不妊治療の妊娠率について
不妊治療の病院の案内によく「当院での妊娠の確率」っていうものがありますね。
「アッ!ここ妊娠率高いから良さそう!」って思いがちですが、あの確率って何の意味もないと思うのですよ。
漢方薬の妊娠率って?
うちも昔は「結構、妊娠している人がいるんだから、妊娠確率出そうか!」って話になったことがあるんですが、やめました。
漢方だとより意味がないからです。
不妊症で悩んでいる方を釣るための宣伝的には悪くないと思います。
確率なんてこちらの都合のよいように計算すればいいので、確率が高くなるように分母と分子を考えて、都合の良いデータが出るようにすればいいだけですから。
仮にこちらにとって悪い結果しかなかったら、確率を使った宣伝をやめればいいのです。
良くないことは隠していこう!
良いことだけアピールしてこう!
どうせ、こんな感じになっちゃうので、やめました。
ちなみに日本全国の不妊治療の病院においての妊娠率は体外受精を含めて30%です。
30%と聞くと現実感がないので言い直すと「70%失敗してます」という惨々たる状況です。
うちの嫁さんは実際に大阪堺市の某不妊治療の病院で働いていたのですが「現実の妊娠率はせいぜい20%いくかどうかじゃないかな」って言ってました。
「8割強が失敗って・・・」治療として成り立っているのが不思議な位ですね。
西洋医学でよく使われるこの確率。
この統計的な考え方は、西洋医学の治療の根になるものです。
西洋医学は体質を考えません。
西洋医学の薬は誰かが飲む前から効果が決まっています。
(漢方では同じ薬でも飲む人によって効果が変わります。その辺の詳しい事は今回は書きません)
西洋医学の新薬やホルモン剤は、どんな人が飲んでも同じ働きになるようにつくられているのです。
もちろん、どんな人でも同じような働きになるようにつくられていますが、どんな人が飲んでもいいわけではありません。
ホルモン剤なら月経が3,4ヶ月来ない人とか、逆に月経を旅行やなんらかの理由で止めたい人。
そして不妊症という診断された人。
不妊症の診断された人といっても、ほとんどの不妊で悩んでいる人の原因は西洋医学的にもわかっていません。
西洋医学で不妊症だとしているのは「2年以上、子づくりを行ったけど、子供ができなかった人」というだけ。
これ症状や体のことには一切、触れていないですよね。
診断もそういったザックリとした統計的なところから考えているのですね。
だから中にはたまたま、タイミングが悪いだけで、すぐにでも妊娠できる夫婦が不妊症にされているかもしれません。
どちらにせよ、病院の不妊治療では誰にでも同じホルモン剤を使います。
個人、個人の体質は関係ありません。
クロミッドで排卵誘発して、HCGで高温期に押し上げて、ルトラールで高温期を延ばす。
ほぼ、これだけ。
西洋医学は治療の考え方自体も平均的なガイドラインにのっとって行うので、全国、どこの病院に行っても、この治療方針は、ほぼ変わりません。
100人の人に同じ治療を続ければ20人くらいが妊娠する。
そんな感じです。
西洋医学ではお薬だけでなく医者の頭の中も同じです。
不妊症の人を平均な状態にしたら妊娠すると思っています。
月経周期は28日。
低温期は14日。
高温期は14日。
ここにしようとします。
西洋医学では、この平均モデルからズレた人は状態の悪い人。
病気の人。妊娠できない人です。
ところが漢方は全くの逆。
漢方では西洋医学のように「不妊症なら、どんな体質の人でも同じ治療をする」なんてことがありません。
漢方をよくわかっていない幼稚な先生は、誰にでも同じような漢方薬やサプリメントを出したりしますが(たんぽぽ茶や婦宝当帰膠を売っている人によくありがちです。)漢方の治療の考え方の根元は一人一人に合わせた治療です。
月経周期に対する考え方も柔軟に考えなければいけません。
月経周期が26日。
低温期が13日。
高温期が13日。
こういった状態がその人の個性である場合が多いです。
うちのお店では実はこれくらいの状態の人が最も妊娠が早いです。
なぜなのかわかりませんが、妊娠するために28日周期に近づけるのは良いことだとは思うのですが、誰にでも必要なことではありません。
もちろん、本当は28日周期が正解なんであれば、26日周期というのは異常ですから、平均の28日に近づけなければいけませんが、漢方では個人差、体質差を考えないといけないので「28日周期じゃないから異常」としてしまってはいけないのです。
26日周期なら26日。33日周期なら33日周期のままで体質を整え妊娠していくこともあるのですね。
平均モデルに無理矢理にでも当てはめ、個人差そっちのけで妊娠確率を出す西洋医学。
一人一人の体質や治療が変わるので妊娠確率が出せない漢方。
妊娠確率に惑わされず、それぞれの治療の考え方を理解して最適な治療を選びましょう。
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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉
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2013年11月7日 4:51 PM | カテゴリー:病院の不妊治療について