不妊治療は病院と漢方どちらがベスト?

うちに良くある質問シリーズで書いていきたいと思います。

良くある質問は「病院の不妊治療を続けるべきか?漢方薬の治療が良いのか?」

こういった質問がある方は、病院の不妊治療のホルモン剤を使った治療などで、体調や基礎体温がより悪くなった人が多いです。

病院では「ホルモン剤は安全で何の副作用もない」と説明しますが、ホルモン剤は鎮痛剤や胃腸薬と違って、副作用の概念が違います。
もちろん、医者はそんな風には考えませんが、ホルモン剤は、体内に入ってから、厳密にどう働くかは、かなりの個人差があります。

なので、吐き気や頭痛などの副作用は、それほど心配することはないですが「ホルモン調整が微妙におかしくなる」という現象が起きることがあります。
ルトラールを飲んで、月経周期が延びて月経が来たのに体温が高いとか、クロミッドで以前より更に子宮内膜が薄くなるなどです。

これらは、通常の感覚の副作用ではないですが、妊娠を遠のかせる作用です。

病院の不妊治療を続けるべきかどうかというのは、正しい知識を持ってもらって、検討されると良いかと思います。

まず、知らないといけないのは、妊娠と月経のこと。

月経リズムや基礎体温は、妊娠するための体内の一連の働きです。
月経は妊娠が成立しなかった際に必要でなくなった内膜を排出し、新たな月経リズムを作り出すためのものです。

<月経と妊娠>
① 月経1日目〜7日目頃(低温期)
月経時期には必要でなくなった内膜を排出することと徐々に排卵に向けての準備が始まりす。

② 月経7日目〜14日目頃(低温期)
月経が終わる頃には本格的な排卵の準備と高温期に向けて内膜を厚くしていくことが行われます。クロミッドの排卵誘発の効果は作用的に同時に内膜を薄くするような作用があります。
この時期の排卵準備には役立ちますが、内膜を厚くしていくことに関しては邪魔をしています。

③ 月経14日目周辺(排卵期)
月経14日目頃は排卵の時期です。この時期に精子も元気で、なおかつタイミングが合えば、受胎します。

④ 月経14日目〜28日目(高温期)
受精卵が内膜に着床すれば、体内を温めて、内膜の血をどんどん増やし受精卵を赤ちゃんにするべく育てていきます。

>① そして、月経28日目頃に受胎がなかった場合は体温もストンと落ちて、また月経が始まります。

これが一連の流れとなります。

月経リズムというのは、女性ホルモンがいろいろと命令を変えながら行なっているのですが、病院がやっているのは、この女性ホルモンを人工的にホルモン剤によって刺激することです。

これには2つの問題があります。

<ホルモン剤の問題①>
個々のホルモンの実際の状態はよくわからないのに、処方するホルモン剤は、皆と同じ量や強さのものを使います。
「ホルモンは多ければ多いほど良い」というものではなく、少なくても、多くても不調を起こします。その人にとっての丁度がベストです。

これらのそもそもの問題は、医者の「ホルモンが問題なのかどうかを実はわかっていない」ことが問題です。
それが証拠に、ホルモン剤を処方した後も基礎体温が整わないことはザラです。
ホルモン剤による副作用も起こす体質なのかどうかも事前には全くわかっていません。

ホルモンの基準値に対してロボットを修理するようにホルモン剤を処方しているだけです。
当然、年齢、体質などの個人差がありますので、基準やマニュアル通りにいきません。

ホルモン剤を処方する際には、ただ単に「不妊症で悩んでいるなら飲んでみたら」とか、「微妙だけど基準値よりは良くない感じ」など、実は非常に曖昧な根拠で処方します。
なのに、使用するホルモン剤は身体にとっては、強いし個人の体質は全く無視されています。

かといって、個々のその時、その時点で本当に必要なホルモンの量や種類が特定できるかというと、実は、それを調べる科学力や薬の製造は現時点では不可能です。
結果は、運任せで飲むレベルになってしまいます。

