排卵までのホルモンについて(不妊治療の医学知識)

今回は月経とホルモンのお話をしたいと思います。

月経には大きく4つのホルモンが関わっています。

卵胞刺激ホルモン(FSH)黄体形成ホルモン(LH)。
それに卵胞ホルモン(エストロゲン群のE1(エストロン)、E2(エストラジオール)、 E3(エストリオール)と黄体ホルモン(プロゲステロン)です。

ややこしいですね。

排卵のために必要な卵胞刺激ホルモン(FSH)は脳下垂体から分泌され卵巣を刺激して原始卵胞を成熟卵胞に変えていくホルモンです。

ただし、このホルモンのみで卵子を育てていくのではなく、黄体形成ホルモン(LH)と卵胞ホルモン(エストロゲン)が協力して卵胞を育てます。

これ重要。
つまり、卵胞刺激ホルモン(FSH)は排卵のためには主役的な働きをしますが、単独で働いているわけではないということですね。

不妊症は、常に全体のホルモンバランスをみていかないとおかしくなります。

卵胞から分泌される卵胞ホルモン(E1・E2・E3)は排卵の準備を手伝いながら同時に子宮内膜を厚くしていきます。

また、子宮頸管を刺激し頸管粘液の分泌を促します。

卵胞ホルモン(E1・E2・E3)は卵胞が大きくなるにつれ分泌量が増していきます。

卵胞ホルモン(E1・E2・E3)の分泌がピークを迎えると脳下垂体から黄体形成ホルモン(LH)の分泌が大量になります。

このホルモンは排卵の引き金を引く役割。

黄体形成ホルモン(LH)の分泌が大量になれば、それをきっかけに排卵が起こります。

ちなみにクロミッドなどは、ホルモン剤の外部刺激により強制的に卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)を分泌するようにします。

排卵検査薬でみているのは、この黄体形成ホルモン(LH)です。

このホルモンの分泌が多ければ陽性と出るということです。

逆に分泌量が少なければ検査薬は陽性にはなりません。

ここで勘違いしてはいけないのは、排卵検査薬は排卵したかどうかを見ているのではなく、排卵のきっかけを与える黄体形成ホルモン(LH)の分泌量をみているだけということです。

ちょっとした違いですが、卵子の発育と黄体形成ホルモン(LH)が絶対的に結びついているわけではありません。

ここまでが月経から排卵までの期間の流れです。

クロミッドなど薬を飲めば、強制的に排卵させるホルモンを増やすので排卵するはずですよね。

でもそうとは限りません。
なぜか?それは卵子、排卵や妊娠がホルモンという方向からしかみていないからです。

排卵までには医学的には卵胞刺激ホルモン(FSH)黄体形成ホルモン(LH)卵胞ホルモン(E1・E2・E3)の3つのホルモンが関わっています。

これらのホルモンは当然の話ですが、女性の身体全体の状態とリンクしています。

風邪や腸炎で40℃近い熱が出ていようが強烈な頭痛で悩まされていようがホルモン分泌は何も変わらない。

そんなわけないですね。

無理なダイエットや強烈なストレスで月経が来なくなることなど、めずらしくありません。

つまり、ホルモンだけが体の調子とは別で動いているのではなく、むしろ、体の状態によって決まるということです。

身体の状態がよければ、3つのホルモンはその絶妙な連携を経て、正常な排卵を促すでしょう。

逆に体の状態が悪ければ、3つのうちのどれかはうまくいかないかもしれません。

そうなると3つのホルモンのバランスは崩れます。

要するに「ホルモンさえ分泌されればいい」ということではないのですね。

病院の不妊治療が体外受精を含めても30%しか成功しないという確率の低さは人間が機械のようにホルモンを分泌しているだけと誤解しているところから始まっているのかもしれません。

逆に考えれば、よほど特別な病気でない限りは、体が本当に健康になれば、正常で絶妙なホルモンバランスになるということです。

次回に続きます。

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【このブログの著者】
まごころ漢方薬店 国際中医師 松村直哉

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