漢方にはいろいろな不妊治療の方法がある
漢方には大きくわけて2種類の治療の考え方があります。
1つは日本漢方流派の考え方。
もう一つは中医学派。
この2つの流派は治療の根本的な考え方や使用する漢方薬も変わります。
ちなみに僕は日本漢方の考え方で治療します。
中医学も勉強して、国際中医師という認定をもらっていますが、僕は中医学の考え方では誰も治せませんでした。
ただ、中医学は漢方を何も知らない人に対しての説明に向いているので、その説明とちょっとしたハクのためだけに国際中医師をとりました。
「治療方法に日本漢方と中医学の治療の違いがある」と言われたって、そもそも「日本漢方」とは?「中医学」ってなんですか?って話ですよね。
順を追ってお話ししたいと思います。
西洋医学は先生や病院によって治療の考え方や処方するお薬が変わるなんてことはありませんが、漢方は西洋医学のように一定のマニュアル(ガイドライン)に沿って治療するわけではありません。
流派によって治療に対する考え方などが変わります。
日本漢方とは室町時代以前から日本にある治療で、西洋医学は明治以降からですから700年位は日本の医療とは日本漢方だったと言えます。
ですので、日本漢方とは、「日本人のための漢方治療」って感じですね。
ちなみに西洋医学は明治以降からなので、この150年は西洋医学が日本のスタンダード医学ですね。
日本漢方から見ると結構、歴史が浅いんですね。
漢方のもう一つの流派、中医学は現在の中国でスタンダードな漢方ですが、本場中国なのに、こちらの医学は60年位しか歴史がありません。
皆さんが知っている漢方なら中国4千年ですよね。
しかし、中国は文化大革命の際に、それまでの中国医学を西洋医学と融合させて一度、まとめることとなって、学校で漢方を全く知らない生徒にも教えていける漢方をつくりました。
それが中医学です。
実際の治療よりも理論重視的なところもあり、「学校漢方」とも呼ばれることがあります。
結果よりも理論重視なところも西洋医学っぽいですね。
もちろん、その時にもいわゆる中国4千年の伝統的な漢方をされる先生もいましたが、日本が明治時代に正統医学が漢方から西洋医学に変わったように中国でも古来よりの伝統的医学から近代的な中医学が正統な漢方医学に変わりました。
皮肉な話ですが、その時、中国では学校で教えるための学問的医学に変わったので、漢方本来の伝統的な治療方法は、中国よりも日本漢方の方が、色濃く残る結果となります。
要は日本の方が伝統的な漢方が残ったのです。
もちろん今でも中国では、人知れず、伝統的な漢方をされている先生はいますが、現在の中国においてのスタンダードな医学は歴史の浅い中医学となっています。
この医学の違いを詳しく説明していくとかなり長くなってしまうので、患者さんにとって、その流派の違いで何の得や損があるのかをお話ししますね。
日本漢方は古来より日本人や日本人の風土にあわせた治療で日本人用の漢方といっても良いかと思います。
一人一人の体質をみて、個々の体質ごとに漢方薬を合わせます。
使用する漢方薬も日本で700年使ってきた漢方薬の経験を元にしたものです。
本来の「漢方薬を体質に合わせる漢方」のイメージに最も近いものだと思います。
ただ残念ながら日本漢方で治療している先生は、現在はほとんどいません。
絶滅寸前です。
なぜ、誰もしていないかというと、治療理論が西洋医学の病名などとは無関係で、「その人の独自の体質」を分析しないといけないため、西洋医学的な発想の先生ほど理解できないからです。
要は日本漢方は医者なんかが、最も苦手とする思考法が必要となります。
また本から学ぶというよりも昔から弟子入りして実践しながら口伝で伝えるみたいな、ファンタジーみたいなノリなので、マニュアル化された本で勉強しても、治療には何も役に立たない」という難解さが日本漢方を「絶滅」に追いやっています。
かくいう僕も弟子入りして、日本漢方を教えていただきました。
おそらく、病院で普通に西洋医学の治療をしながら、日本漢方で治療している先生はいないと思います。
お医者さんでも日本漢方をされる先生は西洋学を捨てて、日本漢方1本で治療する傾向にあります。(ほぼいない絶滅危惧種)
一方、中医学は先程、説明したようにつくられた経緯が学校漢方なので、難解な漢方にめずらしくマニュアル化されています。
マニュアルを作る際に西洋医学との融合を目指していましたので、漢方を西洋医学的な方向から考える傾向があります。
それゆえに西洋医学の先生は入りやすいです。
学校漢方と言われているくらいですから、マニュアルも充実しています。
僕は国際中医師という中医学の認定証を持っていて中医学を学びましたが、文面からもお察しの通り、中医学は理論ばかりで実践的でないと考えています。
つまり「説明はすごいが一向に治せない!」というのが、僕が中医学を勉強し、実践したみた結果です。
この流派、実際の医療現場ではどうなっているかというと、まず現状は漢方に「日本漢方」と「中医学」があることすら知らない先生がほとんどです。
「ニ・ホ・ン・カンポウ?」といった感じ。
自分が何の流派でやっているかもわかっていないケースが多いです。
自称プロの料理人が、何の料理のジャンルを作っているのかもわかっていない感じ。
病院は、よほど漢方専門でない限りは、大体は中医学を更に簡易的にマニュアル化した第3のよくわからないマニュアルテキトー漢方です。
バリバリの中医学は、生薬を自分自身で組み合わせていって、本当にその人にしかない漢方薬をつくりだしていきます。
素人の患者さんが流派を見極めるのは難しいですが、まとめると、本来はある程度、日本漢方か、中医学の流派を師事し、その流派の考えに基づいて治療するのですが、大半の漢方薬を処方しているところは、流派すら知らないのです。
これはいかにもな漢方薬局も含まれます。
大体の先生が”素人でもできそうな”第3の西洋医学風の適当な漢方をやっているということですね。
(この素人でもできそう。と言うのは嫌みでもなんでもなく本当にそのレベルです)
なかなかその先生に聞けないと思いますが、質問できる環境にあるならば、「先生のとこは、何の流派で治療しているのですか?」って聞いてみてください。
「はっ?」ってなったらソコは漢方薬を治療に使っているのではなく、ただ「単に漢方薬を売ってるだけ」です。
だって「漢方に関しては勉強していないし、よくわからないけれど販売している」ってことですから。
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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉
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2013年10月24日 6:29 PM | カテゴリー:漢方の事あれこれ