<ホルモン剤の問題②>
もう一つの問題は、ホルモン剤は、月経リズムの命令系統にしか働きかけていないということです。
実際の月経リズムには血が必要です。
原子卵胞が育つためのエネルギーや栄養も必要です。
身体の十分な温かさも必要です。
これらも「全部、揃っての正常な月経リズム」です。

いくらホルモン剤で刺激しても血が少ない、血が巡らない、お腹や足が冷えている、栄養をとる消化器がうまく働かない。
という状態だと、病気で弱りきった人をホルモン剤という命令でガミガミと無理やり走らせているだけで、
いつかツケがきます。

<漢方薬の役割>
一方、漢方薬は大体の病院や漢方薬局は、ホルモン剤の自然薬バージョンみたいに説明している場合がありますが、そうではありません。

漢方の役割は、体内のバランスを整えることです。
部分的にむやみにホルモンを増やしたり減らしたりしません。
頭痛や冷えを治していきます。
そうやって、体内のアンバランスを見つけて体調を万全に近づけていきます。

そもそも、体調が万全であれば、自前のホルモンも整うようになっているので、
どちらかというと必要なのは、「あなたの体調が絶好調かどうか」のほうが重要だと思います。

<まとめ>
特に問題になるのが、妊娠した後は、自分の体内で赤ちゃんまで育てていかないといけないことです。
ホルモン剤は体調を整えるものではありません。病院の治療は妊娠反応陽性までが仕事なので、その後の流産の可能性を考えて治療は一切しません。

1個の受精卵から赤ちゃんまで育てるのは自分の体です。
自分の体が健康でないと、せっかく妊娠しても育ちません。
妊娠するための月経リズムはホルモンだけでなく全身の健康状態も含まれますので、その点も含めてご検討されるのがよいかと思います。

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1月の相談会の予約は終了しました。
予想をはるかに超える予約をいただきまして早期終了で申し訳ないです。
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不妊治療に基礎体温の記入は必要なのか?

不妊症の治療で基礎体温の記入は必要なのでしょうか?

これ、不妊治療している人は結構、気になるところですね。
うちでもよく質問があります。

結論から言おうと、どっちが正解とも言えないです。
でもこれだと答えになっていませんね。

不妊治療の病院では全く記入しなくてもいいと言っているところもあるし、記入しておいてほしいと言っておきながら4回目位は、ほぼ見てないみたいなところも結構あります。

ところで全くの余談ですが、不妊治療の病院で紙の基礎体温表を売っているところあるじゃないですか「えっ無料でくれるよ」って思った方、まー大体は無料なんですが、たまに売ってるところがあるのですよ。

基礎体温表をもらった時の治療明細を見てください。
値段がついているかもしれません。

あれって単純に「どこまでセコイねんッ!」って思いますね。
今やiPhoneで無料の基礎体温アプリなんていくらでもある時代に紙媒体という化石感と守銭奴感には関心します。
やっぱりお医者さんって、なんか僕らと次元が違うところにいるんでしょうね。

ちょっと話がそれましたが、病院の基礎体温の対応を見ていると、ちょっと適当感があったりして、実際のところどうなのかがわかりにくいですよね。

あれ、1つは、ホルモン剤って強制的な人口操作なので、基礎体温を見てもしょうがないというのがあると思います。

特に体外受精なんかになると、排卵誘発剤で排卵促して、スプレキュアで排卵止めて、採卵日数を調節。
移植後は黄体ホルモン、じゃんじゃん入れて大忙し!

