われない方は、ちょっと一休みして体質を整えるのも妊娠を成功させる1つの方法かもしれません。
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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉
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2014年1月22日 6:02 PM | カテゴリー:病院の不妊治療について