男性不妊に八味丸?そんなの滅多にないですよ。

漢方では、妊娠は腎の臓に宿る気が男女合わさって新しい命をつくりだすと考えられています。

この腎臓は、西洋医学の腎臓と同じではありません。
漢方は身体を解剖して実際にどんな働きがあるかどうかと調べてきた医学ではないので、
独自の解釈があります。

とは言っても、西洋医学の腎臓と働きはよく似ています。

体内の水の代謝。
つまり、西洋医学にある水分の再吸収や排出(オシッコ)ですね。

ただ、これに先ほどお話した自分の命を運営していくための気が存在するというもの。
あくまで実物の臓器ではなく、イメージの臓器なので、
そんなものなんだなと捉えてください。

この腎の気というのは、生きてるだけで、だんだんと消耗していくと考えれています。

漢方では、女性の腎気は、7の倍数で変化していきます。
7歳で腎気が活発化し歯が生え変わり髪が長くなる。
14歳で任脈と衝脈の気が通じ月経が始まる。
21歳で体格は頂点となる。
28歳で筋骨が充実し毛髪も長く豊かになる。
35歳で陽明経脈が衰え、白髪が進行しはじめる。
49歳で任脈が虚して閉経する。
と言われています。

2千年以上前に書かれていることですが、
現代医学の女性ホルモンなどの動きと一致しているのですね。

男性の腎気は、8の倍数で変化していきます。
8歳で腎気が活発化し歯が生え変わり髪が長くなる。
16歳で腎気が充満して子を成す事ができるようになる。
24歳で体格は頂点となる。
32歳で筋骨が充実し身体の最盛期となる。
48歳で顔面が憔悴。
56歳で精気が欠乏し腎が退化する。

この腎の気には、先天の気と後天の気があるとされています。
先天の気というのは、生まれつき持ってる気。
後天の気というのは、後から食べたり、飲んだりした栄養素からつくられるもの。

腎は、これらの「気」以外で「精」というエネルギーも蓄えています。
「精」は読んで字の如く、精力と関わっている気です。

これが衰えると赤ちゃんを授かるのが難しくなります。

「精」は先天の気と後天の気が合わさってつくられます。

つまり、生まれつきから持ってる気と後の生活でつくられる気。

腎が弱い人は、オシッコの問題が出てきます。
夜中にオシッコにいくとか、水分をたくさん摂ってないのに頻繁にいくとかです。
オシッコの問題は、体質によっては、軟便や下痢となって出る人もいます。

軟便や下痢は通常は脾の臓の問題だと捉えますが、腎の水分代謝がおかしくなって、
軟便や下痢になっていることもあります。

髪の毛が薄い人も腎気が弱いです。
後、耳なり、耳が聞こえにくいなども腎の問題です。

一般の方向けの漢方の本などで、おバカ処方がよく紹介されていますが、
男性不妊に八味丸というのがよく紹介されています。

八味丸というのは、補腎薬といって腎を補助する代表的な処方。
不妊は腎の衰えと関係があるから八味丸という幼稚園児なみの安易な発想で処方薬として書いてあるのでしょうが、
漢方薬で腎を補う薬は八味丸だけではありません。

いろいろな体質にあわせた補腎薬があります。
また、それらには、段階があります。

その中で八味丸は、最も腎が衰えた時に使う処方。
(腎の衰えだけでなく、他にもいろいろな条件がありますが)

だから「男性不妊だったら八味丸がいいじゃないの」と直線的な発想が出てくると思うのですが、
八味丸は年齢とともに、かなり衰えてきた体質に方に合わせるものです。

よーするに老人の補腎ですね。
常識的な漢方家なら、普通は男性不妊に八味丸なんて、まず選びません。
どうせ選ぶなら八味丸ではなく六味丸ですね。

六味丸も補腎薬ですが、これも「男性不妊=補腎」ではないですよ。
あくまで体質をみて、腎虚で、なおかつ、かなり腎が衰えていると判断すれば、使いますね。

先ほども言いましたが、補腎薬は、いろいろな段階にあわせた漢方薬があるので、
そこは体質をみて合わせていきます。
なので、30代、40代前半の補腎で八味丸なんて使うことはありませんね。

先ほどの話に戻りますが、赤ちゃんは先天の気と後天の気が合わさって成長していきます。

だから、男性も女性も腎の気が衰えていたら、妊娠はできても育ちません。
陽性反応が出ても、流産するということです。

この腎の臓の考え方は東洋医学の考え方です。

西洋医学の精子の運動率やら精液の濃度などとは、直接は関係ありません。

男性不妊の検査で問題ないというのは、参加資格を得たというだけ。
もし、その状態で妊娠していないのであれば、何かしら問題があるかもしれないということです。

それが、漢方から見た時に腎の問題であるかもしれません。

くどいかもしれませんが、妊娠の陽性反応を出す事と、出産は同じものではありません。
妊娠の陽性反応はラッキー要素でうまくいくことがありますが、
出産は、妊娠してから順調に10ヶ月間育つのかどうかにかかってます。

日本では、男性自身に問題が少ないようにとられがちですが、
腎系の病気、難聴、耳鳴り、軟便下痢気味、胃腸が弱い、年齢の割に髪が薄い、夜中のオシッコ、頻繁なオシッコがある男性は、
自分が半分以上の原因かもしれないと考えて対処したほうが、
早く子供を授かることができますよ。

あっ、だからうちに来いって意味ではないです。
また、今度にでも書きますが、腎は無料で強くする方法がありますので。