女性の場合は、ホルモン剤と体温は密接な関係がありますので、強制的かつ人工的にいろいろな薬を入れていたら、その薬の影響で基礎体温も変わっていきます。

なので「基礎体温のリズムを見たからどうなんだ」という状況になってくるんだと思います。
だから、多分、最初は基礎体温を記入してってお願いしといて、3回目位までは基礎体温を見てるけど、その後は、見てるフリで実は見てないみたいな状態になっているのだと思います。

病院においては、ホルモン剤をジャンジャン、使っていれば、基礎体温を記入することはあまり意味がないかもしれませんね。

一方、自然妊娠を目指す場合は?
これは必要だと思います。

漢方関係だとよく、基礎体温の形で瘀血型だとか、気滞型など血液型タイプみたいな見方をしている先生がいらっしゃいますが、僕はあれは関係ないと思ってます。

あれって東洋医学の治療理論の気・血・水のどれかのタイプに分けて、勝手に◯◯型とかやってますが、そもそも、体質のタイプを厳密に分析すると気だけのタイプとか、血だけのタイプなんていません。

こんな診断はしませんが、イメージ的に言えば、血の要素が55%、気の要素が35%、水の要素が10%みたいに個人でパーセントが変わるし、大概、「気・血・水」全部が絡んでいます。

だから、気・血・水と基礎体温の形のパターンみたいなやつって、お遊びレベルだと思います。少なくともプロがやることじゃありません。

うちでは基本、漢方薬で健康体質になってもらい自然妊娠を目指します。
基礎体温は体調やらホルモンの移り変わりやらを反映しているので、その細かな変化で漢方薬を調整していくこともあります。

そして不妊症って実は治療じゃないのです。
健康な状態をつくりだし健康な月経リズムやホルモンリズムをつくりだします。

うちなんかの例でいくと3ヶ月もするといろいろな症状なんかは、なくなっちゃうこともあります。

ここからが問題。
もともと、不妊症は病気ではないので、症状が治ったので、来月妊娠かというと、そうはいきません。

症状がなくなって体調が良くなったということは「自然妊娠の参加資格を得た!」ということで「これで妊娠できる」わけではないのです。

こういう状態になった時に力になるのが、基礎体温。
僕はたくさんの人の基礎体温表も見てきたので、目立った症状はないけど、なんとなく基礎体温表が微妙・・・みたいな感じだったら、その微妙なところから、次の妊娠するための治療方針を探ります。

なので、うち的には「あなたの基礎体温を見ると瘀血型ですよ〜」とエセ占い師のようなことを言うために基礎体温を記入してもらっているのではなく、今後の細かな治療方針を立てるために記入してもらっています。

ただ、基礎体温もずっとつけていると義務みたくなっちゃって、ストレスになる場合もあります。
この場合は、場合によっては一旦、記入するのをやめてみてもいいかもしれません。
妊娠するということは治療でも作業でもないですから。
必要なのは愛と思いやりなのです。

うちではストレスがどうしても強かったら排卵から高温期初期までと、月経前だけつけてもらって分析するという飛び道具的な方法をとることもあります。(できれば記入してもらいたですが)

どちらにしろ、うちの漢方においては治療方針を決める参考情報になります。
病院では・・・どうせ、ホルモン剤と基礎体温の微妙な変化の関係性を診ることなんてできないので、どっちでもいいように思います。
西洋医学にある全周期で28日。低温期14日。高温期14日。になんとかしていこうとしたって、月経周期も個人差があるので、無理やり教科書的基礎体温にする意味もないですから。

自分に合っているホルモン剤はあるのか?

うちによくある質問シリーズです。
よく病院からうちにこんな電話がきます。

「今、病院で○○の薬が必要って言われたんですが、これって必要です?」

僕を頼ってくれて非常にありがたい電話なんですが、中にはリアルタイムに医者と話している時に僕に電話してくれる人がいて、それはお医者さんのプライドがズタズタになるからやめてください。って話してます。

こんなことを書くと医者みたいにえらそうにって意味不明なメールが来たりするので、先に言っておくと、僕は立場的に病院の薬に対して指示できないし意見する権利もないことをご説明しています。
また患者さんもその法的な権利関係も理解されています。

