自分のことで手一杯の人は妊娠できない・・・多分。

不妊治療では決定的な誤解があります。
病院や僕たちが誤解させてしまっているのかもしれません。

不妊治療というように呼ぶので、
いつのまにか治療をし治れば、赤ちゃんを授かることができると思ってしまうようです。

どういうことかというと、赤ちゃんは治療の末にできるものではありません。

不妊「治療」と呼んでいますが、不妊という病気になっているわけではないからです。

治療が必要なのは、大きすぎる筋腫を取り除く手術をするとか両方の卵管の詰まりを検査と兼用で治療するとか、
その当たりは治療になりますが、それ以外は、ほぼ不妊症の人で行う治療はありません。

この2つの疾患も治療したら妊娠できるわけではありません。
病院で不妊治療をうけている大半の人は原因不明なのです。

なので、筋腫や両方の卵管が詰まっている状態が治ったとしても、
大半の不妊症の人と同じ、原因不明の不妊症になるだけなのかもしれません。

どちらにしろ、赤ちゃんは病院の治療の末にできるのではないということです。

病院でやっているのは、治療ではなくホルモン剤で妊娠しやすいよう「誘導」しているのです。
人工受精や体外受精も妊娠しやすいように補助しているので、
病気の原因を治療しているわけではありません。

そんなわけで不妊「治療」とよばれていますが、
「治療」で赤ちゃんを授かるということはないのですね。

では、どうすれば、赤ちゃんを授かることができるのか?

漢方では治療するのではなく、その人本来の妊娠する力を引き出します。

漢方、すなわち東洋医学は身体を元気な状態にすることによって、
元気な卵子、元気な精子、良好な発育環境(子宮内)をつくりだすのです。

漢方では赤ちゃんは腎の臓にあるといわれている「精」という生命活動の根源的なエネルギーを生殖の精に変換してつくります。

この「精」は生殖の「精」になる前は、僕たち自身の生命活動に使われています。
それを使って健康を保っているのですね。

逆に言えば、体調が悪いと「精」は少なくなり弱っているのですね。

人間の身体は様々な臓器が集まり、それらが連携して働いていることによって生命活動を営んでいます。

例えると化学工場の集まりみたいな感じですね。

化学工場は、外から酸素や食べ物という材料を取り入れて、
それらを加工したりして、エネルギーに変えて自分達の工場を動かすエネルギーに使ったり、
先ほどの生殖の精として蓄えたりします。

これが僕たちの「体内」の仕事です。
生活のために皆さん1つの仕事をしているのと同じです。

赤ちゃんを授かると自分だけの生命活動という仕事だけでは、
赤ちゃん自体が死んでしまいます。
今までの仕事からもう一つ仕事が増えます。
2倍の仕事をしないといけません。

赤ちゃんは小さいんだから、2倍じゃないでしょ?って思う方がいらっしゃるかもしれませんが、
儚い弱い1つの細胞を何兆という細胞に成長させるのです。
ゼロからつくるわけですから、そのエネルギーは膨大なエネルギーを必要とするのです。

皆さん、普段は何かの仕事をしていると思います。
イメージ的には妊娠すると、それに掛け持ちでもう一つの仕事を始める感じ。

しかも、その仕事は慣れていなくて、とっても難しい仕事。
メインの仕事(自分自身の普段の体内活動)で疲れた(健康でない)なんていっていたら、
掛け持ちのほうの仕事(受精卵を赤ちゃんに育てる)なんて、うまくいくわけがありません。

腎の「精」もメインの身体が健康でないのであれば、
生殖の精に変換している場合ではないのです。まずは、自分の命を守ることが優先ですから。

「手足が冷える」「頭が痛い」「お腹を壊しやすい」「便秘になる」
いろいろ身体の不調はあるけれど、赤ちゃんはちゃんと育つもん!

残念ながらそんなに甘くはないと僕は経験上、思います。

病院の不妊治療は、治療ではなく、妊娠に誘導するための作業です。
この作業は、自分自身の身体の健康とは一切関係ありません。

自分のメインの仕事(自分自身の身体の健康)で余裕のない方は、
いちど、整えて元気にすることを考えてみてください。