月経リズムとクロミッドの関係

今回から3回にわけて、月経とホルモン剤との関係を書いてみたいと思います。

難しい医学用語を使ってドヤ顔で教科書みたいな説明は嫌いなので、わかりやすく説明したいと思います。

月経は、赤ちゃんを授かり育てるためにあるものです。

結婚や妊娠と全然関係ない年齢から月経はありますが、若いときでも月経リズムが持ってる目的は変わりません。
逆に言い換えれば、結婚や妊娠と全然関係のない若い時から月経が不調だと本当に赤ちゃんを授かりたい時にうまくいきません。

月経リズムには3つのサイクルというかイベントがあります。

1つは月経期ですね。
これは経血が出ている時期です。
大体始まってから終わるまで5日〜7日位です。

この期間は個人差があります。
この範囲内であれば、正常なリズムですね。

何が経血は何か?というと赤ちゃんを育てるために準備していた子宮内膜が受胎がなかったために、一旦リセットしているのですね。
内膜は血液でつくるので、血とともに必要なくなった内膜がはがれていきます。
一旦、きれいにしてまた、新鮮な血でやり直すのですね。

月経の初日から14日目には排卵があります。これも個人差があります。
14日が標準とされていますが、うちの漢方で自然妊娠された方の実際の排卵期間を見ていると、月経11日目から17日目あたりが排卵範囲のようです。

うちでは、なぜかわからないですが、排卵が早めの人の方が妊娠しやすいです。
病院なら排卵が早すぎて、ちゃんと育っていないとか医学の杓子定規に合わせて言うんでしょうが・・・・

月経リズムは子宮の状態だけでなく卵巣・卵子が一緒に育ち互いに影響しています。

月経が始まってからは卵包刺激ホルモン(FSH)が分泌されて、卵巣を刺激し排卵を促すようになります。
(その他に排卵には卵包ホルモン(E1・E2・E3)や黄体形成ホルモン(LH)という2つのホルモンも関係しています)

クロミッドやセキソビットというお薬は脳を刺激して、この卵包刺激ホルモンや黄体形成ホルモンがジャンジャン出るように促します。

ただ直接、卵子を大きく育てるわけでも、排卵を直接させるものでもないので、ただ「卵巣だけが大きくなって中の卵子は育ってなかった」ってこともよくあります。

だって卵子の成長を促すわけではないので卵子の成長自体はその人の体質によって、その人のペースがあると思いますので。

また卵巣刺激ホルモンは、当然薬でとらなくても自分で持ってるものですから、本当にクロミッドが必要なのかどうかは疑問です。

月経が1、2ヶ月、飛ぶなんて当たり前だったら卵包刺激ホルモンの問題もあるかもしれませんが、それ以外の方の排卵しずらい状況が卵包刺激ホルモンが少ないからかどうかは、検査したってはっきりとわかりません。

だから、現状、病院の不妊治療で、まず初めにクロミッドを処方するのは「とりあえず、排卵促したらなんとかなるんじゃね?」みたいな個人の体質を無視した発想からやってるのではないかと思います。

先ほど「月経が1、2ヶ月、飛ぶなんて当たり前だったら卵包刺激ホルモンの問題もあるかもしれません」と書きましたが、これもそうとは言いきれなくて、月経が来ない方でもクロミッドで卵巣が異様に腫れたり、熱が出たり、蕁麻疹が出たりする人もいます。

ようするに不妊症の方が、
「排卵しずらい。だから卵包刺激ホルモンの量を外部から足せばいい。排卵したら妊娠!」みたいな子供でも思いつきそうな単純な問題ではないのですね。

卵包刺激ホルモンも必要かもしれませんが、バランスが大事だということですね。
ホルモンの物量や刺激を強めるだけではどうにもならない方も多いと思います。

うちでよく質問されるのが、
「基礎体温が割合2層に別れていて、排卵もしている感じですが、クロミッドを飲んでいるのですが、必要なんですか?」と聞かれますが、

僕の方がぜひ聞きたい!
「なんで排卵している感じでクロミッド?どんな医学根拠でもって卵包刺激ホルモンの不足だと考えたのか?」

多分、検査でFSHやLHが低かったというのかもしれませんが、そもそもその数値も極端に低かったり、何ヶ月かを観察しない限り、本当のところはわからないと思うのですが。
結局、その人の体質によってそれも変わってくると思います。

で、本当の答えは「一般的な不妊治療をマニュアルに沿って考えたら、そうだから」
という残念な答えしか返ってこないような気がします。

だって、8割か下手すりゃ9割の人はクロミッドの処方から入りますから。
ほとんどの人がそんなに卵包刺激ホルモンや黄体形成が足りないの?って思ってしまいます。

月経から排卵期まではこんな感じです。
次回は排卵から。