ただ、患者さんも法的な権利関係がどうとかでなく現実の今の病気に対してどうすればいいのか聞きたいのですね。

実際、病院で質問したってちゃんと答えてくれなし、何を言ってるかわからないそうなので、うちでその新薬はどういった薬理なのか。僕であれば、その薬をどう使うかをお話しして、僕の意見を1つの参考にはしてもらっています。

確かに病院での薬の働きの説明ってレベルが低いです。
「咳を止める薬です」とか抽象的すぎるんですよ。
処方箋の説明の紙を見たら「咳を止める薬」が2つあって「痰のすべりをよくする薬」が2つあって。と「なんか薬の名前は違うけど、説明みたら、みんな同じじゃない?」みたいなものが並んでます。

うちでは新薬のことを質問されたら薬理のことを説明しますが、わかりやすく工夫して説明すれば、皆さん、理解されます。
薬理的な説明だったら、それぞれの薬の働きの違いが良くわかりますからね。
ちなみに薬理は「僕の考え」ではなく製薬メーカーさんの添付文書などの公式のものから引用していますので、僕が勝手に言ってるものではありません。

病院の薬だって同じ添付文書などに基づいているので、一緒ですよね。

そんな感じで風邪、湿疹、耳鼻科系などいろいろなジャンルの処方箋の薬のことをよく聞かれます。

もちろん、不妊症のホルモン剤などについてもよく質問があります。

ホルモン剤も効果の説明が適当というかファンタジーな感じですよね。
「本当にそんな効果だったらいいなぁ〜」みたいな。
「排卵するようになります」とか「内膜が厚くなります」など。
うちは漢方なので病気全体の相談を受け付けているのですが、不妊症系の治療や薬の説明って他の内科や皮膚科などに比べると、より薬の説明が自分達にとって都合がいい。というかレベルが低い感じがあります。

不妊症で病院の薬のことでよくある質問が「今のタイミングで○○のホルモン剤を飲んでもいいのか?」という質問。

とくに体外受精などの高度治療になると結構、いろいろなホルモン剤を使います。

よくあるパターンは子宮を休ませる(この説明が意味不明)のに使うピル(ソフィアなど)

飲んだほうがいいのかどうかというよりも「私の体質に合っていますか?」という質問。

これ、うちでしかない質問かもしれません。
うちで治療するときは「あなたの体質は現状は○○体質です」そして「その体質に合う漢方薬の役割は○○です」と体質のことを細かく明確にお話しします。

大半の漢方相談しているところの現実は「あなたは瘀血タイプです」とか、体質というよりも、ざっくりした「タイプ」しか説明しません。
「A型は几帳面で〜」みたいなステレオタイプな感じですね。

これだったら自分の体質と薬が合うのか合わないのかなんて、ざっくりすぎて気にならないですが、細かく説明されたらホルモン剤だって身体に入れるものですから、やはり自分の現状の体質に合っているかどうかが気になってきますよね。

そして実際に漢方的な体質は今のあなたの自然的な体質をみているので、新薬やホルモン剤だって、その体質と関連してきます。

でも、新薬やホルモン剤と関係はしていますが、それがいいか悪いかは厳密には判断できないのです。

なぜか?
それは、西洋医学と東洋医学は考えが全く違うから。

漢方の場合は、冷えの体質(便宜上簡単にしてますよ)の人を治すのに温める漢方薬を使いますが、この時にただ単に温めればいいのではなく、温める強さや血の巡りが悪いから冷えるのか?気が滞っているから冷えるのか?などいろいろな経路から考えて治療します。

でも、西洋医学の薬はもっと単純なんです。
ホルモン剤は、ただホルモンを加えるだけ。
しかも、西洋医学は「人それぞれの体質」に合わせるのではなく「人間」に合わせるのです。30歳の不妊症の人も40歳の不妊症の人も同じ不妊症としてクロミッドならクロミッド、ソフィアならソフィアを処方します。

せいぜい、薬を使い分けるとしたら「40歳の人は年齢高いから強めのホルモン剤か注射にしとこー」位しかないんじゃないですか。

これだって体質に合わせての治療ではなく「40歳」はみな同じ体質としてみてますよね。だから、だいたい、みんな同じ薬を処方されてたりするんですよ。

となると、もともと、西洋医学は「人間」という条件と「年齢」位でしか使い分けていないので、漢方的にみた「あなた自身の体質」に対してホルモン剤が良いのか悪いのかは判断できないのです。

そもそも、最初から、その人にとって実際には、どれくらいの量のホルモンが必要なのかもわかってませんから。

ホルモン剤以外の薬だとある程度、今の状態や体質にその薬が必要かどうかは判断できます。
それは効果が決まっているからです。
その決まっている効果を「緊急性」と「対処的な治療が役に立つかどうか?」を条件に考え合わせるのです。
(この辺を詳しく書くととても長くなるのでまたの機会に)

でもホルモン剤は漠然とホルモンを加えるだけなので、どんな人に、どれくらいの量のホルモンが必要なのか西洋医学でも東洋医学でもわからないのです。
西洋医医学でも厳密にはホルモン治療は出たとこ勝負だと思いますよ。

うちとしては、とりあえず、やってみて、その後の細かな症状や状態の変化をお聞きして、対応するしかないわけですね。
とは言っても、うちでは一応、過去の状況をなるべく詳しく聞いて推測を立て、リスクが少なくリターンの多い方法を患者さんと一緒に模索はしますが。

不妊治療は体質別に見ることができない西洋医学の弱点が最も露出しているジャンルかもしれません。

ホルモン剤は月経周期を28日に調整するものではない。

非常に奇妙な話しを聞きました。
月経周期35日の人が初めて不妊治療の病院に言ったら排卵誘発剤を処方されたらしいのですが、その時に医者から「月経周期が35日と長いようだから、28日になるようにお薬を出しときますね」と説明されたらしいです。

僕もこの話しを聞いて「???」となりました。
「排卵誘発剤で35日の月経周期を28日に・・・」
その方は病院に初めて行ったばかりで、どの薬がどんな作用なんか当然、わかりません。

そして、不妊症で悩んでいる人の中には最終的に不妊治療の病院にいけば「なんとかなるかも」と考えている人もいると思うので、医者にそう説明されたら「そうなんだ」と素直に飲んでしまうでしょう。

でも、ちょっと待って!排卵誘発剤で35日周期の月経を28日周期にするというのはちょっと乱暴すぎる説明だと思います。

月経周期は3つのステージに別れます。
初めは月経期ですね。そして月経期の次の排卵期、最後に高温層の黄体期です。
これらの3つのステージでは、それぞれのステージでホルモンのバランスが変わりながら、月経や排卵、黄体期などをつくりだします。

月経周期28日は平均というか理想であって当然、絶対的に28日でないと病気というわけではありません。
あくまで基準的には28日周期であるということですね。

人間の体はデジタルの機械ではないので、個人差で短い周期の人や長い周期の人がいます。
それらの周期はさっきの3つのステージとそれに対応したホルモンバランスで成り立っているので、絶対にこれが原因というもの分からないのです。

おそらく、ほとんどの人は、3つのステージ全てで微妙にバランスが崩れていたりすると考えるのが妥当でしょう。
また、きっちりと28日周期で来る人が、ちょっとしたストレスなどで、ひと月まるまる月経が飛ぶなんてことは、めずらしくないので、月経周期のズレなんてホルモンの問題だけでは語れないのです。

それが、35日周期を28日周期にするために排卵誘発剤を使う?
周期のブレに関しては無限にいろいろな問題が考えられるのに排卵誘発剤で周期を28日するというのは、最早ウソの説明レベルだと思います。

排卵誘発剤は、排卵を誘発するホルモンを促すものですが、その効果を発揮する薬理過程でエストロゲンの働きを排卵期において邪魔します。
だから、排卵誘発剤を使うと子宮内膜が薄くなります。

排卵期の次が黄体期で、黄体期では子宮内膜がどんどん厚くなっていくステージです。
その時にホルモン剤という自分の体の働きと関係ない外部の働きで子宮内膜が薄くなっているのです。

月経周期というのはいろいろなホルモンの絶妙なバランスで成り立っています。
西洋医学ではそのホルモンを単純に強めたり足したりしていますが、機械じゃないんだから、そんな単純な方法だけで月経周期全体が整うほど簡単なものではないのです。

さっき説明したように普段の精神や体全体の状態も関わっているのです。
それをなんかの薬を足したらなんとかなるって、ちょっと体の働きをナメ過ぎではないでしょうか。

これで月経周期が整うのなら、3つのステージそれぞれのホルモン剤を飲めば、誰でも28日周期になるということですよね。

患者さんには医学的知識がない。ということで、それをわかりやすく簡単に説明したつもりかもしれません。
しかし、西洋医学は薬の薬効が細かく設定されています。

排卵誘発剤の働きは排卵を誘発する方向にもっていくことと、子宮内膜を薄くする方向にもっていくことです。
それ以上でもそれ以下でもなく月経周期全体を整えるものではありません。

僕自身はホルモンバランスは外部から薬でチャチャを入れれば、入れるほど、おかしくなっていくと考えているので、全体を整えるために排卵期だけ薬を飲んだら全体が整うなんてことは、あり得ないと思います。(病院もホルモン剤を使い続けていたら「次の月は体を休めましょう」とか言ってるから体に余計な負担をかけているとは思っているようだけど)

こういった説明の何がダメかって、患者さんは35日周期が28日周期になる!と思って飲むわけですよ。
それを軽はずみに西洋医学的な臨床的根拠なく過大解釈して「28日周期になる」なんて説明したら、それを飲み続けて28日周期にならなかったら、また悩むことになります。

みんな病院では質問しづらいと言っておられますので、排卵誘発剤を飲んでいても、なぜ自分は28日周期にならないのか、質問もできずに1人で悶々と悩まないといけないのです。
その方もそれで悩んでおられました。

病院側はどうせ、お通しみたいに排卵誘発剤を出しただけだから、周期が整わなかったら後づけでHCGやらHMGやらエストラーナやら、薬や注射を足してけばいいでしょうが、患者さんにしてみれば、いろいろと薬を付け足されていけば、ますます悩みの種が増えていきます。

排卵誘発剤だけで35日周期が28日周期になるって言ってたのにいろいろ付け足さないといけないということは、私の体は当初よりもそうとう悪いのだ」と。

だから、ここは正確に「35日周期の原因はわからないけれど、排卵誘発剤自体の働きは排卵誘発することと、内膜を薄くすることのみだけど、それで排卵や周期全体がどうなるか様子をみていきましょう」と説明するべきです。
この感じの説明だと別に医学の専門知識がなくても説明OKじゃないですか。
ここで排卵誘発剤はエストロゲンとの拮抗作用によりFSHの活性を促し・・・みたいな専門的な説明は必要ないでしょ。

今回のケースは検査などの状況から判断しても35日周期の問題が排卵誘発剤で解決するという臨床的根拠なんて持ってなかったと思います。

それに漢方の自然治療の経験上、月経周期は28日に無理矢理に合わせる必要はありません。
うちでは、なぜか、26日周期などのちょっと早い周期の人のほうが自然妊娠率が高いです。

また、年齢が高くなると月経周期が短くなる傾向があるようです。
28日周期というのはあくまで平均で理想です。
そして、得てして現実は平均と理想があてはまりません。

不妊治療は月経周期を28日に無理矢理、合わせるのではなく、その人のベストな周期を探してあげることではないかと僕は考えています。

それに、絶妙なバランスで成り立っているホルモンバランスを偽物のホルモンである人工のホルモン剤でなんとかしようと思うのが、おこがましいと思います。

あなたがロボットでなければ、月経周期を整えようと思ったら、ホルモンの問題だけでなく、体の不調や精神状態、普段の生活習慣など全体を見つめ直す必要もあるかもしれませんよ。